ゲーム音楽のオンライン展覧会「Ludo-Musica III」が開催中
2023/2/9追記:「Ludo-Musica III」開催中
ゲーム音楽をテーマにしたオンライン展覧会「Ludo-Musica III」が本日より3/31まで開催しております。これを逃すともう見る機会がないかもしれないので、是非この期間にどうぞ!
また、新たな取組として「別館」としてTwitter上で皆さんが心に残っているゲーム音楽を投稿するという企画も開催されております。
参加の際は、別館の「投稿の際のお願い」をご一読ください。
2022年度(Ludo-Musica II)の時のお知らせ
ゲーム音楽のオンライン展覧会「Ludo-Musica II ゲームのための⾳楽/⾳楽のためのゲーム」が2022/1/29に開場いたしました。
私がディレクションを担当したStage 2では、「ゲームならでは」の音楽体験という視点から、選りすぐりの全8作品をすべてプレイ動画と共に展示・解説しております。作品の選出、解説にあたって多くの方にご協力いただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。
『ディグダグ』(1982)
『NiGHTS into dreams...』(1996)
『ギタルマン』(2001)
『ゼルダの伝説 風のタクト』(2002)
『東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.』(2003)
『NieR Replicant』(2010)
『Tetris Effect』(2018)
『DEATH STRANDING』(2019)
Stage 2のキュレーションにあたって、最初に提示されたテーマは「インタラクティブミュージック」でした。しかし、展示を構成していくうえで、その用語ではカバーしきれない特徴的な「ゲーム音楽演出」をまとめる概念として「ゲームならでは」をご提案させていただきました。
ゲームは「遊び(Ludus)」であり、プレイヤーが自身の行為と紐付けて音楽を体験するのが特徴です。遊びと紐付いた音楽には、ゲームをプレイせずに音楽だけを聴取したり、あるいはプレイ動画を受動的に見るという形では体験できない、自分でプレイした人の心にしか芽生えない情動があります。
「これはゲームとしてプレイして良かった」と思える、そんな体験がゲームおよびゲーム音楽の大切な価値の一つと考え、その基準で展示作品を選定しました。あくまで「テーマに即しており、わかりやすく解説可能か」という観点です。もちろん、泣く泣く削ったタイトルの方が多いくらいです。
各コンテンツはシェアボタンから個別にシェアできますので、是非身の回りの方と感想を交換しあってみてください。
以下、Stage 2の各展示を少しずつご紹介いたします。
「ディグダグ」より『インゲームミュージック』
黎明期の優れたインタラクティブミュージックとしてよく引き合いに出されます。音楽と効果音の境目が曖昧だった時代の例として秀逸です。
「NiGHTS into dreams...」より『DREAMS DREAMS』
NiGHTSの音楽とその実装に刺激されてゲームサウンドのプロを目指した、という方が私の周りにも多くいらっしゃいます。そんな方に執筆を依頼しました。非常に熱のこもった解説です。
「ギタルマン」より『The Legendary Theme (Acoustic Version)』
PS2時代の隠れた伝説的音楽アクションゲーム「ギタルマン」。リズムゲームの領域を踏み越えて表現された巧みな構成、ゲームデザイン、そして音楽を是非知って頂けたら幸いです。
「ゼルダの伝説 風のタクト」より『戦闘』
昨年の「ファントムガノン」に続き2年連続の掲載となった「風のタクト」。これはディレクターであり筆者である私自身が、昨年の展示ではどうしても足りていない、この「通常戦闘曲」を解説するまでは引き下がれない、という強い思いで渾身の解説を行いました。今なお比肩するもののないインタラクティブミュージックの金字塔、その意味を是非感じてください。
「東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.」より『東方妖々夢 ~ Ancient Temple』
ゲームと音楽の蜜月を語る上で、シューティングゲームの演出は欠かせません。中でも東方シリーズは、今やその知名度もさることながら、神主の「ゲームミュージックを作りたい」という思いから作られたという逸話(展示のリンク参照)もあり、非常に高いレベルで音楽と融合されている例です。
「NieR Replicant」より『イニシエノウタ』
ヨコオタロウ氏はプレイヤーにそうと意識させずに音楽をゲームに織り込むことの天才です。ここではNieR Replicantを取り上げましたが、氏のディレクションした作品からは通底した音楽の扱いに対する哲学が読み取れます。
「Tetris Effect」より『City Lights』
Tetris Effectのプレイ動画は、りょくちゃさんにお願いしました。彼の神がかり的なプレイ能力と合わさって、まさに「演奏」と表現するしかないレベルです。もちろんこのゲーム、私みたいなテトリス初心者でもちゃんと音楽になるんですが、それとは次元が違います。是非ご覧いただければ。
「DEATH STRANDING」より『Asylums for the feeling feat. Leila Adu』
Stage 2を締めくくるに相応しい、シンプルかつ感動的な音楽演出です。この作品がこのステージのタイトルや構成を決定したと言っても過言ではありません。それほどまでに、ゲーム音楽の特徴はインタラクティブなだけことではなく、その周囲の状況も含めたデザインにあるという事を突きつけてくれます。
こちらは、偶然にもStage 1で解説されていた「METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER」より『Snake Eater (Cynthia Harrell)』と一緒に読むとさらに味わい深いものがあります(これは本当に偶然です)。
ストリーミング再生以降のゲーム音楽技術
「せっかくサウンドプログラマ(私)がディレクターやってるんだから」ということで、ゲーム作品とは独立してゲーム音楽の技術にフォーカスした寄稿をさせていただきました。
ゲーム音楽がTVで特集される度、「ピコピコ音」「同時発音数が3音」から「今のゲーム音楽ってこんなに凄いんですね!」「ゲームの音楽とは思えない!」なんて定番のやりとりに、私はちょっと違和感を感じていました……それはとうに昔の話……
「今はCDの音流すだけだから何でもできるんですよね」じゃあないんだ、いいか、CDは音楽を流しさえすればいい、しかし、ゲームは動いて描画してさらにプレイヤーの入力によって変化しなきゃならん、つまり……という話を丁寧な言葉でまとめました。是非専門外の方にもご一読いただければと。
Stage 0 ~ Stage 3まで充実のコンテンツ
私の担当分は以上ですが、Stage 0には昨年のLudo-Musicaの再掲が、Stage 1にはその延長としてさらに幅広い専門家によるゲーム音楽の解説が、そしてStage 3では三国志をテーマとしてシリーズ作品の様々な音楽がなんとクリエイターコメントつきで解説されています。
昨年からおよそ4倍の規模となった今回の展示はより多くの方にご満足いただける内容となっているかと思います。是非お時間を取ってご観覧くださいませ。
オンラインとはいえ「終了日が決まっている展示会」のため、昨年も「見に行こうと思ったのに終わってた!」という意見を多く目にしました。どうか2/28(月)の17時までには絶対行くという予定を立てましょう。それまででしたら、無料なのでいつでもお越しください。
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