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組織を如何にスケールさせていくのか:社員評価とV2MOMについて

最近HRについての話題を書く事が多い気がしますが、春ですからね。

リバネスは今年の6月で設立から19年が経ちます。もうすぐ成人式ですよびっくりですね。人間不思議なもので、なかなか自分が歳を重ねて来たことについて気付く事なく大人になってしまいます。私自身、まさか齢40になっている今を想像したことはありませんでしたから。

ここにも書いたのですが、私自身は弊社リバネスの社員面談に立ち会ってきました。7年間14回述べにして745人のプレゼンテーションを目にしてきた訳です。

面談自体は、お手製の入力シートに、各々が思いの丈を綴ってくるようなもので、このシート自体は私が面談する前に作られたもので、かれこれ7年以上手を入れてこなかったんですよね。

・この半期の振り返り
・次の半期の目標
・業務外の実績
・会社への要望

というシンプルな作りになっており、その中に色んな事を書いてアピールするという面談スタイルとなっています。

自由記述の不自由さ

7年経ってやっとではあるのですが、この面談資料をうまく使える人と、そうではない人っているよねという事に気付きます。何しろ最初の方は、ただ単純にSalesforce上にデータを蓄積する為の担当者みたいな位置づけで同席していただけだったので、最初の数年はインプットの責任を負っているくらいの感覚でした。しかし、これだけ長くやっていると沢山のインプットを分析することで組織の今の姿を紡ぎ出すような事をやるようになってしまいます。どんな成長が好ましいのか、成長のボトルネックはどんな所にあるのか、傾向はあるか、組織は一体どんな人達で構成されていると好ましい状態と言えるのか。そんな事を考え始めました。

さて、そんな中で課題の一つに自由記述欄があるなと気付きます。

自由に書いてくれれば良いよと最初は考えていたのですが、やはり目標設計が上手な人が振り返りも上手にできるという事は明らかです。逆に、これが出来ない人は面談の時間を無為に過ごしてしまいがちでもったいないということも分かってきました。

我々がやりたいことはなんだっただろうか

面談は6日間をかけて行われます。9:30〜18:00の間に多い日で10人を超えた人数を面談しています。このプレゼンはあまり得るものがなかったなという時間を作ってしまうのはめちゃくちゃもったいないんですよね。どうせやるなら実のある時間にしたい。

そのためにはこのままじゃダメだという所まで来ました。

そこで、どんなやり方があるかなと思った時に、Salesforceの提唱するV2MOMを思い出したという訳です。何しろ私はSalesforceを使いこなしまくっている訳ですから。他にもOKRやらKPI、MBOなんていうのもあります。

V2MOMって?

ビジョン(Vision)— 達成したいことは何か?
価値(Values) — 達成するうえで大切な信念は何か?
方法(Methods) — 達成するためにどうするか?
障害(Obstacles) — 達成の妨げになるものは何か?
基準(Measures) — 成果をどう測定するか?

という5項目について、全社で記入します。代表のマーク・ベニオフから新入社員まで全員ということです。トップから書いていくというのが肝で、組織としてのある期間の目標設定が共有され、各個人がそれぞれのロールにおいて何を成し遂げるのかを明文化していきます。

測定できるものを挙げていくというのも重要な点となっており、コミットメントを見える形に変換することで、誰が見てもその人の取り組んでいるミッションが分かり且つその進捗を見ることができるようになるよねというもの。

2020年のSalesforce.comの従業員数は49,000人だそうですが、それだけの巨大組織がうまく機能する為の仕組みとして成り立っているということなので一考の余地はあるだろうと思いません?そんな理由で、今V2MOMを調べながら実際に書いてみるという事をやっています。

といっても良く分からないのでオフィシャルの資料をもらってみました。

リバネス様_V2MOMご紹介210316_pdf(2___10ページ)

リバネス様_V2MOMご紹介210316_pdf(3___10ページ)

リバネス様_V2MOMご紹介210316_pdf(4___10ページ)

