二躯の恋手記
二躯の恋手記 著作.岩満陽平
◇岩満陽平 29歳
認知症介助士
そこにあったのは、この曲だった。
マリアを見たと思った。
時間のない天国の中で、僕は彷徨いながらあなたを探した。
◆前世の記憶が現れる。僕はスペイン人の悪人だった。
自分の前世を見た。
石造りのようなアパートを出た僕はポケットにナイフを持っていた。
ガソリンスタンドの横のスーパーに入り、陳列された本を読んでいた。
公園へ入り、ベンチに座っていた。
その夜、森へ向かっていた。黒い袋に入れたものを埋めていた。
次は海へ、そこでも黒い袋に入れたものを埋めていた。
小型の船に乗っていた前世の僕は笑わない人だった。
子供たちを見ていた。彼らは楽しそうに走り回っていた。
無感情で黒い袋を埋めていた。
黒い袋を海へ捨てた。
やり終えたような達成感があった。
恋手記
◇ウイスキーを飲みながら、あなたを見ていた。
素直に運命の人だと思っていた。
あなたを真似した、
あなたに憧れて、あなたが好きものなら、僕も好きになった。
僕にとっては、あなたは素直に僕よりも上に感じられる。
あなたに導かれたいとさえ思う。
あなたがウイスキーを飲んでいると知れば
僕もウイスキーを飲んでみたりしていた。
もう一日中あなたのことを考えていた。
楽しいとか、心地よいとか、恍惚を初めて体験した。
あなたはミスチルが好きなのかと、全然興味なかったけど聴いてみた。
何度も聴いているうちに、素晴らしく良い曲に感じてきた。
ウイスキーを飲みながら、ミスチルのsignを聴いてみた。
桜井和寿が微笑んでいるように見えた。
夜寝ていたら、僕は林の中を歩いていた。
あなたはどこにいるんだろう。
ここにはいない気がして、林をずっと歩いていたら、
僕はいつのまにか空を飛んでいた。
恋手記2
◇部屋は香水の匂いで満ちていた。
夜ラーメンを食べに行きその帰り道、魔界が現れた。
忠実に再現したが、まるでこんな感じだった。
数日後、今度は逆に神々しい金色の神のようなものが現れた
あまりに美しく心を奪われた。
どちらかを選べということだったのだろうか。
いまだによく分かっていない。
◇あなたは神聖かまってちゃんが好きだった。
僕は前から知ってはいたけど、全然興味なかった。
聴いてみようと思い、聴いてみたら、僕も好きになった。
佐倉沙織や相対性理論、チャゲアス、涼宮ハルヒの憂鬱や、
ポケモン、ダッチワイフやガンギマリ、というような
あなたのおかげで全然知らない世界をたくさん知ることができた。
そして僕は、いままで自分の中の魂に全く気付いてなかったのだが、
この恋を体験したあとは、自分の魂を感じられるようになった。
おわりに
この手記は、僕が22歳の時に体験したことを今になって再現したものです。
なので、今はこういう風には思ってません。
今はただの独身で人生謳歌しています。今が一番幸せです。
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