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コロナ環境下における中国市場の変化

自己紹介

今年GCPに入社した堀江と申します!
元々は会計士として監査法人に勤務し、MBA留学を経てMcKinseyにて3年ほど戦略コンサルティグ業務に従事していました。直近ではVISITS Technologiesというスタートアップで資金調達・事業推進やら幅広に経験した後、ご縁があって現在はGCP Xにて投資先支援に従事しています!

中国市場のリサーチ

元々は、投資先支援のためのinsight獲得のために緩く中国市場のリサーチをしていたところに、現在世界各国で猛威を振るっているコロナショックが起きました。

with コロナ・afterコロナの環境下において、世界は、我々を取り巻く環境はどのように変化していくのか、というトピックが日々賑わっていると思います。感染源である中国は、他の国々に先んじて感染拡大から収束を経験しつつあり、with コロナ・afterコロナの環境をいち早く経験していると思います。

そこで、日本のスタートアップ界隈にとって何かしら意味がありそうな、直近の中国におけるスタートアップ・インターネットサービス関連のトピックを取り上げいきたいと思います。

※中国関連情報は、言語的なハードル及び情報が玉石混交でファクトが抑えずらい性質を持っているため、必ずしも正確な情報ではない可能性があること、予めご承知おきください。

コロナ環境下における中国市場の変化 

中国ならではの、いくつかの特徴的な取り組みが、直近見受けられました。※2020年4月23日時点

Topics
1. コロナ環境下における予防・流行制御関連のサービス(本日の記事内容)
2. コロナ環境下でより威力を発揮するVR/AR関連サービス
3. オフィスワーカーの新しい働き方/支援サービス
 3-1) デジタルオフィスサービス市場/オンラインオフィスプラットフォーム
 3-2) シェアスタッフモデル
4. インドア経済(宅经济) 関連サービス
 4-1) オンライン教育
 4-2) オンラインパフォーマンス市場
 4-3) 日用品・生鮮食品関連ECの急成長

1. コロナ環境下における予防・流行制御関連のサービス

本日は「 コロナ環境下における予防・流行制御関連のサービス」について、いくつか見てみたいと思います。

コロナ環境下の人工知能マップ - 百度地図

百度地図はコロナ流行の予防と抑制に役立つような、人や車の移動量のデータ化、コロナ関連施設のマッピングの機能を展開しています。

地図上で、発熱したの際の診療所、軽症患者指定ホテル、武漢出身者の指定宿泊ホテル(以下の画像における紫のマーク)などがマッピングされています。なお、武漢出身者が泊まれるホテルが指定されているだけで、武漢出身者を個別に特定し、当該個人の移動をトレースしているわけではなさそうです。

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※ちなみに「接待酒店」とは中国語でホテルのことで、接待を伴う飲食店のことではありません。笑

また「百度地図移動ビッグデータプラットフォーム」と呼ばれるものを国民、メディア、政府、研究者等に開放することでビッグデータサービスを提供し、流行の予防と管理状況を把握できるようにしているようです。

Appleやgoogleも似たような取り組みを始めているようですが、上記の百度の動きは2月上旬頃の記事等に記載があり、そのスピード感を感じます。中国はより諸外国以上に個に紐づくデータを持っており、今後はより個に紐づいたデータが反映されるサービスが展開されてくるかもしれません。


AIアウトバウンドコール 百度

百度のAIアウトバウンドコールというサービスが、コロナ環境下におけるユースケースとして紹介されています(特設サイト)。これは、人ではなくAIによる大量(1秒に1500回)の1対1のアウトバウンドコールを同時に可能にするサービス。

サービスサイトやその他記事における主なポイントは以下です。

・ランダムに住民に電話をかけ、自動的に住民の疫病情報や直近の移動状況を質問
・通話は自動的に記録され、AIによって識別・データ処理され、新型コロナウイルスに関する統計報告を作成
・また住民に対して予防・行動の制御等の指導を行い、これにより、医療関係者が実際訪問して検査する必要がなく、感染のリスクを避けることができ、さらに検査時間を減らして、予防・抑制の効率を高めている
・特定の交通手段を利用した人を絞って、電話することもある
・1月28日から流行が終わるまでの間、当該システムは、無料で開放されている

現在、厚生労働省がLINEを利用して、国民の健康状態を調査しているのとコンテンツは同じですね。

この百度のAIアウトバウンドコールのサービスサイトを見てみると、いくつかのユースケースが紹介されています。

・保険営業、およびクレジットカードの作成の呼びかけ
・商品・サービスに対する満足度調査
・金融機関による代金回収代行
・携帯料金などの利用料金確認やイベントの勧誘
・クレジットカードの使用確認(高額消費の際に掛かってくるコールを代替するものと想定)

日本でも自動音声による受信対応はかなり自動化されてきていると思いますが、当該サービスは架電、及びその後のデータ分析・レポーティングなどが圧倒的に効率化されるため、今後はより普及していくかもしれません。


自動運転消毒ロボ 百度apollo

2月10日、百度アポロは、流行病に奉仕する企業に低速マイクロカーキットと自走式クラウドサービスを無料で開放し、自走式製品の応用を加速させ、生態系パートナーと手を取り合って流行病の予防と制御を支援すると発表した。 

2月4日に武漢に出荷されたApolloのエコパートナーであるXinshiqiの無人物流バン2台は、疫病予防のために働く準備ができていました。 百度アポロのパートナーである青島文宇知能科技有限公司は、流行最前線の無人消毒ロボットを各病院の確定患者の検疫区域に配備し始め、青島青海大学病院、日照市人民病院、山東省胸部病院などに30台近くの自動操縦噴霧消毒ロボットを無償で寄贈して配備し、消毒作業を実施

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中国の例ではないですが、イラン政府は新型コロナウイルス対策として、ドローンで市街を消毒し全土に30万チームを派遣して戸別訪問を実施する方針、という記事もありました。今後日本でもドローンによる消毒活動などが急速に進むかもしれません。

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withコロナ時代において、日本においてはどのように変化が起きるのでしょうか。


個人のミクロレベルでの移動制限であったり、データの利活用の官民連携は、国としての成り立ちの相違が大きいので、そのままスピード感を持って発生するとは考えにくいのですが、シンガポールでのアプリ実証のような、個人単位での移動情報の自発的共有や、ロボティクス技術活用による、洗浄オペレーションの準自動化のような分野で、イノベーションが期待できるかもしれません。

GCP X 堀江

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