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オーストラリアで日雇い農業

マッドマックス取材の為(?)ワーキングホリデーでオーストラリアに住むことになった筆者。2年目のビザを取るために指定の季節労働を始めるも、うっかりロクでもない農場を引き当ててしまい、農奴さながらの生活をすることに……。

「なぜオーストラリアに住むことになったのか」で僅かに触れて反応が大きかった、オーストラリアのビザのことと農業の体験をまとめました。
この記事はこれから経験される方の参考にもなると思いますが、どちらかというと、全然知らない人が読んでなるほどこういう世界があるのかと楽しんで頂くことに重点を置いています。

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ビザの仕組み

ワーキングホリデービザは18歳から30歳までの日本人なら概ね誰でも簡単に取得でき、オーストラリアで働きながら1年間滞在する事ができる。また、1年間の滞在中に指定の季節労働に従事する事で、2年目の滞在許可となるセカンドワーキングホリデービザを取得できる。ちなみに申請料は485ドルで他の国のワーホリと比べると高い。2年目、3年目を申請する場合それぞれに対し毎回485ドルかかる。

セカンドビザの申請条件(2019年現在)

・期間は3ヶ月間または88日間
・郵便番号によって指定された基本的に田舎の地域
・季節労働の内容は農業、漁業、林業、鉱業、建設
この条件に当てはまる労働を完了したことが証明できれば、セカンドビザを申請することができる。

>3ヶ月または88日間
オーストラリアの労働はフルタイム、パートタイム、カジュアルがある。フルタイムとパートタイムは条件は違えど有給や病欠などの社会保障があって最低賃金は19ドルぐらい。カジュアルはざっくり言うと日雇いアルバイト。雇う方は1日最低4時間という短時間から働かせることができるが、最低賃金がパートタイムやフルタイムよりも高く設定されていて、だいたい23ドルぐらい。

雇用主とフルタイムで契約した場合、「3か月」が適用されるので休日含めて3ヶ月間で終わらせることができる。
パートタイムやカジュアルで契約した場合、「88日」のほうが適用される。休日はカウントされず、実労日数88日間を満たす必要がある。ほとんどの人がこれになり、実質4ヶ月~5ヶ月農場で過ごすことも。

>指定の地域
郵便番号で指定されているので必ずオーストラリア政府の公式サイトで確認しよう。ちなみに、会社の事務所が指定の郵便番号エリアに所在していても、実際に働く農場の住所が指定のエリアから外れているとアウトになるので注意。

>働いたことの証明
オーストラリア移民局の公式サイトからDLできる専用のフォームに、自分が働いた会社のABNナンバーや住所、郵便番号、仕事の内容などを記入し、雇用主のサインをもらう。この1枚の紙切れと、きちんと給料を受け取っていたことを証明する給与明細、銀行の履歴。2019年時点ではこの3つが揃っていれば申請できる。これらをPDFではりつけて移民局の公式ページで申請すれば1日から数か月ぐらいでメールが送られてくる。とはいえ移民局はけっこういいかげんなところがあり、最初の申請フォームさえ貼り付けておけば通ってしまうことも多い。

>季節労働の内容
いろいろ挙げたが、圧倒的に簡単に見つかるのが農業なので、多くの人が農業に従事する。また、食品の一次加工も含まれるので、食肉工場やサラダ工場も人気だ。こうした食品関係の工場の場合フルタイムやフルタイム相当の勤務時間を含むパートタイムで契約できる可能性が高く、3ヶ月でビザの申請条件を満たせるというメリットもある。

>サードビザ
2019年以降、3ヶ月の労働を終えてセカンドビザを取得した後、さらに半年間の季節労働に従事すると3年目のサードビザを申請できるようになった。

各ワーキングホリデービザの申請・利用条件についてはオーストラリア政府公式サイトに全て書いてあるので、興味のある方はこちらを見ていただくとよい。

ファームの仕組み

多くの人がやる事になるのは農業で、ファームと呼ばれる。ファームの働き方は大きく分けて2つ。農場主に直接雇われるパターンと、コントラクターに雇われるパターンだ。コントラクターとは農作業を専門に請け負う業者で、ここでは間に挟まる人夫出しのような役割になる。農場主は複数のコントラクターと契約することで効率的に労働力を集めることができ、コントラクターは複数の農場と契約することで効率的に仕事を集めることができる。
労働者にとってはどちらにもメリット・デメリットがあるが、一般的には直接雇用のほうが条件が良い。コントラクターは簡単に仕事が見つかるが、マージンを取られて給料が低い。

