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昭和末期、大手金融に同期中たった一人の女性総合職として入社した私。ファーストペンギンの困難さとは?

昭和後期、まだ男性と女性社会の棲み分けがはっきりしていた時代。私は、300人の同期入社の中、唯一の総合職女性として大手金融機関に就職しました。ファーストペンギンの苦労とは、どんなものだったのか?
私がボケて記憶をなくさないうちに、歴史上の事実として文書化しようと思いました。

当時はバブル経済のピークで証券市場は活況。
大体、7時30分頃出社して、退社は11時。遅いと25時。週80時間労働がデフォ。パワハラ、セクハラなんでもありの超絶ブラック環境でした。(不謹慎で申し訳ないですが、2015年 電通過労死事件で、月間の残業時間120時間を「120時間も」と表現していたのに対し、私は「少なっ」と思ってしまいました。)

しかし、これは他の男性にとっても同じことなので、今回は「女性総合職」に限った話に限定します。

1.個人の評価=女性全体の評価に繋がるプレッシャーと常に戦い

新卒で入社した女性総合職としては、私が実に11人目。当時は一般職から転換した先輩も数人のみ。全体の女性社員数は約10,000人、つまり総合職女性は女性全体の0.1%。女性全体の平均年齢は25歳くらいだったと思います。

翻って、総合職というくくりで考えると、男性300人に対し、女性は一人だけ。実に0.3%だったのです。

この状況で何か私がミスをしたらすぐに
ほらみたことか、だから女に仕事は無理なんだ」となるため、常にテンパり状態。研修期間中は、テストの点数、営業研修で集めた名刺の数等、全て集計されるから、常に上位にくるように頑張りました。というか、そうせざるを得ませんでした。

そして、配属後も、徹夜しようが上司に怒鳴られようが、決して弱音は吐けませんでした。だって、少しでも弱音をはいたら
早く結婚相手をみつけて家庭に入ったほうがいいよ。女の幸せは結婚だ」ってなるから。
スーパーウーマン or  お嫁さん、この中間はなかったのです。

私は、結局外資系に転職してしまいましたが、JTCに残っていて女性管理職になられた40代後半から上の方は、少なからずこのような経験を潜り抜けているのです。それなのに、最近の若い女性からは「あの世代のようには働きたくない」と疎まれているそうですね。なんだか哀しいです

この世代の人は「男と同じように」働く以外の選択肢はなかったのです。

2.一般職女性との関係が難しい

「昨日は何時までいたの?11時?良かったわぁ、私総合職にならなくて
「私の大学の同期でも○○の総合職になった子がいるんだけど、ノイローゼになって辞めたのよ
というような事を、ニコニコと話てくる同期女性がいて対応に悩みました。
それも、たまたま2人きりになったときだけ(お姑さんみたい)
他にも、私をストーカーのように監視し、細かいミスを部長にチクるのが日課の先輩も。

日本女性は、自分の軸がなく、「同じ女性なのに自分と違うことをする」人に対して、攻撃的な人が多いと思います。その後の人生においても「ワーママ vs 子供のいない女性」「専業主婦 vs 兼業主婦」と、私は常にマイナー路線を歩んでいた(私の年代としては)ので、常に攻撃を受ける側でした。
残念ながら、自分の肌感覚で「女性の敵は女性」と思わざるをえません。

3.男性同僚との距離の取り方についても悩む

当時一番気にかけていたのは、男性が「ノミニケーションで先輩から伝授される情報やノウハウ」を受けることができず、同期の男性と情報量にどんどん差がついてしまうのではないか、ということ。そのため、残業の後の飲み会には、例え10時からでも積極的に参加していました。

実際にノミニケーションで得る情報は大変有益でした。隣の部門が最近退職者が相次いでいるのはなぜか、とか、進行中の案件が突然中止になったのはなぜか?等、社会のルールを学ぶ良い機会になったと思います。

最近「おやじビジネス用語ビンゴ」をやってみましたが、正解率100%でした(笑)。私の年代の女性で、こういう人は稀だと思います。「仁義をきって」「筋を通す」等の言葉は、フツーに使いこなせます。その結果、子供も
おやじビジネス用語に慣れ親しんでしまいました。

こうした行動も、最近の若い女性からは、嫌われているようですね。
前の世代の女性は「もっと女性らしくしなやかに働く方法を構築すべきだった」と。うーん、それは、次の世代の人にお願いするしかないですね。

4.結局、四面楚歌。見方は誰もいない

「こんなに毎日残業をしてると、子供が産めなくなるぞ」(男性先輩)
「あなたは女性なんだから、お茶出しの練習もしておくべき」(一般職先輩)
接待ゴルフ講習会に同期男子はよばれたのに、お前だけよばれなかったよな?マズいんじゃないの?総合職なんだから、ゴルフはマストだろ」(男性先輩)
「他の女の総合職は、ワンピースとかきてなっとらん。ダークスーツ着ろ。女の総合職をモデルにするな。オレをモデルにしろ」(人事部)
「賢い総合職女性は、一般職女性と上手くやれるはずよ。私はそうしてきたわ」(女性総合職先輩)

色々な人が色々なことをいってきました。連日の1日16時間労働も加わり、色々な感情を押し殺していくうちに、私は、心の底から笑う事が無くなってしまいました。

今タイムマシーンがあったのならば、大手町で一人で深夜残業している23歳の私のところにいって、ドーナツでも差し入れてハグしてあげたいです。(そういう漫画がありましたね)そして、励ましてあげたい。
「大丈夫、周りの人のいうことは「それってあなたの感想ですよね?」だから!」

とりとめがなくなってしまいましたが、これを読んで、今の若い世代がどう思われるのか関心があります。コメントをいただければ、嬉しいです











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