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相談という名の自己開示の危険性

オンライン塾での気づき

先日、オンライン塾(心理学)で、悩みを相談するという行為は信用に足る人に、出来るだけ少人数で(出来ればマンツーマンで)相談するべきである・・といったことを学びました。
当たり前といえば当たり前の事なのですが
世の中にあふれるセミナーや悩みを解消できる講座などで、その場では悩みを打ち明けて、気持ちが晴れた気分になるのに中長期的に精神的に鬱などを発症してしまう人が少なくない・・といった内容でした。
(言っている意味、伝わりますか?)

高額な登録料を支払って、同様の悩みを抱えた方達と一緒にセミナーや相談会に参加して、その場で自分も悩みを打ち明ける・・といったイメージです。
悩みを聞いてもらって、こちらが欲しい情報や目から鱗のアドバイスをもらって賞賛されることで承認してもらえた気持ちになり、脳内のドーパミンが放出され高揚感を得られる・・そして悩みから解放された気分になる・・といったカラクリです。

高額な参加費という点以外はいいこと尽くしのような気がしますが、たくさんの参加者の前で自分の悩みを打ち明けるという行為に盲点があります。
心の奥底で
“信用をしているわけでもない人に自分の内面をさらけ出してしまった”
“次に会った時に私は○○の悩みを持った人間だとレッテルを貼られる”
といった不安に襲われ、さらけ出したことを後悔してしまう恐れがあるというのです。

心理学的な視点では(心理学にも色々とあるので一概には言えないと思いますが)心の器を強化して、さらけ出したくない部分はしっかりと蓋をした状態で、開示できるところまで、信用できる関係の方だけの限られたコミュニティの中で悩みを打ち明けることが大切だと言われています。

障がい児育児のコミュニティ

私は次男が自閉スペクトラム障がい、療育手帳A判定ということもあり、積極的に障がい児の親のコミュニティの参加しています(それ以外のコミュニティにも)
たくさんあるコミュニティに深く関わると、先ほどのオンライン塾での気づきの様な “深い悩みをみんなの前で開示する” 機会が非常に多い事に驚きます。(解決策を一緒に考えようとしているのでコミュニティを否定したいわけではありません)

私は自分の子育ての悩みを文章にして開示したり、地元のラジオ番組で話したりしているので開示している悩みに関しては俯瞰しているつもりです。
(意識して開示をしているつもり)

不登校だったり、障がい児育児だったり、親の不安が大きい不確定要素が多い問題に対しては悩みを聞いてほしい気持ちだったり、解決策などの情報を少しでも多く欲すると思います。
その為に同様の子育てを克服してきた先輩育児者や、同様の悩みを抱えている人との関係構築にこのようなコミュニティはとても有益だと思います。

ただ、オンライン塾での気づきのように、大勢の中で悩みを順番に話していき、その悩みに共感し、有識者が解決策を提示するという一見有益に見えるコミュニティ運営には危険性が潜んでいると思われるのです。

感じた違和感

10年以上前のことですが、母親大会に参加した際に、悩みを打ち明けよう・・といった座談会が催されていて興味本位で入ってみました。
私は知っている人は一人もいませんでした。
助言している有識者の方と10名以上の保護者と一緒に、順番に悩みや今までの経験を話していくのですが、皆さんの話があまりにも深刻な内容で、びっくりしたのを覚えています。
(中には話しながら涙を流す方もいらっしゃいました)
私は次男の障がいについては、未だ未確定な部分が多かったため、長男が超未熟児として産まれて、成長曲線の下限ギリギリでの成長の話などを中心に自分の経験をお話ししました。
それに対して有識者の方は
「よく打ち明けられましたね。大変苦労されてきたのですね」
といった共感の言葉をかけてくれ、その言葉の後に、
「皆さん、こちらのご主人に大きな拍手を」
と参加者から拍手を受けたのでした。
見ず知らずの方に本当にここまで話す必要があるのか?
といった違和感を感じたのを覚えていますが、この違和感が今回のオンライン塾での学びに繋がりました。
ちなみに母親大会には様々なプログラムがあり、私が参加した座談会は当時の人気座談会でした。母親大会自体はとても素晴らしい大会だと思っています。

自分がたどり着いた一つの答え

では、せっかくの障がい児育児のコミュニティで、相談や共感をすることは危険だからしない方が良いのか?といった極論になりがちですが、そのあたりをまとめたいと思います。
辛かったことや、悩んだことなど、コミュニティの中で話せる範囲で話して気持ちを楽にさせることはとても重要なことです。
聴く側も否定せず、助言せず、共感と傾聴することを意識すればよいと思います(出来るだけそのようにしようと勤めていますが)

ただ、助言が欲しいと思っている悩みや相談事については、信用できる少人数のコミュニティ(出来ればマンツーマン)で話すのが望ましいと思います。
そして最も大事なのは相談している中で、少しでも違和感を感じたり、否定されていると感じたら “話すのを止める” ことです。
心理カウンセラーなどのプロに相談することが恐らく望ましいのだと思いますが、親友や、信頼している人に相談したくなるものですし、それは否定しません。(私もそのようにしています)
ただ、自分の心の器をしっかりと強固にして、心の器の蓋を少しづづ開きながら、ここまで話そう、だとか、これ以上は話すのをやめておこうといった調整をすることが重要です。

相談と情報収集を分けて考える事も重要です。
コミュニティ運営の中で、先に座談会の中で情報提供の時間を作って、後でグループで別れたりして相談しやすい中で相談する・・といった様に相談と情報提供を分けるのはとても有効だと思います。


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