ワーキングホステルというのもある。農場と提携しているホステルに宿泊し、ホステルのオーナーに仕事を紹介してもらう。良い仕事が多いが家賃は高く、現地に辿り着いてもすぐには仕事がない場合もあり、無職でただ待つ期間が発生することも。

ファーム探し

ファームは自力で探す必要がある。やり方はいろいろだが、おすすめは信用できる友達に紹介してもらう事。なにしろこの業界には怪しい情報が蔓延している。友達が実際に滞在していて、安全で仕事もあるということがわかった状態で行くのがベストだ。ちなみに友達だと思っていても油断してはいけない。その友達はお金に困窮し、ファームやコントラクターから紹介料を受け取り、仕方なく人を勧誘している可能性もあるからだ。
また、農業というのは天候に左右される不確実なもので、今週仕事があったからといって来週もあるとは限らない。例えば信用できる友達がファームを無事に終え、良い環境だったと聞いて数週間後に行ってみたら仕事がなくなっていたりすることもある。

インターネットは手軽に探せるがリスクも大きい。フェイスブックや掲示板などいろいろなところに求人が出ており、日本語で探す事もできるが日本人だからといって信用すると騙されやすい。ワーキングホステルのコミュニティやローカルの求人、ハーベストガイドなどを利用して英語で検索したほうが選択肢はぐっと広がる。
ネットで探す場合は、求人を出している人にしっかりと条件を確認し、本当に安全だと確信できてから行こう。求人を出している人は既にファームどころか国内におらず、海外から求人だけ出して紹介料を受け取っている可能性もある。情報が少ない状態でのファーム探しはガチャだと思って諦め、行った先が地雷だったらすぐに出て行くぐらいのつもりで臨もう。

ファームは良いところを見つければ、好条件で大金を稼ぐ事ができる。タスマニアなんかのベストシーズンに運良く滑り込めれば、週2000ドルも夢ではない。最悪なところに当たればタダ働きも同然。これには運、人脈、カン、勇気、いろいろな要素が関わってくる。
稼げると評判のファームは世界中から人が集まってくるので、周囲のホステルで100人が順番待ちなんて事態にもなる。大金に賭けて辛抱強く待てるかどうか、決断を迫られる。

私はファームに行っている友達も少なく、情報があまりなかったのでインターネットで探すことにした。ワーキングホリデーをやった事がある人は、この辺で怪しいにおいを感じ始める人もいるかもしれない。

家について

ファームの仕事は、住居とセットになっている場合が多い。農場主あるいはコントラクターに家賃を払い、住む場所を借りる。
彼らは労働者を雇い入れることで、家賃収入を得ている。これはつまり、仕事があるといって求人を出せば、労働者に仕事をロクに与えなくても家賃を稼ぐ事が出来てしまう。「来週は仕事があるよ」とかなんとか言い続けていればいいのだ。
もちろん労働者は、「話が違うじゃねーか」と言って出て行く事ができる。しかしここで足枷となるのが「ボンド」の存在だ。オーストラリアで部屋を借りる時には、最初に敷金みたいな感じで家賃の2週間分ぐらいの金額を預けて、出る時に返ってくるシステムがある。
そして、「家を出る時は2週間前に連絡する」というのがだいたい契約書に書かれている。まあ普通は当たり前のことだが、こういう農場の場合、行ってからヤバい農場だとわかった時にすぐに出られないという足枷になってしまう。もちろん時間の無駄なので飛び出してもいい。そうすると、最初に預けたお金は返ってくることはなく、いずれにしても雇い主の丸儲けということになる。

以下有料

この先は、オーストラリアのファームの実態についてさらに突っ込んだレポートとなっています。個人的な体験ですので、興味のある方に向けて有料記事にしました。詳細な情報や写真もありますので、お楽しみください。

・ビザ申請の落とし穴
・ド違法!ビザ売買の世界
・嘘情報!?騙されてファームへ
 ・たのしい非合法タコ部屋生活
・立ち入り検査から逃げろ!
・ガバガバセキュリティ
・足りない電力
・地獄かな?家の中にカップルがウヨウヨ
・病気になる
・ブラック労働編
・歩合制の罠
・収穫の現場(猛暑の日・雨の日・タダ働き)
・給与の遅延
・レクリエーション
・最後に
・おまけ*たのしい写真集

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