夏目漱石『こころ』の読み直し

『こころ』なんて本をよく読む人、つまり読書家さんにとっては当然遠い昔の本で、既読だと思います。だからこれを推薦本にするなんて恥知らず!推薦されんでも読んどるわい!再読する暇があるならクロード・シモンでも読んだ方がいいなどと。でも再読すると忘れていたことや、読みの浅さ以前にいかにこの本が読まれていないかが分かる。


最初読むと訳のわからない小説で難儀する。もっとも理解しやすいのは「先生」が悪い親戚に財産をだましとられたことくらい。

でも再読すると前より楽しめるはず。「先生」のキャラクターの捉えどころのなさや、「私」の分析の深さやモブキャラに過ぎない人々の配列、季節感の乏しさ、漢検一級を勉強する必要のないオーディオで聞いても分かる平易な言葉遣い(だから小学生でも一応読める。)など。

だから自分の推薦本は『こころ』です。

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