EVピックアップトラックは長距離を走れるのか?輸送力、牽引力は?
フォードが2021年に「F-150 ライトニング」を初公開したように、これから主流になるかもしれないEVピックアップトラックの長所と短所を理解し、航続距離への不安を解消するために、詳しくご紹介します。
仕事のために強力なピックアップトラックが必要な場合、燃料を節約し、地球環境を守るためにEVに移行することを検討するかもしれません。しかし、フォードF-150 EVのようなEVピックアップトラックは本当に長距離を走ることができるのでしょうか?また、パフォーマンスや牽引力についてはどうでしょうか?
EVピックアップトラックの強み
EVピックアップトラックは、ほとんどの場合、ガスやディーゼルのピックアップトラックに匹敵するか、さらなる優位性を持っています。
性能は抜群
EVピックアップは、速く、静かです。フォードF-150ライトニングは0-60mphを4.0秒で駆け抜ける。リヴィアンR1Tは3.3秒で時速約96キロ=60マイルに到達します。
また、EVピックアップは牽引力に優れ、最大級のディーゼルピックアップを除くすべてのピックアップを凌駕するパワーを備えています。フォードF-150ライトニングは、最大1万ポンド(約4535キログラム)を牽引し、ピークトルクは775ポンドフィート(約1.6トン)です。Rivian R1Tは、ピークトルク908ポンド、最大11,000ポンドの牽引が可能です。
1回のフル充電で、多くの人が1日に運転するより長い距離を走行可能
EVピックアップの航続距離は、メーカーや選択するバッテリーオプションによって異なります。フォードF-150のEV走行距離は、標準仕様のバッテリーで推定230マイル(370キロ)。延長バッテリーにアップグレードすると、推定航続距離は最大320マイル(514km)になります。Rivian R1Tの航続距離は、フル充電した標準的なバッテリーで約260マイル(418km)、バッテリーとモーターをアップグレードすると最大400マイル(643km)になります。
バッテリー上がりを未然に防ぐオンボードテクノロジー
内蔵されたテレマティクス機能により、バッテリーの充電レベルや残りの航続距離について常に情報を得ることができます。このテクノロジーは、バッテリーの残量が少なくなってきたときに警告を発し、そうなると、GPSマップが自動的に最寄りの充電器へと向かわせます。
フォードF-150ライトニングには、時間の経過とともに航続距離予測の精度を高めるスマートテクノロジーが搭載されています。例えば、走行中に運転行動データを収集し、走行距離を推定する際にあなたの運転実績やスタイルを考慮します。
ダウンタイムに充電するのが効率的
会社や自宅の駐車場に一晩停めておくと、その時間を利用してバッテリーを充電することができます。翌日から給油の手間が省けるだけでなく、よほどの長距離移動でない限り、充電の手間も省けます。なお、バッテリーの健康状態を考えると、普段は85%から90%程度で充電することをおすすめします。100%まで充電するのは、必要なときだけにしてください。
日中、ランチやミーティングなどで車を停めたまま充電したい場合は、近くに充電スタンドを見つけておきたいところです。充電の速さは、接続する充電器の種類によって異なります。DC急速充電器なら、10分間で約54マイル(87km)の走行が可能です。レベル1やレベル2の充電器では、かなり遅くなります。
トラックが充電ステーションを探し出す
走行開始時にピックアップのナビゲーションシステムに目的地を入力すると、道中にある充電ステーションを地図上に表示します。DC急速充電器やレベル2など、希望するタイプの充電器だけを表示するよう、結果をフィルタリングすることもできます。スマートフォンで充電ステーションを探すには、トラックメーカーのアプリをダウンロードすることができます。
EVピックアップトラックの限界
EVピックアップトラックは、多くの利点がありますが、すべての状況に完璧に対応できるわけではありません。
牽引による航続距離の大幅な減少
牽引によって航続距離は約半分になるとの試算もあります。しかし、実際には、トレーラーの重量、風の抵抗、交通速度、天候、ルートの地形、運転行動など、さまざまな要因に左右されます。ピックアップのナビゲーションシステムは、これらの要因を考慮し、途中で充電が必要になるかどうかを判断します。
長距離を牽引する必要がある場合、EVピックアップは今のところ現実的な選択肢ではありません。
重い荷物や極端な温度差などでも航続距離が短くなる
ガソリン車やディーゼル車と同様、EVピックアップの航続距離はさまざまな要因に影響されます。トラックの荷台に重い荷物を積んでも、性能的には問題ありませんが、航続距離は短くなります。また、寒暖の差や暖房の効きすぎも航続距離に影響します。
もうひとつの重要な要素は、運転行動です。惰性走行を増やし、急ブレーキを減らすことで、トラックの回生ブレーキ・システムを最大限に活用し、航続距離を伸ばすことができます。
万が一、充電が切れてしまったら
航続距離が長く、車載アシストが充電残量を知らせ、必要に応じて近くの充電ステーションを案内してくれるのですから、充電切れになることはないはずです。でも、万が一、充電が切れてしまったらどうしましょう?
EVピックアップは、発電機(インバーター発電機、一部オプション)を搭載しているので、バッテリーが上がってもレベル2(時速10〜11マイル)で充電が可能です。(車種によってはアダプターが必要です)また、どんなコンセントにも差し込めるポータブル充電器もあるので、120Vの標準的なコンセントさえあれば、充電ステーションに行くのに十分な充電が可能です。
クルマとミッションのマッチング
EVピックアップトラックでポジティブな体験をするための鍵は、それがあなたのニーズに合っているかどうかを確認することです。日常的な走行距離が走行可能距離内に収まっていて、長距離を牽引するようなことがないのであれば、EVピックアップトラックは非常に有効な手段です。しかし、EVピックアップはまだ歴史が浅く、今後多くの人が使うことでメリット・デメリットがはっきりしてくるでしょう。
出典
https://www.unitedrentals.com/project-uptime/equipment/ev-pickup-trucks-can-they-go-distance