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『男たちの挽歌』という名の奇跡を、あなたはもう見たか?(1)

愛の独白(?)という名の宣伝活動です。作品の内容について書きまくってるので、ネタバレばっちこい(表現が古い?)の方どうぞ。

この作品を知ったのは、香港映画にまだそれほど興味関心がなかった学生時代。張國榮(レスリー・チャン)の没後10周年特集が組まれた事があった(年までバラすのかい?と思ったそこの方、シーッ(笑))。当時は見逃したが、その中に『男たちの挽歌』と続編(石天(ディーン・セキ)が出てた2作目)も含まれていた。『挽歌』なんて言葉を使ったタイトルが何だか新鮮で記憶に引っ掛かり、YouTubeで検索して出てきた日本初公開時の予告編を見たら、それまで見た事のない熱量に圧倒されたのを、今でも覚えてる。その後色んな映画の予告編を見てきたけど、予告編の映像だけであれほどの熱量を感じて痺れたのは、この作品を含めて数えるほどしかない(静かな作品の予告編から秘められた情熱を感じた事も勿論沢山あるし、そういうのも好きです)。男たちの友情と裏切り、断ち切れない兄弟の絆、というそれまであまり触れた事のないテーマに惹かれたせいかもしれない。
※ご興味ある方は是非一度ご覧になって、色々と感じて下さい。
https://youtu.be/j0Y8u0QGrZk

