(#38)せん妄(もう)ってどうよ。
あかん。はよ寝なあかんのに、PCみてたらこんな文章出てきた。
2022年6月6日に患者さんにお配りしたお手紙。もう寝ます。
(#38)せん妄(もう)ってどうよ?
「あんたトコの漢方薬、ぜんぜん効果ないやん。なんで朝からこんなに腰が痛いんや」
朝の挨拶はコレから始まります。
元気はええけど、ウチの母親の元気は始末に悪い。
お陰様で、あたしの母親元気です。
さすがに90代になると野原を駆け回ることは出来ませんが、あちこち痛い・痛いと言いながらも自分の事は全部自分でやります。
痛い為に動きが鈍い。動きが鈍いお陰で心臓に負担がかからない。心臓は守られ長生きする。
「あんた、またそのハナシかいな。何回もおんなじことゆうて、ボケたんとちゃうか?」
「これは本質や。腰が悪いのと違う。ありがたく痛いんや。本質忘れたらあかん」
「何回もゆうてからに忘れるかいな。それよりもっとよく効くスーパー漢方探してや」
「はいはい、わかりました。では、行ってきます」
「あんた、クリニックちゃんとやれてんのん? しっかりやるんやで!」
運営の神様と言われるオレ様に向かって、『ちゃんとやれてんのん?』はないやろ。
な〜んて自分を鼓舞するバカ息子なあたし。今日も出勤じゃ。楽しく行きまっせ。
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実は今年(2022年)の1月、母親は入院しました。ベッドから起き、畳で滑り、そのままコケた。
全く動けない。骨折してるな。畳から起こそうとすると
「イタタタ。動かさんといて!」
仕方なく放置。さて、どうするべ。バカ息子なあたしは3秒ほど思案。たった3秒よ!
「あんた、何してんの。はよクリニックに連れて行ってや。院長は整形専門やろ」
「ウチは漢方専門や。レントゲンもあれへん。手術も出来へん」
「何や、たよんないクリニックやなっ! しょーもなっ! 私のケータイ取って」
転んだまま自分で救急車を要請。夕方手術は成功と本人から電話。
ホンマ気丈な人。
その夜、確か午前2時ごろ。母親のケータイから電話がありました。
「どしたん、こんな夜中に」
「あのな、どうも・・・誘拐されたみたいや。今、縛られて寝かされてるねん。女の人が、“動き回ったらあかんから縛る”っていうねん。誰か、お金とか、ゆうて来てへんか?」
「なんもないよ。ソレより、どっか、痛くないんか?」
「どっこも痛くない。トイレに行こ思て立ち上がろうとしたら、あかんって縛りよる」
「そりゃそうや。さっき手術したやん。今は動いたらあかん。傷口広がる」
「何でやねん。どっこも痛ない。警察に “誘拐された” って電話したんや。そしたらそこでオトナしく縛られときってゆうねん。あいつら役に立たんわ。あんた、はよ助けにきて!」
これがせん妄(もう)。入院すると気丈な母親でもこうなる。皆様、御用心下さいませ。(了)
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