状況整理2021/7/30

五輪と感染拡大の因果関係

●五輪関係者からの感染が寄与したかどうかで言えば、まだ大した量ではないし、影響が出るとしてもこれからだろう。

●むしろ、選手が感染して競技に参加できないことによる意義の喪失や、選手が自国に変異ウイルスを持ち帰るリスクの方が懸念される。

●「現在の拡大状況は五輪関係なく起こった」これはデルタ株の影響なので実際ほぼそうだと思うが、その規模や速度は違ったかもしれない。

「五輪は安心安全」のメッセージが最大の間違い

●「五輪は安心安全」のメッセージが最大の間違いだと考える。

→●「五輪が安心安全」であるならば、他の活動はなぜダメなのか、政府に守られないのか、という説明がなされておらず、反発を生んだ。

→●開催するにしても、「五輪はこれだけのコストをかけて検査・隔離を行うので(コストを隠さない)、リスクを最小限(ゼロとは言わない)にしてできる。他の活動も同様にリスクを軽減しながらであれば行って良い」と発信するべきだった。

→●そして、そのコストを五輪にだけ投与するのではなく、広く市民が享受できるようにすべきだった。特に検査リソースは下手をすると東京都全体よりも五輪関係者の検査が多く、「五輪だけが安心安全」の世界になっている

五輪を中止すべき?

●五輪を中止すべきかというと、私は「祝祭として開催したかった」という意味で延期すべき&開催は間違いだったと思っているが、祝祭の性質を失った現在の状況では中止のメリットはそこまで大きくないと思われる。

●中止にしたら感情的に救われて「ほら、皆も自粛しよう」と言いやすくなる、という効果は間接的にありそうだが、それで中止のデメリットを上回るかどうか。

●逆に選手が外から感染を持ち込んで競技や母国へのリスクが懸念されるような場合は中断も考えるべきかもしれない。

このままだとどうなる?

●緊急事態宣言でもう手は出し尽くしている上に拡大しているので、人々の認知が変わらなければ、このまま拡大に歯止めがかからず、日毎の感染確認が数千人が数万人になり、あっという間に「一日でこれまでの累計感染者と同じ数が増える」世界になる。(これが指数関数の怖さ……)

ワクチン接種が早かった人とそうでない人で感染リスクが天と地を分けるようになり、職域接種の倫理性までもが問われる地獄が待っている。

●当然のように医療逼迫し、それが間接的にワクチン接種を担当する医師のリソースを奪い、ワクチン接種に遅れが生じる危険すら考えられる。

これからどうすれば?

●まず「五輪は安心安全ではなかった」「五輪をギリギリ成り立たせるために多くの検査リソースが割かれている」事を素直に認めるべき。

●今のまま「五輪は安心」「自信がある」とだけ言っていると、他の活動を制限するべきである事を同じ理屈で説明できず、人の行動を変えられない。

●なぜ私達一般市民にはその検査のリソースが割かれないのか?が問題。尾身先生も記者会見で「検査リソースは十分にあるので、それを誰でもどこでも受けられるように行政が準備すべき」と提言していた。

●諸外国でロックダウンと同時に「外出には陰性証明書が必要」という対応をしていたので、それくらいやらないと収まらないのではないか。

私達はどうすれば?

●ワクチン接種済みであれば、自分は9割大丈夫だが逆に無自覚に広げてしまう可能性があるので、ワクチン接種者が多くなるまで引き続き感染対策を続けるべき。

●ワクチン接種予定であれば、その前にかかるとプロテスかかる直前に物理攻撃食らう人になってしまうので、何としても避けたい。

●仕事などで外に出る必要がある人は、常にリスクがあることを改めて自覚し、また、そのリスクが日に日に増えていること、数ヶ月前と比べたら10倍以上になりこれからも増え続けることを意識し、自衛したほうが良い。

●外に出る必要が無いのに出たい人、悪いことは言わないからワクチン接種まで待ったほうが良い。「あとちょっとでこんな思いしなくて済んだのに」になる可能性が高い。

●死なないにしても、肺炎で1週間以上「こんなにヤバいと思ってなかった」みたいな症状で苦しんだ挙げ句、味覚障害や肺機能障害の後遺症が残るような病気には罹らんほうがいい。「病院が埋まってないから大丈夫」みたいなご都合主義には流されないほうが身のためです。


なんか色々考えてたら、もう五輪を素直に楽しもうなんて言えなくなってきた。いや、楽しんでる人をどうこう言うほどの怒りではないけど、自分としてはもう「あーこれでまた言い訳が増えるのか」みたいな感覚になった。

「楽しめるはずのものを楽しめなくしている」というだけで、今開催されている意義は薄い。ほんとに選手のためだけ。選手は頑張ってほしいけど、同時に「自分たちの機会だけが守られている」ことを自覚してほしい。

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