さて前置きが長くなったが、『男たちの挽歌』4Kリマスター版先月下旬から公開開始!(ワー、パチパチッ!)1月に国立映画アーカイブの特集で見たんだけど、またあの三人(主人公のホー、キット、マーク!)に会いたくて行っちまったぜ!(国立映画アーカイブで香港映画特集とは、「まさか!」と大分驚いたけどホント嬉しかったな)
ご存知の方には言わずもがなの有名な作品だが、初めての方に向けてご紹介。なお、あらすじの中では、出演陣の名前を漢字のみの表記に統一した。
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裏社会の組織の幹部・ホー(狄龍)は、所属する組織のボス・ユー(石燕子)や仲間からの信頼厚い人物だが、弟のキット(張國榮)が高校卒業後、警察に入ったのを機に、病身の父(田雄)の願いもあって足を洗う事を決意する。
最後の仕事で、弟分のシン(李子雄)とともに台湾へ行くが、取引相手の裏切りによりホーたちは嵌められ、台湾警察に追われたホーはシンを逃して一人投降する。一方、その出来事を受けて台灣から香港に向けられた殺し屋が、口封じのためホーとキットの父親を人質に取ろうとし、その日ホー達の家に来ていたキットの恋人・ジャッキー(朱寶意)や、後から帰ってきたキットも巻き込んだ揉み合いの末、父親は命を落としてしまう。
その頃、台湾で起きた事を知った、ホーの親友で同じ組織の幹部・マーク(周潤發)は、仇討ちのため単身台湾に向かう。取引相手の台湾の組織のボス(王侠)から、裏切り者(ボスの甥たち)の居場所を教えてもらったマークは、彼らが宴会をしていた楓林閣へ殴り込み、関係者全員を射殺するも、マークに撃たれ瀕死状態だったボスの甥(陳志輝)に、後ろから右脚を撃たれる。
それから3年が経ち、台湾の刑務所で服役を終えたホーは香港へ戻り、刑事になりジャッキーと結婚したキットに会うが、父親の死をきっかけにホーを憎むようになったキットから殴られ、「二度と目の前に現れるな」と冷たく言われる。
ホーは翌日、服役中に紹介されたタクシー会社に行き、社長のキン(曽江(ケネス・ツァン))に会う。キンは自身が服役を経験した事から、会社で服役経験者を雇用しており、ホーも雇ってもらえる事に。
タクシー運転手として一生懸命働いていたある日、ホーはかつての仲間ー3年前に右脚を打たれ、今や下っ端に落ちたマークと、対照的にトップにのし上がり、部下を引き連れて堂々と歩くシンーを見掛ける。その変わりように驚いたホーはマークに会う。「手紙に脚の事は書いてなかったな」台湾での服役中、ホーにまめに手紙を送っていたマークだが、自身の脚の事は書かなかったのだ。3年ぶりに再会し、抱擁を交わす二人。マークはホーに、また二人で巻き返して昔のようにやろうと持ち掛けるが、足を洗ったと首を降るホー。そんな彼に、マークはキットの事を忠告する。「シンの事をずっと追い掛けてる。すごい執念だ。」
その晩、二人は友人たちと飲みに出掛けた先で、取引相手との商談を終えたばかりのシンと出くわす。シンはホーにまた共に仕事をしようと持ち掛けるが、やはり断るホー。シンがその場を引き上げた後、たまたまそこにいたキットがホーを強引に外に連れ出し、ホーへの身体検査や職務質問を行う。ホーに自身のの名すら呼ばせないキットの態度に、後を付けて様子を見ていたマークが怒り、彼に銃を突きつけるキット。二人に割って入り、もう一度チャンスがほしいと頼むホーに、キットは兄であるホーが裏社会のメンバーだったために昇進が却下されたと、その怒りをホーにぶつけて去る。
後日、シンはホーを呼び寄せる。マークとキットの二人を使って、ホーにまた組織に協力させようとしたのだが、逆にホーの怒りを買う。シンはホーを組織に戻るよう仕向けるため、キットに偽の取引情報を与えて誘き寄せる。ホーの件でシンの組織への捜査から外されたキットは、ジャッキーの心配やホーの忠告をよそに偽情報に釣られ、行った先で怪我を追う。
シンたちはさらに、マークが警察に走らないよう彼にリンチを加える。そして、ホーの勤めるタクシー会社にマークを放り出した上、会社の車や設備を壊し、キンにホーをやめさせろと迫る。会社に戻ってきたホーが途中から加わり、何とか組織のメンバーを追い払ったのも束の間、刑事たちがタクシー会社にやってくる。3年前の一件からホーを追っている台湾の刑事(呉森宇)らの注意をキンたちが逸した隙に、ホーは無事だったタクシーを使って逃げ、大怪我を負ったマークの手当をする。もう一度巻き返そうと再び切り出すマークに、また断るホー。こんな事は何度やっても同じだと言うホーに、マークは思いの丈をぶちまける。「3年も待ったんだ!失ったものを取り返したい!」
翌日、マークは組織で保管している偽札の原盤テープを奪い、追っ掛けてきた組織のメンバーを撃つ。そしてマークの思いに動かされたホーは、彼とともにシンたちへの闘いに挑む。ホーはシンに電話で、原盤テープと引き換えに、多額の現金と逃走用のボートを用意する事、またシン自身が現金を持ってくるよう伝える。原盤テープを奪われた事で、かつてのボスだったユーから責められたシンは、その晩ユーの自宅で彼を殺害し、現場を目撃させたコックたちに、ホーが殺したと証言するよう言う。
ホーはその後ジャッキーに会い、原盤テープをキットへと渡し、そして香港を去る事を伝える。「もう諦めてしまったの?」「香港に戻ってくる?」ホーの思いを尊重し味方してくれていたジャッキーの問いに、ホーは寂しそうな顔を浮かべて去る。その晩、自宅に戻ったジャッキーから原盤テープを渡され、ホーが香港から去ると知ったキットは、ホーたちの取引場所となる埠頭へと急ぎ向かう。
ホーとマークは、シンから現金を受け取った後、車でシンを連れて埠頭に向かう。そこにはシンが部下たちを待機させていたが、マークが何人かを撃った後、二人はシンに銃口を突きつけながら、用意させたモーターボートへと進む。マークはボートに乗り込むも、ボートに背を向けシンを抱き込んだまま立つホーに驚く。「乗らないのか?」「まだやる事がある。先に行け!」ホーが気になりながらも、マークは彼の言う通り船を出す。
少しして、キットが埠頭に到着する。あっという間にキットを人質に取ったシンの部下たちに対し、ホーはシンとの交換という形で応じる。それぞれ解放された二人が歩みを進める中、キットはシンとすれ違いざまに彼を抱え込もうとし、シンの部下たちに肩を撃たれる。それを機に激しい銃撃戦が繰り広げられ、物陰(箱)の後ろに隠れたホーは腹部を撃たれ、身動きが出来なくなる。肩を負傷したキットがホーから渡された銃で応戦するという厳しい状況下で、背後から援護射撃が。一度は出発したものの、ホーが気になり引き返したマークが、マシンガンで次々に撃ち込み、キットも攻撃を重ねていく事で、敵方の人数を減らしていく。そんな中、それでもホーを許せずにいるキットを見て叱り飛ばすマーク。「もう十分罪は償っただろう!これだけ勇気のある男をなぜ認めない!」立ち上がりキットを説得していたマークは、シンと部下(成奎安)の容赦ない銃撃で命を落とす。マークを殺された怒りから、シンを追い掛けるホー。そこに警察が到着し、ホーに3分以内に武器を捨てて投降するよう呼び掛ける。
ホーの銃が弾切れを起こしたのを見たシンは、武器を捨てて警察に投降すると言う。自分は金の力で3日で釈放されるが、キットはホーのせいで落ちていき哀れだと嘲笑いながら言い放つシン。為す術がなく立ち尽くすホーに、キットはそっと自分の銃を差し出す。油断しきっていたシンが後ろを振り向いた瞬間、銃弾を放ち彼を倒したホーは、キットが持っていた手錠を掴み、自ら手錠をかける。驚きホーを止めようとするキットに、ホーは静かに語りかける。「キット、お前は正しい。」自分も早くキットと同じ道に進みたい、という彼の思いを理解し、ようやくホーを許せたキットは、手錠で繋がれたホーと二人で、警察の仲間のもとへ歩いていく。
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大分長くなったが(ホントだな)、以上があらすじ。
続きの記事で、この作品の制作背景や、その後香港や世界の映画界に与えた影響、そして個人的な感想を書くので、乞うご期待(?)

これが今回のポスターだ!やっぱりこの場面使うのね(笑)数年前に公開された『プロジェクト・グーテンベルク』(公開期間短くて見逃した…)でも、周潤發(チョウ・ユンファ)が同じ事やってて、思わず吹き出したな。
こちらは日本初公開時(1987年)のポスターその1。1月の国立映画アーカイブでの特集で飾られてたんだが、照明の位置の関係で、非常口のランプと私の手と携帯が写り込んでる…えーご愛嬌という事で(^_^;)
日本初公開時ポスターその2。こちらも1月に国立映画アーカイブで撮影。
照明の関係と携帯カメラの限界で、写真だとよく見えないんですが、ポスター下部に横たわっているのはキットです。実際には左下にちゃんとキットの頭が写ってるんです…(なかったらホラー!)
このポスター写真は、日本版DVDに使われてるんで、見た事ある方も多いかも。


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