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2023年ベストゲーム10選 1位〜5位

6位〜10位はこちら

5位 8月19日 JABA東北クラブカップ大会(しんきん森山スタジアム)
MKSI BASEBALL CLUB 3−5x オールいわきクラブ

MKSI BC 010 110 0 | 3 
い  わ  き 100 020 2x | 5

MKSI BC 猪狩(瑛)、◯渡辺(竹)−大西
い  わ  き ●田村(洋)−髙橋

1回裏 MKSI BC 0-1 オールいわき 3番松本(清)サードゴロ①
2回表 MKSI BC 1-1 オールいわき 7番河本セカンドゲッツー①
4回表 MKSI BC 2-1 オールいわき 4番斎藤ライトホームラン①
5回表 MKSI BC 3-1 オールいわき 6番小田(唯)センター前ヒット①
5回裏 MKSI BC 3-2 オールいわき 1番草野(真)ライト前ヒット①
5回裏 MKSI BC 3-3 オールいわき 3番松本(清)ショートエラー①
7回裏 MKSI BC 0-1 オールいわき 1番草野(真)ライトホームラン②

7イニング制でも東北の社会人野球は楽しい、面白い
社会人野球を統括、運営している日本野球連盟(JABA)は2023年シーズンから競技のスピードアップ化および競技内容の濃縮化を目的とした7イニング制の試験導入を全国約40大会で行いました。
8月に岩手県奥州市の前沢いきいきスポーツランド野球場と同県金ケ崎町のしんきん森山スタジアムの2球場で開催された東北クラブカップも7イニング制が導入された大会の一つでした。
大会初日に行われたMKSI BC対オールいわきクラブの県第1代表対決はそんな7イニング制の面白さを教えてくれた好ゲームだったと思います。

MKSI BC:田村洋人投手(平館)、オールいわき:猪狩瑛希投手(双葉)の両右腕の先発で始まったこの試合は上記の得点経過でもわかるように序盤から両チームとも細かく点を取り合う展開に。ただ、打ち合いだった感じはなくてどちらかというと両チームの投手ともに失点した後の踏ん張りが光った印象でした(回りくどい表現になってしまいましたが伝わるんだろうか…)。
同点で迎えた7回裏、オールいわきの9番鵜沼良延選手(いわき光洋→国際武道大)がライト線を破るスリーベースヒットでサヨナラのチャンスを作ると続く1番草野真矢選手(聖光学院→共栄大)は粘投を続けていた田村投手のこの日ジャスト100球目となったボールを捉えて打球はライトスタンドへ。
延長戦に入る直前で飛び出したサヨナラホームランでオールいわきクラブが準決勝進出を決めました。

ifの話にはなってしまいますが、この試合9イニングだともっと冗長な展開になっていたような気がするんですよね。7イニングだったからこそ投手が好投を続ける中で得点経過も濃縮されて面白い試合展開になったんじゃないかなって思います(意見には個人差)。
7イニング制導入の際に谷田部和彦JABA専務理事がインタビューでおっしゃられていた「社会人野球の試合内容を濃いものにして価値を高めるのが目的」という言葉。その目的を達成できたのがこの試合だったんじゃないかなと思います。

ちなみになんですが、今年の東北クラブカップの一回戦は全4試合どれも接戦の好ゲーム。出場チームの戦力拮抗はもちろんですが、新たなルールを導入した大会でこういった面白い結果が出るとより受け入れられやすいのではないでしょうか。

東北クラブカップ1回戦 全4試合のランニングスコア(一球速報よりスクリーンショット)

なんでもかんでも否定するのではなく新ルールのメリット・デメリットの洗い出しや新ルールが生み出す魅力の模索が必要で、こういったことの繰り返しが野球というスポーツの将来に繋がっていくと私は思います。


4位 5月2日 東京六大学軟式野球春季(小野路GIONベースボールパーク)
慶應大学 1-2x 立教大学

慶應大 000 000 001 00 | 1
立教大 000 100 000 01x |2

慶應大 桃原、●田村−柿崎、内野
立教大 ◯川島−橋本(優)

4回裏 慶應大 0-1 立教大 2番高草木右中間スリーベースヒット①
9回表 慶應大 1-1 立教大 8番柿崎→代打濱田ファースト前スクイズ①
11回裏 慶應大 1-2 立教大 5番清宮ライト前ヒット①

