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その手がかりは、《日曜日》にある。

家の押入れに眠っている8ミリフィルム。そこには、昭和の世田谷の暮らしや街並みが、市井の人々の視点から記録されていました。『*移動する中心|GAYA』は、世田谷区内で収集・デジタル化した84巻(およそ16時間)の*ホームムービーを、生活文化資料として利活用する試みです。

例えば、区内の教育の現場で、福祉の現場で、まちづくりの現場で、映像を媒介とした古くて新しい出会いの場を創りたいと考えています。また、映像の再生をきっかけに紡がれた、その時代を生きた人々のオーラル・ヒストリーをアーカイブしていきます。
 
出会いの場を創ったり、語り手を探し、声を拾いあげ、まとめる役割を担うのは、公募で選ばれた「サンデー・インタビュアーズ」のメンバーたち。彼らは、他者の話を聴くことに関心をもった、ロスト・ジェネレーション(失われた世代)と総称される世代から構成されたグループです。
 
メンバーはそれぞれに、誰かの語りに耳を澄ませたり、誰かが残した記録を調べながら、自分が生まれる前のことについて探求していきます。映像に写っている人たちはどんなことを好み、嫌ったのか。いつ笑い、泣いたのか。どのように喜び、傷ついたのか……。
 
ロスジェネ世代のサンデー・インタビュアーズのメンバーが「昭和」という時代に向き合うのは、「私たちはどんな時代を生きているのか」という問いの答えを探すため。その手がかりは、84巻のホームムービーの中に、語り手の声の中に、日曜日の中にあります。

誰かの記録を借りながら「私」の視点を獲得する。そんな充実した余暇活動が始まります。

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『*移動する中心|GAYA』…東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、特定非営利活動法人記録と表現とメディアのための組織[remo]、公益財団法人せたがや文化財団 生活工房の共催により、東京アートポイント計画の一環として実施しているコミュニティ・アーカイブプロジェクト。2019年から始動。企画運営は、remoを母体としたAHA![Archive for Human Activities/人類の営みのためのアーカイブ]が担っています。
 
*世田谷クロニクル1936-83…2015年から始まった『穴アーカイブ:an-archive』(主催:公益財団法人せたがや文化財団 生活工房、企画制作:特定非営利活動法人記録と表現とメディアのための組織[remo])が、収集・デジタル化した8ミリフィルムを公開するために制作されたウェブサイト。