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パリ・オペラ座の日々1993~1994:7月11 、12日 パリの朝市、外壁工事終了


7月11日(日)

昨日から(雪)が体調あまり良くなくて家でゆっくりすごす。(G)は早起きして駅前の市場で買い出し。ぐるぐる回っていたらフレデリックとばったり会ってしまった。鮭を買って寿司を作るんだ…と言っていた。イチジクとか野菜、肉、カンタルチーズなど買って帰る。生のアーモンドとか売っていた。どうやって食べるんだろう?

市場 85F


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「パリの朝市」…そんな名前のレストランありましたね…(ググってみたら健在でした。ごめんなさい。しかも池袋のデパート内に出店していた…笑)。ずいぶん前の日記にも書きましたけど、僕たちが住んでいたサン・マンデというメトロ一番線の駅前では、たしか木曜日と日曜日に朝市が開催されていました。朝9時くらいに出向くとすでにたくさんの買い物客で賑わっていて、お昼13時にはもうテントが撤収されて、お掃除のオジサン達が駅前広場を清掃しているような流れです。

こういった朝市はおそらくパリ市が管理しているもので、日替わりでパリのどこかしらで毎朝開催されています。業者は曜日によって各地をグルグル回っているんでしょう。少しターミナル的なメトロ駅の周辺だとより大きな規模の朝市になっていたりします。ナシオン駅の朝市を覗いたことがありますが、サン・マンデより規模が大きくて、倍くらいの出店者数でした。

サン・マンデの朝市はこじんまりとしていて、ほどほどの規模でいつも楽しく買い物していました。とにかく生鮮食料品の全てが新鮮で美味しい!この一言に尽きます。生活が落ち着いてからは、できるだけ朝市で買い物するようになりました。八百屋、果物屋、豚肉屋、鶏肉屋、魚屋、チーズ屋(!)、蜂蜜屋、花屋、牡蠣屋(!)…などなど。他にも根菜ばかり取り揃えているお店もあったなぁ。生産者自身がモノを持ち込んでというわけではなさそうだけど、どの商品も生産者に近い立場で仕入れたものを直接持ち込んでくれているような新鮮さがありました。

野菜・果物について言えば、朝市>駅前の八百屋さん>スーパー という感じのヒエラルキーで、圧倒的に朝市のものが美味しかったです。豚肉ロースのステーキ用なんかも、焼いてみるとスーパーのものとはフレッシュ感が全然違ってました。

中でも圧倒的にファンになってしまったのが、オーヴェルニュ地方専門のチーズを持ち込むおじさん。3種類くらいしか品揃えが無いんだけど、その中の「カンタル」と「フルム・ダンベール」の美味しいこと!フルム・ダンベールは日本でも手に入りますけど、カンタルは現在でもなかなか売っているのを見かけません。

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(Wikipediaから:カンタルチーズ Cantal は、フランスのオーヴェルニュ地方、カンタル県原産のセミハードタイプのチーズ。カンタル県周辺の他県でも生産されている。紀元前にまで遡ると言われる歴史の古いチーズである。)

これがねぇ。もう超絶美味しいのです。同じハード系で日本で手に入るものだとトム・ド・サヴォアなんかありますけど、そんなのとは比べようもないくらいに美味い!文章で書かれたって困るわ…と抗議の声が聞こえそうだけど、それでも美味い!(笑) 今でも最高のチーズは?と尋ねられたら、迷わずカンタルの名を挙げると思います。

この写真のような300gくらいの小さな断片でもけっこう値段します。これくらいでたぶん800円くらいだったかな。他のジャガイモとかリンゴなんかと比べると高いように感じていました。パンパンに太ったいかにもオーヴェルニュ出身(オーヴェルニュはフランス中南部の山岳地域で、フランスでも特に地方色豊かというか、まあ一言でいうと田舎なわけです)という感じのオジサンが一人で切り盛りしているお店で、カンタルくださいと声をかけると、その場で巨大な円盤状の塊から針金を張った道具で切り出してくれます。「これくらい?」って尋ねてくるんだけど、毎回それが小さすぎて「もうちょっと大きく」と答えると、じつに悲しそうな表情をするんです。まるで「ああ…俺の大切なカンタルチーズがだんだん減っていく…」と言わんばかりに(笑) それは僕の気のせいかもしれないけれど、でもこのおじさんは本当に自分の取り扱っている商品を愛していたんだと思います。

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(Wikiにアップの写真があったのでさらにアピール。このホロホロとした感じ…ああ、また食べたい!)

市場についてはもっと書きたいことがいっぱいあるんですけど、残念ながら当時は写真をまったく撮っていないのでね。牡蠣もいろんな種類が売っていて美味しかったです。日本だとなかなか手に入らない丸くて平らなブロン( Aven Belon)も見かけましたが、それはちょっとお値段高めだったのでスルーしてしまって、今でもすごく後悔しています。。

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こういう丸い形がヒラガキと呼ばれる種類で、ブロンはその一品種です。日本で一般的な細長い形のものはマガキと呼ばれ、フランスでも生産量の98%はマガキなんだそうです。フランスでは1963年に牡蠣が壊滅的な被害を受けたことがあって、その時日本の三陸地方から稚貝が寄贈された経緯があるそうです。だからフランスで食べる牡蠣のほとんどは日本の三陸産由来のものだとか。

こちらのコラムに詳しく書いてありました。



7月12日(月)

午前中は夏の旅行など今後の予定を二人で話し合い。ふと気が付いたら、左官屋(maçon 煉瓦工、左官)が壁面の足場を外している!!! やっほ~~\(^o^)/ 3か月ぶりにクリアーになった窓からの景色が素晴らしい!(今日は完全には終わらなかったけど…)

(G)はバスチーユのオペラ座までチケットを買いに行ったが、「カルメン」は全てソールド・アウトということで、代わりに明日の「ファウスト」のちょっと良い席を購入。一度帰宅して、マイマイとの予定をキャンセルしてポルト・マイヨの大丸百貨店へ出かけて、お米・調味料等購入。品揃え良くて、日本的なものが何でも手に入るけれど、値段はとても高い(日本での2倍くらい)。

 スーパー 12F
オペラ座オペラチケ 250F
グレープフルーツ 10F
PTT 33F
大丸 354F
カフェ 50F
プリズニック 36F


4月半ばから始まったアパートの外壁工事が、ようやく終息の兆しでほっとしました。比べてみると一目瞭然なのですが、

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(4月に外壁が破壊されてすぐの状態。一番外側の層が剥ぎ取られて、木製の骨組みが露出しています。窓の手すりも装飾がある凝った作り)


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(まだ足場は残ってますけど、新しい壁面が形成されて、窓の手すりはシンプルな”棒2本”に…笑)

この工事のことはアパートを借りる時にはまったく知らされておらず、完全にだまし討ちだったのでだいぶ腹を立てていました。ほぼ3か月間騒音に悩まされていたので、怒りを通り越してホッとしたというのが正直なところです。良かった、よかった。

革命記念日である7月14日が近づいています。「パリ祭」という呼称は日本だけのもので、フランスではこれは革命の記念日。国家的なアイデンティティを確認するための記念日なので、全体的にお祭りというよりは国家行事という色合いが強いように感じました。軍事パレードもあるし、ミッテラン大統領はテレビでガッツリ演説していました。





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