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20歳の欲望

湧き出る欲望をダサいと思うようになっていた。

小学生の頃、欲しいものがあれば欲しいと言った。やりたいことがあればすぐにやった。わからなかったら教えてもらった。自分のことなら洗いざらい教えた。なんでも一番を目指した。嫌われることなんて考えなかった。

中学生の頃、イラッときたら人を殴っていた。イラってきたら怒鳴り散らかしていた。悪さをした。親に迷惑かけまくった。親を泣かした。何人もの女の子に告白した。嫌われることに異変を感じるようになっていた。

高校生の頃、欲しい服を買った。自分のお金でご飯を食べに行った。夢を語った。とことん努力した。SNSに自分の写真をどんどん載せた。嫌われることがストレスになっていた

大学生の今、欲しいものを我慢するようになった。やりたいことは、やれるか計算してから始めるようになった。わからなかっても自分だけて考えるようになった。自分を隠すようになった。なんでもオンリーワンを目指すようになった。怒っても我慢するようになった。親を喜ばしたいと思うようになった。女の子相手に緊張するようになった。節約するようになった。現実を見るようになった。もっと努力するようになった。SNSに投稿しないようになった。嫌われないように、努力するようになった。

自分がわからなくなった。

欲望が誇りにまみれて見つけられなくなった。

欲望を「自分のやりたいこと」って言葉で表すようになった。

でも、全然意味が違っていた。

「自分のやりたいこと」って言葉でさらに見つけにくくなっていた。

砂を掴んでるみたいに、形のない、そんなものだった。

気づいた。

欲望をダサいと思っている自分がいた。

欲しい服を買う
好きな女の子に告白する
夢を語る
やりたいことをやる
他人に感情を伝える
自分の感情に耳を傾ける

全部ダサいと思っていた。

だから、やりたいことが見つからなくなっていた。

欲望の先に将来がある。

決してダサくない。

2021/08/14

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