チームの大黒柱・川島太地が見せた魂のピッチング
2021年以来2年ぶりの軟式がランクイン。この大会を見に行くにあたって成績を調べていたらやたら三振を奪いまくってるピッチャーがいるな、ということで気になっていたのが立教大学の主将・川島太地投手(3年・東農大二)
いったいどんな選手なんだろうとワクワクしながら小野路球場へ向かったわけなのですが、想像を超える素晴らしいピッチングを見せてくれました。

立教大学軟式野球部は全体部員数がそこまで多くないこともあって川島投手の打順は4番(6番の日もあったみたいです)。投げない日はサードを守ることもあるようで完全にチームの大黒柱的な存在。
先発マウンドに上がった川島投手はスリークォーターのフォームからキレのあるストレートと曲がりの大きい変化球で三振を奪いまくります。
試合は4回裏に立教大学の2番高草木いくむ選手(3年・立教池袋)のタイムリースリーベースで入った1点が唯一の得点という緊迫した投手戦が続き試合は9回表を迎えます。
あとアウト3つで立教大学勝利、というところでしたが慶應大学は先頭打者の6番小川直央選手(4年・慶應)が左中間を破るツーベースヒットで出塁。慶應大学は続く7番河合優選手(3年・慶應)8番柿崎祐太朗選手(3年・青稜)と連続してバントを指示。完封目前だった川島投手からホームを奪うことに成功し土壇場で同点に追いつきます。
終盤に差し掛かったあたりから足を気にする素振りを見せていた川島投手でしたが延長戦に入っても10回、11回にそれぞれ2奪三振と慶應大学に得点を許しません。一方、慶應大学も7回からマウンドに上った2番手田村誓悟投手(4年・土佐塾)が力投を続けこちらも立教大学には得点を許しません。
1-1の同点で迎えた延長11回裏。立教大学は先頭の1番徳山類選手(3年・文京)がヒットで出塁、更に暴投と送りバントで一死三塁のチャンスを作ります。
ここで慶應大学は3番矢吹悠太郎選手(3年・春日部共栄)4番川島選手を連続敬遠。ここまでノーヒットの5番清宮大城選手(3年・駒場)との勝負を選択しますが、春季リーグ戦で首位打者、最多安打に輝いた清宮選手は初球を捉えて打球はライト前へ。川島投手の魂の力投に見事応えるサヨナラヒットとなりました。


3位 8月11日 JABA関東クラブ選手権大会 神奈川県予選(サーティーフォー相模原)
京浜野球倶楽部 13-14x 横浜球友クラブ

京 浜 221 303 200 | 13
球 友 150 002 024x | 14

京浜 小林、浅井、込宮、●安部(翔)−前田(隆)
球友 中森、林、中山(睦)、◯大橋−関根、三ツ堀

1回表 京浜 1-0 球友 4番高橋ライトオーバーツーベースヒット①
1回表 京浜 2-0 球友 5番石原センターオーバーツーベースヒット①
1回裏 京浜 2-1 球友 2番菊池レフト前ヒット①
2回表 京浜 3-1 球友 1番左中間ツーベースヒット①
2回表 京浜 4-1 球友 2番野口ライト前ヒット①
2回裏 京浜 4-2 球友 8番関根ライト犠牲フライ①
2回裏 京浜 4-3 球友 1番眞栄城ショートゴロ①
2回裏 京浜 4-4 球友 3番高松ライト前ヒット①
2回裏 京浜 4-5 球友 2番菊池ショートエラー①
2回裏 京浜 4-6 球友 4番守谷センター前ヒット①
3回表 京浜 5-6 球友 7番松尾ショートヒット①
4回表 京浜 6-6 球友 4番高橋レフトオーバースリーベースヒット①
4回表 京浜 7-6 球友 7番松尾ライト前ヒット①
4回表 京浜 8-6 球友 8番金井ライト前ヒット①
6回表 京浜 9-6 球友 9番中久喜ライト前ヒット①
6回表 京浜 10-6 球友 1番長山ライト犠牲フライ①
6回表 京浜 11-6 球友 3番前田(隆)5球目パスボール①
6回裏 京浜 11-7 球友 9番益子センター前ヒット①
6回裏 京浜 11-8 球友 2番菊池センター前ヒット①
7回表 京浜 12-8 球友 6番阿部(由)1球目ワイルドピッチ①
7回表 京浜 13-8 球友 7番松尾センター前ヒット①
8回裏 京浜 13-10 球友 1番眞栄城ピッチャーエラー②
9回裏 京浜 13-11 球友 9番益子ライト前ヒット①
9回裏 京浜 13-12 球友 2番菊池レフト前ヒット①
9回裏 京浜 13-13 球友 4番守谷押し出し死球①
9回裏 京浜 13-14x 球友 5番山浦レフト横ヒット①

