【足音】

昨今、怪談を専門に話す〈怪談師〉なる職業が市民権を得て、〈YouTube〉などで結構なブームを巻き起こしている。

〈心霊系YouTubeチャンネル〉は、体験談や心霊写真・動画などを紹介するサイトなのだが、何れにしてもエンタメとして観るのがベターなのかもしれない。眉唾話や加工した写真や動画の存在が否定出来ないからだ。

けれども、そんな中にあって、信ずるに値するものが存在することも否めないのである。

さて、私事わたくしごとではあるが・・・

あれは父親の葬儀を終えた次の日だっただろうか・・・

居間で家内と〈香典・御霊前〉の整理をしていた時だった。

居間の隣には、木製の引戸を隔てて台所がある。その台所を誰かがスリッパを履いて歩く音がしたのだ。

その足音は台所の奥にある６畳の間の方へと歩いて行く・・・

「❗️」
「❗️❓️」

２人は思わず顔を見合わせた。家には僕と家内の２人しかいないのだ。

足音が６畳の方へ移動して、襖をス～ッ❗️っと開けてパタン❗️と閉める音がした。

家内と僕は顔を見合わせたまま暫くのあいだ固まってしまった。６畳は、生前父親が使っていた部屋なのだ。

「おい❗️おじいちゃんか❓️」
「おじいちゃんが帰って来たのよ❗️」

恐る恐る６畳の前まで行って、ソォ～ッと襖を開けてみたのだが・・そこには誰の姿も無かった。