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新たな交換経済『トークンエコノミービジネスの教科書』

『トークンエコノミー』という言葉を知って、その意味を調べたところ、何やら今の貨幣経済にはない考え方があると思い興味を持った。

いままで見えなかった価値を含めた、拡大した価値の経済を作るのがトークンエコノミーであると指摘する。すなわち、これまでの「マネタイズ」という考え方をさらに進め、価値を直接に求める経済とはなにかという命題である。Sho T氏はそれを「価値タイズ」と呼んでいるという。
出典:https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/event/1168390.html

このトークンエコノミービジネスについてまとまって書いた(おそらく)唯一の本がこちら。
『トークンエコノミービジネスの教科書』
https://www.amazon.co.jp/dp/4046042141/

面白かったので、かんたんにまとめてみます。

■こんな人におすすめ
・新しい経済の考え方に興味がある
・コミュニティに興味がある
・ビットコインとイーサリアムの違いがわからない

■本書で言っていることはざっくり2つ。
1.トークンエコノミーでできること。同じ価値観を持つ人が密度の濃く集まる相互補助型の経済圏を形成
2.なぜそれができるのか。成り立たせている技術はイーサリアム

1.トークンエコノミーでできること。同じ価値観を持つ人が密度の濃く集まる相互補助型の経済圏を形成

□トークンエコノミーとは『デジタル通貨による新しい経済圏』

トークンエコノミーが従来の法定通貨を使った経済圏と異なるのは、その流通を担う中間業者が不要である点である。これにより実現するのが「生産者と消費者の閉じた経済圏」。従来の貨幣のように複数の経済圏をまたいで利用可能なものではなく、特定の価値観を持つもの同士だけで交換可能なトークンにより「密度の濃い小さな経済圏」が成り立つ。

そして、トークンエコノミーのもうひとつの特徴として「コミュニティのメリットになる行動をすることで参加者がトークンを得ることができる」点がある。例えば韓国のアイドルグループ『ドリームキャッチャー』は、海外のファンのためにスペイン語翻訳を手がけたファンに対してトークンを発行している。

□トークンエコノミーのインパクト:消費は単純消費型から相互補助型へ

このトークンエコノミーにより消費の形は単純消費型から相互補助型になる。先のアイドルの例でいうと、これまでは仕事で稼いだ法定通貨をアイドルのコンサートやグッズに使っていたのに対し、トークンエコノミーでは翻訳などによって得たトークンでグッズ購入ができるようになる。そして、トークンの価値が高まるほど参加者のメリットも高まるので、プラットフォームの価値を高めることが共通の目的(共同組合的な組織)になるのである。

□トークンエコノミーを成り立たせる条件
こうした相互補助型の経済圏が成り立つための条件として、3つがあげられている。

1.価値のある独自トークンが存在する
2.特定の行動に対してインセンティブを付与する
3.トークンの価値を高める施策がある

2.なぜそれができるのか。成り立たせている技術はイーサリアム

2017年の仮想通貨ブームで話題になった技術『ブロックチェーン』。ビットコインが有名だが、その仮想通貨のひとつに『イーサリアム』があり、このトークンエコノミーはイーサリアムの技術を使って成り立っているらしい。イーサリアムが他の仮想通貨と異なる革命的点があり、この3つだと理解した。

1)スマート・コントラクト
これはビジネス上の契約の締結から実行、そして取引完了までの条件を、プログラムによって完全に自動化し、この契約履行記録をブロックチェーンに書き込むことができるシステムのようだ。これによってこれまで人の手を介していた手間のかかる契約作業が自動化される。

2)カスタムトークンの作成
また、この契約の自動化に加えて、イーサリアムでは利用者が様々な設定を加えて自分オリジナルの契約をすることができる。この構想をベースに様々なサービスが開発されているらしい。

3)プルーフ・オブ・ステーク(PoS)
ビットコインなどの仮想通貨では取引発生時に採掘(マイニング)をした参加者に対して報酬が支払われるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)の契約形式になっているが、これは採掘のスピードが早い採掘者が早い者勝ちする仕組みになっているため、高速コンピューターを使用できる資金力が上回る採掘者が有利になる特徴があるそうだ。対して、イーサリアムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の仕組みではプラットフォーム側が採掘者の「トークンの保有割合」や「トークンの保有時間」に応じてランダムに選定するため、トークンを保有し続けることに価値がでる仕組みになっている。

■感想
本書を読み始めてからトークンエコノミーの仕組みがブロックチェーンの技術により成り立っていることを知った。2017年の年末あたりに一度仮想通貨に興味を持ってトレードをしていた時があり、その時のブロックチェーンのイメージは仮想通貨を成り立たせる仕組みというものだったが、本書を読んで仮想通貨以外にもブロックチェーンにより生まれる可能性が多々あることがわかった。また、イーサリアムが他の仮想通貨とは一線を画していることもよくわかった。今のうちに持っておくといいかも。

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