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ヒッチハイクで3000mの北アルプス登ってきたよ(0日目)

ハートください♥


9月の半ば、1ヵ月にわたる教育実習も折り返しを迎えようとしていた最中、心という心が荒み切った林田は、ただひと時の安寧を求めていた。


そんな時、ある一枚の写真が林田を、富山は「立山」という北アルプスにそびえ立つ3000m級の山まで駆り立てた。

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澄み切った青空と生い茂る草原のコントラストが、毎日の小汚い机とアスファルトとの往還に嫌気を感じていた自分にとっては、たまらなく魅力的に映った。

「教育実習終わったら、立山登るしかない!」

と即座に決心した。
正確な判断力は、既に1ヵ月の喧騒の中で追いやられていたようだ。


さて、意気揚々と立山に登ることを決めたはいいが、立山登山にあたって、大きな2つの懸念を検討する必要があった。


①お金がない

②そもそも、山登ったことねえわ

という2点だ。


まず1点目の「お金ない」問題に関して。
広島から富山までは約700km。車でも約8時間かかる。

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レンタカーを借りようにも、新幹線で行こうにも、教育実習終わりで財政破たん寸前の僕には交通費に割く金銭的余裕は無い。

「どうやって富山まで行くか?」
「そもそもホンマにいけるんか?」
「でも、マジで行きたいねん俺」

と教材研究の時間も削って、自問自答を繰り返した。


残された選択肢は1つしかなかった。
むしろ、この選択をしたかったがために、ワザワザ富山などという僻地を目的地に設定したのかもしれない。

「ヒッチハイクするか!」

幸いにも自分は8月の頭に、ヒッチハイクで九州一周を達成した経験があったため、ヒッチハイクをすること自体にそこまでの抵抗感はなかった。



むしろ、久々にヒッチハイクできることを心待ちにしていた自分がいたのかもしれない。

どうやら1つ目の「お金ない」問題は、ヒッチハイクという手段でクリアできそうだ。


そして次に立ちはだかる2つ目の「山登ったことない」問題は、本当に悩んだ。

「立山」という山は、先人の英知と汗との結晶によって登山ルートが開拓され、初心者でも日帰りで訪れることができる山として有名だ。

(※この「初心者でも日帰りで訪れる」という言葉は、言い得て妙である。登頂して分かったが、この「初心者でも日帰りで訪れる」ことが推奨されるのは、立山の中でも平野部にあたる範囲を指しており、決して「初心者でも何の用意もなしに日帰りで登頂できる」という意味ではなかった)

しかし、初心者でも訪れることができるとはいえ、立山が北アルプスの最高峰、3000m級の山であることに変わりはない。

高山病、滑落、体力不足、山登り未経験者の経験不足・知識不足は、こうしたアクシデントを招きかねず、最悪の事態を迎えた場合、広島に帰ってくるときは顔に白い布がかかっているかもしれない。

恐らく「初めての登山が3000mの北アルプスでした~(^^)」
などと登山経験者に語ったその日には、パタゴニアのリサイクルボックスにぶち込まれること必至であろう。


しかし、教育実習で心がズタズタに切り刻まれていた林田にとって、そんなことを思慮に入れる余裕は無かった。

「お!初心者でも登れるのか!俺筋トレしてるし、まあなんとかなるやろ」

後から回顧するならば、こういう浅はかな判断をするヤツがいるせいでスーツで富士山に登ったり、台風の中川遊びしたり、という事例が後を絶たないのだろうな、と反省するばかりだ。


こうして特に大した準備をすることもなく、教育実習が終わった10月の頭、3泊4日の弾丸3000m北アルプス突撃旅が始まることになった。

しかし林田は、計画は所詮計画でしかないことを、ひたすらに思い知らされる一週間を過ごすことになるのであった。。。


ハート待ってます♥