東京都心の小規模ビルやマンションはどんな建物に建替えたらいいのだろうか
1. 東京都心は変貌し続ける
東京の都心は高度の利便性と安全性を兼ね備えた魅力的な街なので、人もお金もそこに集まり続けます。そして街は日々激しく変化し続けています。大規模な面開発が次々と行われ、繁華な地域が広い範囲に拡大し、やがてその地域が相互に繋がって広がり続け、東京都心の街はその全体が、24時間フルに活動できる、眠らない街へと変貌しつつあります。
2.住・商・業務混在の街になってゆく
不動産の価値はそれが有効に活用されることで生まれますから、昼夜を通じて長時間活用できる東京都心の不動産の空間価値は高いのです。業務用途に特化していた以前の丸の内よりは住・商・業務混在の現在の街の不動産価格が高いのは、立体利用が進んだからだけではありません。業務中心で夜間や休日には使われない西新宿のビル街とは違うからです。
3.再開発で街が埋め尽くされる
ヒルズ、コレド、ミッドタウンなどという名称の冠された大規模な再開発プロジェクトはこれからも、渋谷、池袋、東京、新宿などのターミナル駅周辺で盛んに行われることでしょう。そして、これらの大規模開発から取り残された地域にある老朽化した小規模ビルやマンションや戸建て住宅は、用途が地域の変化に適合しなくなり、敷地に適応した立体利用がなされるように建替えられていくことでしょう。それが都心の街の宿命なのでしょう。
4.24時間活動できる街になってゆく
東京都心の街が将来、住・商・業務混在の街として24時間活動できる街になってゆくのであれば、これから建替える建物は住・商・業務の用途が混在する建物が良いのではないでしょうか。もう一歩踏み込んで考えてみると、建物内で区分された各空間は住・商・業務のどの用途にでも使えるような、フレキシブルな空間が良いのではないでしょうか。そんな建物ならRCやSRCの躯体の耐久期間の200年以上の間、建替える必要がありません。
5.より良い街に変化していってほしい
私は東京都心で80年近く暮らしているのですが、子供の頃の景色はもうほとんど残っていません。東京人の故郷の景色はもう既に、時の流れに奪われました。私はそんな街の変化が必ずしも嫌いではありませんが、ポーランドの首都ワルシャワは第二次世界大戦後に図面や絵画を手掛かりに、市民の努力で元通りの街を再建しました。街の景観は市民のものであり、その文化や歴史を体現する大切なものなので、無暗に取り壊されたり変更されたりして良いものではありません。スクラップ&ビルドという環境も文化も歴史も破壊する開発はもうやめて、安全で便利で快適で美しい、住人に永く愛される街にしてほしいです。
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