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知らない方がよかったフランス語

私は大学で第二外国語としてフランス語を学んだ。

英検に置き換えると3級程度のレベルまでしか勉強しなかったが、それでも日常で見かけるちょっとしたフランス語くらいなら意味はつかめる。

例えば、集合住宅の名前でよく見るメゾン(maison)は「家」、シャトー(château)は「城」、ファミーユ(famille)は「家族」だ。グラン・メゾン(grande maison)なら「大きな家」になる。

飲食関係の言葉にもフランス語はよく使われている。

ショコラ(chocolat)は「チョコレート」、フロマージュ(fromage)は「チーズ」、アペリティフ(apéritif)は「食前酒」。ガトーショコラ(gâteau au chocolat)なら「チョコレートケーキ」だ。

他にもエトワール(étoile)で「星」、ボヌール(bonheur)で「幸福」、フルール(fleur)で「花」といったあたりの単語は、お店の名前などで使われているのをちょくちょく見かける。

と、ここまで書くと何となく感じる人もいるだろうが、アルファべットやカタカナのままなら別にいいのに、意味が分かった途端に何だかありがたみが薄れてしまう気がしないだろうか。

ありがたみは高級感と言い換えても構わない。

フランス料理店で「アペリティフは?」と聞かれるのはまだ分かる。「食前酒は?」と聞かれるよりも気分が出るだろう。

でも、意味的にはまったく同じなのに、「ガトーショコラ」と「チョコレートケーキ」の間に漂うイメージの違いは何だろう。何だか騙されている感さえある。(パティシエ業界では明確な区別があるかもしれない。あくまで素人、一消費者のとしての目線だと思ってください)

さらに言うと、マンション名の「グランメゾン」なんて英語に直すと  "big house" だ。同じマンションでも「ビッグハウス○○」という名前だったら、なかなか買い手はつかないだろう。(そういう名前のところに住んでる方、ごめんなさい)

他にも、日本語に直すと「いい天気ですね」とか「たくさんの花」なんてフランス語が書いてあるTシャツやグッズを見かけることもある。パッと見のおしゃれさやカッコよさと文言の内容とのギャップで、何だかなあ…という気分になる。

普通なら勉強して見える世界が広がると嬉しいものだが、こういう時は知らない方が幸せだったかもしれないと思ってしまう。きっとドイツ語とかイタリア語あたりも勉強すれば、「高級そうに見えて実はダサい」という例がいくらでも見つかるのだろう。

だから私はもう随分前から、自分が意味を把握できない横文字が並んだ服やアイテムを買わないようになった。「実はダサい」がこわいのだ。

今はスマホをかざせば勝手に翻訳してくれる機能があるので、気になる人は一度身の回りのものを調べてみるといいかもしれない。

意味が分かると冷めてしまうリスクもあるので、あえて知らないまま雰囲気を楽しむのも一つのスタンスではあるのだが。

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