この例ではざっくりと書いてあるだけで実際はもう少し細かく書くようですが。

Visionの部分がきれいな言葉になりすぎるような気がしますが。ここのイメージが大事なんだろう。

Valueでは、どんなことが重要になるのか。優先順位の高い方から3つを設定。

重要なことを実現するための方法を3つ書き、それに付随する困難があることを書く。

最終的に何で達成を測るのかを書いて終わり。

あとは、1on1の時に使ったり、半期に一度リニューアルをかけたり、といったように使っていきます。

ポイントの一つは全員が見ることが出来る事

僕自身も、ここは大事だなと思う部分です。誰がどんな風に頭で考え日々を過ごしているのかを知るというのは、思った以上に組織を強くするのではないかと感じます。周りの人が何考えているのか良く分からないような組織でずっと過ごすことが出来るかといえば、なかなか難しいでしょう。

フレームワークの設計と、定期的なリニューアルが組み込まれることで、常に新鮮な情報がネットワーク上に存在するというのは健全な組織づくりに大きく貢献するはずです。

私自身のV2MOMを書くならこんな感じか

Vision:あらゆる手段を用いてリバネスの生産性を5%向上する
Value:
・ITを駆使する
・既存オペレーションのボトルネックを解決する
・スケジュール調整を効率化する
Method:
・リバネスIDの実装領域を拡大する
・思い切って代表陣にコミットしてもらう形で抜本的に改革する
・リバネスIDに紐付けたいので自社開発する
Obstacles:
・エンジニア不足による開発スピードの鈍化
・代表らは忙しい。課題は未だ未確定。
・CIO自身の開発力及び時間の不足(エンジニアはリバネスID開発に全集中)
Measurement:
・採用目標エンジニア+2人
・半期面談においてスタッフが多忙を課題として挙げる人を0に
・5月までにサービスをリリースする

V2MOM運用における留意点

リバネス様_V2MOMご紹介210316_pdf(9___10ページ)

困難度の適切な調整って難しい気がする。この辺はおそらく何度も回していくことでちょうど良さがフィットしてくる性質なんだろうと思う。Salesforce社内ではかなり頑張らないと難しいというラインに設定することが多いらしい。

具体性については数値で測れない目標は目標じゃないみたいなことが言われているし、何かしらの数値に変換しなけりゃだめだ。この辺は、研究者は必ず通ってきた道だろうし、なんとかなるような気がしている。

フィードバックってどうすりゃいいんだろうか

リバネス自体は情報の風通しの良い組織を狙って設計してある。情報をほしい!と思った時に検索すれば出てくるようになっているのが望ましい。そんな雰囲気作りでやってきた。

一方で、面談は個人のパーソナリティに関わる部分であるし、フィードバックをするにしても面談担当者と対象者間のみで完結することが多かった。

ただ、今回は、私自身が面談終了後に改めて膨大な量の資料を何度も読み返してみて、各個人に向けてのフィードバックを一枚の資料にして共有してみた。誰が今どんなステージにいて、成長の余地はどんな方向にあるだろうかという解析が誰でも読めるようにしてある。

個人がそれで劣等感を感じる為の資料ではない為、伸びしろについての訴求に絞って書いてみたのだが、これを社内共有してみたところ、その後色んな社員が気付きがあったというような話をしていたので、今回の取り組みについて前向きに受け止めてくれる人がそれなりにいるという感触はあった。逆に以前までの個人に閉じた形だと、面談が終わったらそれでおしまいで特に話題にあがることもなかった。確実に何かが変わった。

V2MOMについても、基本的に全員のものを誰でも見ることが出来るというのが特徴になっている。これを現在のその人の状態を知るための道標として使うことで、初対面の人でも人となりがわかりコミュニケーションが円滑になるのだそうだ。

リバネス自体はまだ100人に満たない程度の組織だが、シンガポールやマレーシアといった海外子会社も存在するし、その間で一緒にプロジェクトを立ち上げるということも少なくない。これから人数は増えるだろうし、そういった時にコミュニケーションの基盤となるようなものが存在しているというのは心強いだろうなと感じる。

そんな訳で、未だ検討中ではありますが、まずは自分ごととして捉えていかないと始まらないので、こんな事考えていますよという話の共有でした。人間って面白いですよね。

noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。