新潟ゲーセン回顧録①(上越編)
ゲームセンター。
それは、薄暗い店内、煙草の煙、鼓膜が破れそうな程の電子音、ゲラゲラと笑う声、台を叩く音、散らばる小銭、見回りの体育教師、名も知らぬ友人達、そして自動ドアが開いた瞬間に吹き込む澄んだ空気。
日常とドア一枚隔てた異空間のギャップに魅せられて、私はゲーセンの虜になりました。最初は親の目を盗んで出かけ、次は学校の帰り道。地元を離れてからは堂々と入り浸り、仕事を始めてからはスーツのまま、日が変わるまで。
ゲーセンで過ごした日々は、私にとってかけがえのない時間です。しかし時代は変わり、多くのお店が消えていきました。これからはお店がなくなっていくだけでなく、ゲーセンでの思い出もこの世から消えていってしまうのかもしれません。
そんな思いから、ここに私のゲーセンの記憶を残します。
ゲーセンで同じ時間を過ごした同志達に届くことを祈って。
上越のゲーセン編(1990年代後半~)
1 西澤書店
上越市高田の大アーケードの入口、本町三丁目。お馬出し通りの八百屋の隣にあった本屋さんが西澤書店です。
え?いきなりゲーセンじゃないって?
そうかもしれませんが、昔は街の至る所にゲーム機が置いてありました。西澤書店は4台ほどのゲームが設置されていて、学校では模範的優等生な私(多分…)でも入りやすい場所でした。マンガ本も立ち読みできましたし。それでも、最初の頃は「見回りの先生に補導されるのではないか…」という緊張を背中に走らせていた記憶があります。
2 大町小学校前の駄菓子屋
確か2010年位まで?営業していた駄菓子屋さん。
1990年代後半には、既に上越の駄菓子屋は絶滅寸前で、ここと稲田の商店街にあった駄菓子屋の2件くらいしかなかったように思われます。
ここの素晴らしいところはもちろんゲームが置いてあるところ。
狭い店内でお菓子を食べながらゲームをするのは最高の雰囲気!
…なのですが、当時私は中学生になり、小学校前の駄菓子屋に入るのが気恥ずかしいお年頃でした。ゲームをプレイしたのは1回だけ。(3on3の格闘ゲーム)
あの頃に戻れるならもう一度行ってみたいお店です。
3 ハイテクセガ
本町3丁目にあったゲームセンター。
高田地区の学校に通う中高生のたまり場で、私のホームグラウンド的な場所でもあります。
見回り教師が出没するという噂があり、最初はビビりながら通っていましたが、次第に気にならなくなりました。当時はそれを「大人の階段を登る」ように感じていたように思います。
私がそんなちっぽけな階段を登っている間に、友人は煙草に手を出してみたり、パチンコに行ってみたりと、数段飛ばしで階段を登って行ったのですが、小心者の私はゲーセンが精一杯。その分、ゲームに打ち込みました。
ゲーセンでの勝負は、年齢、性別、肩書すら関係ない真剣勝負。
勝てば歓声を浴びたり、「お前強いな!」と声をかけられたりしました。
(稀に因縁をつけられたり、台を蹴られたりすることもありますが…)
勉強もスポーツも凡人だった私は、ゲームの腕前だけが全てのこの場所を、居心地よく感じるようになっていきます。
…残念ながら、唯一の取り柄だと思っていたゲームの腕も、勘違いだったとすぐに気づかされることになるのですが。
4 げえむ屋
当時は新井のサティ(現ピアレマート)の横に店舗を構えていた、大型のゲームセンター。
※いきなり余談ですが、サティには二か所のゲームコーナーがあって、当時新作のX-MEN VS. STREET FIGHTERやVAMPIRE HUNTERが設置されており、美麗なグラフィックに衝撃を受けた記憶があります。あと、当時ですら珍しいピンボールも置いてありました。あの時プレイしておけばよかった…
閑話休題。高田住まいの私にとって、このげえむ屋に行くのは相当ハードルが高かったです。当時中学生だった私の移動手段は自転車。片道10km以上…行けないことはないのですが、結局、南高田駅から北新井駅まで電車で行きました。
ここまでして向かったのは理由があります。
それは稼働したばかりの新作ゲーム「鉄拳3」の大会。
当時、親を説得して買ってもらったプレイステーションで、毎週友達と「鉄拳2」の対戦に明け暮れていた私は、〇〇中学校最強の名を欲しいままにしていました(多分)。
そこで、"俺より強いやつに会いに行く…"と意気込んで、貴重な電車代を費やし、友人2名を引き連れて、腕試しの旅に出たのです。
が、結果は惨敗…
3人ともほぼパーフェクト負け。
対戦相手の、ひたすらバックステップで後ろに下がり、こちらの攻撃をスカしたところで反撃を決めるというスタイルに全く対応ができず、相手に触れられないまま一方的にボコボコにされ、プライドもボロボロです。
失うもののなくなった私たちは、3人で100円ずつ出し合って、はじめての脱衣麻雀「対戦ホットギミック」をプレイしました。
もう一段、大人への階段を登った気がしました。
おわりに
さて、今回はここまで。
思ったより長くなってしまったので、次回は上越編②、その次は新潟市編に続く…かもしれません。
ちなみに「3 ハイテクセガ」での思い出は、以下に小説として綴っています。当時の空気を感じる助けとしていただければ幸いです。
1999年7の月、ゲームセンターで世界の滅びを願う。(Enjoy!上越!) - カクヨム (kakuyomu.jp)
それではまた。
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