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【業界研究】私の思うメーカー営業の5つのお仕事

2017年より総合電機メーカーにて、4年間中国のお客様を担当し、内2年間は中国現地の販売会社に出向していました。

私のやっていた商品は90%以上が再販(代理店経由での販売)となるので、すべての営業に当てはまるわけではないですが、メーカー営業としてのお仕事については理解しているつもりですので、その辺りを紹介します。

私の思うメーカー営業のお仕事は「利益を稼ぐ」「お客様の声を届ける」「点の情報をとにかく掘る」「社内を守る」「感謝と謝罪を伝える」です。

1.利益を稼ぐ

まず、営業のお仕事は「商品を売る」事になりますが、その際に営業が責任を持つのは売上よりも「利益」を稼ぐ事だと思っています。

メーカーは商品を開発し、製造し、お客様へ販売するわけですが、この「販売する」の部分の責任を負うのが営業になります。

その際にほぼ全てのお客様は「良いものを安く買いたい」と思っています。従って、値段を下げれば売れる確率は上がっていきます。これは大体どんな商品でも当てはまると思っています。言い換えると、お客さんの言い値(≒安値)を出せば、理論上に誰でも売上を上げる事がきます。

営業はこの「売価」を決める際の責任を負っています。お客様のご意向に沿う事は大切ですが、汗水流し開発、生産をしてくれた皆さんの為にも「一円でも高く」売ることで次の開発費用や設備投資の資金を捻出し、よりよいものをお客様にお届けできるようになります。

仮に売価を下げてたくさん売る事が出来たとしても、利益が稼げていないとメーカーにとって大切な「商品」をより良くすることが出来ないです。

どうしても足元の売上を意識してしまいますが、営業の仕事は利益を稼ぐ事、売上をクリアしても利益が届きませんでした、というのは営業の責任を果たせていないと私は考えます。

2.お客様の声を届ける

メーカーには開発、品質保証、購買、製造、企画、総務等々沢山の部門があり、日々お仕事していますが、その中で唯一お客様と直接話をする部門が営業になります。

従って、今後のより良い商品を作るために必要な情報=お客様の声を社内に届ける責任も負っています。

お客様はどんな商品を求めているのか、具体的に言うと性能、価格、品質、アフターサービス、製造納期等の情報を正確かつタイムリーに社内へ展開し、各部門を動かすことが求められています。その中で、社内の各部門に対して、厳しい意見を述べ、戦わないといけない場合も生じます

嫌われ者になることも厭わず、お客様の声を届ける、ただ商品を売るだけでなく、こういった社内向けのお仕事も営業の役割になります。

3.点の情報を深く掘る

2.お客様の声を届ける、に繋がる部分もありますが、営業は自身の担当しているお客様について、色々な場面で情報を求められます。

営業担当者は会社を代表してそのお客様と会っていますので、もし答えられないとなると、社内には基本的に答えられる人がいないという状況になります。これは非常にまずい状況になります。

営業は自身のお客様=点、の情報をとにかく深堀し、情報提供が出来なければいけないと思っています。営業が点で持ってきた情報をもとに、そのお客様の満足度を上げる事は勿論ですが、それぞれの営業がバラバラに持ってきた点の情報を集約、分析し、市場=面の動向を示し、経営判断の材料とすることにも繋がります。なお、面の情報を提供する責任が企画(≒マーケティング)になると言えます。

大きい企業であると営業と企画の部門が分かれていたりするので、その際には企画では手の届かないところまでお客様のことを知り尽くすことが社内での信頼向上に繋がります。

4.社内を守る

これも私が意識していたことですが、お客様から「開発部門と直接話をさせてほしい」や「納期について製造と直接話をしたい」等の要望を受ける場合があります。

新製品の開発等前向きな場合もありますが、こうした要望は往々にしてクレーム等の悪い話であることが多いです。その際に「お客様の要望だから」と簡単に社内の人間を連れていくことは営業としての責任を果たしていないと私は思っています。

開発や生産、品質保証は「お客様と会う事」がメインの仕事ではないです。従って、通常業務の間を縫って出てきてもらう形になります。従って、「出した」からには営業だけで行く以上の価値がお客様と社内双方にないといけないです。

特に商品の性能や品質、納期などのクレームの際、営業と違って開発や品質保証、製造は現場レベルで商品に関わっているので、一言の重みが違います。営業であれば時に「すみませんでした」で済む話が、これらの部門から直接発言したとなると信頼を失う致命的な状況になります。

他の部門を出す場面を作るためには、「なぜ必要か」しっかり情報を整理したうえで、展開します。時にはお客様側からの一方的なクレーム等はうまくさばいて、社内を守る必要があります。ボランティアではなくビジネスなので、双方にメリットが生じる状況以外は盾となることも大切なお仕事です。

5.感謝と謝罪を伝える

ここはやりがいの部分にも繋がりますが、お客様の喜んでいる顔を直接見るチャンスが多いのも営業であれば、逆にお客様の怒っている顔を見る場面も多いのも営業です。

ご購入いただけた際には、感謝を伝える事も大切な仕事の一つです。反対に、自社の製品が問題を起こした際には、営業が勧めた商品が起こした問題なので、まずは誠心誠意、謝罪したうえで、解決策を講じる必要があります。

仮に品質問題が起こった際に、品質部門がただただ「すみません」と言っていたら、お客様は「そんなことはいいから原因と対策を教えてくれ」となってしまい、信頼を失いますが、営業は初動の部分で「すみません」の一言をいうことが仕事になります。営業は直接商品の開発、製造にタッチしない分、感謝や謝罪をすることもお仕事の一つとなると思っています。

少し話がそれますが、私が思う出来るセールスは「こんにちは」「すみません」「ありがとうございました」の3つの言葉だけで商品が売れる人だと思っています。

最後は精神論みたいになって面白くないかもしれませんが、ヒトとヒトでやるビジネスの人間らしさを守っているのが、営業のお仕事かもしれません。

最後に

いかがでしょうか、営業マンは売上を上げれば評価される、コミュニケーション能力が高いといった華やかなイメージをお持ちの方もおられるかもしれませんが、メーカー営業のお仕事は社内外の間に挟まれるとても泥臭いお仕事です。嬉しい事よりきつい事のことの方が断然多いです。

報われない部分や自分ではどうしようもできないことが多い反面、ビジネスの面白さの一つである「いくらで売る」という部分に直接タッチできるところ、あるいは直接お客様の喜ぶ顔が見れるといったところにやりがいを見出すことも出来るかと思います。

以上、参考になれば幸いです。

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