これぞクラブチームの醍醐味、殴られたら殴り返せ
得点経過、打つのめっちゃ疲れた…。

両チーム合計27得点の乱打戦となったわけなのですが、四球は計10、失策は計5とこのスコアにしてはそこまで多くなくほんとに殴り合ってたんだなあと思います。
京浜野球倶楽部はなんとなくよく打つイメージがありましたが(ざっくりすぎる)、横浜球友クラブ相手に序盤から打撃でこんなに押し続けるのはちょっと予想外だったと言いますか、特に2番手でマウンドに上った横浜球友のエース・林孝澄投手(愛川→神奈川工科大)から7点奪ったのがもうなんというかすごすぎるとしか言いようがない…。
一方の横浜球友クラブは打線の中軸を担っていた中森恵太選手(川崎工科)が先発マウンド。2回4失点で降板するのですが指名打者を解除せずにそのまま退きました。つまり、中森選手抜きで14点取ったわけです。いやもうわけわからんて…。
目の前で繰り広げられている感情大渋滞の殴り合い。日はとっぷりとくれて6回途中に照明点灯。しかしここまでの殴り合いになるとハイになってくるというか、早く試合を進めんかいという気持ちは一切起きず試合を満喫している自分がいました。野球観戦でランナーズハイみたいなこと起こすってどういうことだよ。


2位 10月1日 首都大学野球二部秋季(浦安市運動公園野球場)
足利大学 0-1 日本ウェルネススポーツ大学

足利大 000 000 000 | 0
ウェ大 000 100 000 | 1

足利大 ●古賀−山崎
ウェ大 ◯塚田−小島

4回裏 足利大 0-1 ウェ大 7番三上(弥)ピッチャー前スクイズ①

首都二部の大エースと新星が演じた至高の投手戦
3年からエースに定着し当たり前のように完投を繰り返してチームを牽引し続けてきた日本ウェルネススポーツ大学 塚田大輔投手(4年・帝京長岡)
1年ながら登板を重ね続けて春は防御率1.40(25.2投球回/自責点4)の好成績を記録した足利大学 古賀海音投手(1年・習志野)

春の同カードでは塚田投手は投げておらず、この2人の投げ合いはこの試合が最初で最後。この時点でエモーショナルすぎるわけなのですが、内容も期待通りの素晴らしい投手戦でした。
今年も首都の投手戦が入ってる?気のせいじゃないですか?気のせいじゃないです。

塚田投手は5回までに被安打1無失点7奪三振と圧巻のピッチング。古賀投手は四球こそ5と多く出したものの失点はスクイズの1点のみ、被安打は塚田投手と同じ1と対等に投げ合います。
点差はわずかに1点。味方打線が反撃の糸口を見いだせない中でも古賀投手は力投を続けますが、塚田投手も足利大打線に一切の隙を与えない素晴らしいピッチングを続けて試合は1-0のままゲームセット。

共に被安打2、失点はスクイズのみの1。4年生と1年生がこれほどの互角の投げ合いをするというところがまたグッと来ます。本当に素晴らしい投手戦でした。

最後の方は、古賀投手がこれから塚田投手のようにリーグを代表するピッチャーになっていってくれるのかなあとかそんなことを考えながら投手戦の行方を追っていましたね。


1位 5月20日 首都大学野球二部春季(等々力球場)
明星大学 3-4x 城西大学

明星大 000 100 002 | 3
城西大 001 010 002x | 4

明星大 柳沼、●杉内、舘野、野村(楓)−鵜飼
城西大 中川、◯竹丸−小林(結)

3回裏 明星大 0-1 城西大 2番片平レフト前ヒット①
4回表 明星大 1-1 城西大 8番鵜飼レフト前ヒット①
5回裏 明星大 1-2 城西大 1番松川センター前ヒット① 
9回表 明星大 3-2 城西大 3番濱崎レフトオーバーツーベースヒット②
9回裏 明星大 3-4x 城西大 4番坂口レフトオーバーツーベースヒット②

優勝まであとアウト1つから一転、崖っぷちへ
この日の首都大学野球二部春季リーグ戦は第2試合の城西大学と明星大学の結果で優勝校が決まる大一番。優勝がかかった城西大学としてはなんとしても勝ちたい一戦となりました。

試合は城西大学:中川響投手(4年・岡山学芸館)明星大学:柳沼勇輝投手(3年・帝京)の両エースの投げ合いでスタート。
前半は両校打線がジャブを打ち合うかのように点を取り合い5回終了時で1-2と城西大学がリード。優勝に大きく近づいた、とはまあ言えなくもないですが点差はわずかに1点。まだわからないところ。
捉えられた当たりこそ多いものの要所をきっちり締めていた印象のあったこの日の中川投手、後半に入っても1点を追う明星大学打線に得点を許さず優勝に向けて着実にアウトを重ねていき8回を1点でまとめます。

一方の明星大学は7回一死一二塁の場面でリリーフエース杉内太一投手(4年・細田学園)が登板。4番坂口渉選手(3年・興譲館)5番小林結太選手(2年・関西)と続く怖い打線をゼロで切り抜けると8回も3人で抑える好リリーフで味方打線の反撃を待ちます。

城西大学が1点リードのまま迎えた9回表。あとアウト3つ取れば優勝というところまで来た城西大学は最終回に中川投手とともに投手陣の柱としてチームを支えてきた竹丸和幸投手(4年・崇徳)を送り込む盤石の体制。
サードゴロと三振であっさりツーアウトを取った竹丸投手。あとアウト1つで優勝。しかしここから明星大学打線が竹丸投手に襲いかかります。
1番辻航平選手(2年・箕島)が四球を選び出塁すると、続く2番伊藤選手の代打久保田智也選手(2年・松本第一)が後ろに下がっていたライトの前に落とすヒットでつなぎます。
長打が出たら逆転という場面で迎えるバッターは3番濵﨑雄太選手(4年・平塚学園)。あと1アウトがなかなか取れない竹丸投手でしたが、ボール→ファール→空振りでカウント1-2。あとワンストライクで優勝のところまでこぎつけます。
勝負の4球目。インコースに入ってきた変化球を濵﨑選手は強振。打球は前進していたレフトの頭上を襲います。下村英真選手(4年・東京学館浦安)が懸命に背走するも打球はそのはるか先、フェンス手前に落ち2人の走者が続いてホームイン。明星大学が土壇場で逆転に成功します。

優勝目前のところからのまさかの逆転を許し一転して土壇場に追い込まれた城西大学。明星大学の9回裏のマウンドには好投を続けている杉内投手。
しかし城西大学も食らいつきます。9番小池充選手(4年・小諸商)がバントの構えで揺さぶり四球をもぎ取ると続く1番松川玲央選手(2年・関西)も四球を選び無死一二塁。逆転サヨナラのランナーも出塁します。
2番片平吉信選手(4年・静岡)をサードファールフライに打ち取った杉内投手でしたが、明星大学はここで杉内投手を諦め舘野智靖投手(2年・八王子)をマウンドに送ります。
この試合最大の山場でマウンドに上った舘野投手ですが3番恋田孝一朗選手(3年・関西)に四球を与え一死満塁にしてしまいます。明星大学は再び投手交代、野村楓投手(2年・国士舘)がマウンドへ。
まだ1点ビハインド。仮にここでゲッツーが出たら試合終了。しかし城西大学はスタンドもベンチも押せ押せの雰囲気。打席には4番坂口選手
初球。坂口選手は抜けた変化球を逃さず強振。打球は城西大学を土壇場に追い込む逆転の一打を放ったレフト濵﨑選手の頭上を遥かに超えていきます。
歓喜で湧く三塁側ベンチ。歓喜で湧く三塁側スタンド。
代走の板垣蓮選手(4年・尾道)に続いて松川選手も拳を突き上げてホームイン。城西大学が二期連続となるリーグ戦優勝を決めた瞬間でした。

今思い出してもとんでもない展開というか…9回に逆転したのももちろんすごいんですがどちらもリリーフエース的ポジションの投手が立ちはだかる中での逆転というのが劇的具合に拍車をかけているように思います。

今年見た試合の中でインパクトが強かった試合は群を抜いてこの試合でしたね。他の試合も負けず劣らずの素晴らしい試合でしたが、優勝のかかった試合の最終盤に逆転の応酬を繰り広げるなんて熱い展開出されたら及ばないでしょう。

ということで以上10試合が今年のベストゲーム10選となります。来年の観戦予定は全くの未定ですが見られそうなら引き続き適当に観戦に行きたいと思います。

終わり

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