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圃場廃棄農産物の収穫イベント

廃棄農産物の収穫イベント?

普段の仕事とは別にボランティア活動として「子ども食堂ネットワーク」の事務局をしています。
その中でも個で動いている活動として、地元の農家の方が圃場で廃棄する野菜を収穫に行って分けてもらい、その収穫物を必要なところへ配達する・・といった活動をしています。

生産者のご厚意で食育を兼ねて園地で子どもたちを招いて(親子が多い)収穫体験イベントを企画することもよくあります。
次の圃場の土づくりや準備がある為、すきこみ(トラクターで廃棄農産物ごと土を混ぜること)を早くしたい生産者の都合もあるので出来るだけ早くイベントや収穫をするのがポイントです。
今回はそんな収穫イベントで、ブロッコリーの収穫イベントを取り上げたいと思います。

イベントの主旨

そもそも、廃棄農産物(廃棄する野菜じゃなくても構いませんが)を収穫するイベントをする理由は
「捨てるのがもったいない」
という純粋な気持ちが一番なのですが

「まだ食べられることをしってもらう」

「傷や汚れ、虫喰いがあっても味は変わらない」

「農産物が圃場でどんな形になっているかを見てほしい」

といった主旨があります。
他にも土に触れることは健康によい(アーシング)だったり、外で活動する機会を作りたい、だとか副産物はたくさんあります。

またブロッコリーではありませんが、収穫しきれない柑橘(みかんなど)をイベントで収穫して収穫分を支払う といった形のイベントも催してきました。

みかん収穫体験イベント120名超の参加者


このあたりは生産者が収穫する手間がない といった事と、収穫したい、体験したい親子をイベントでつなげるといった形で実現しました。

天気に左右されないイベント運営

ブロッコリーの収穫イベントは一般の親子向けと、放課後等デイサービス(障がい児が通所するデイサービス事業所)を中心に案内する障がい児向けとに分けて実施しました。
圃場の園主からは

ブロッコリーの主の花蕾(一般的に販売用とされる部分)は収穫が終了しているので、残りは好きにしていいということ。
必要なだけ収穫したり、イベント利用した後は園主に伝えればトラクターでたたく(すきこみ作業)をする

という事でした。
1回目のイベント時は、あいにくの雨、風でした。
特に暴風注意報が出ていて、風速13mの予測も出ていました。
今までの私なら躊躇、もしくは中止の決断をしていたのでは?と思います。

先日、森のようちえんの代表の方の話を聞く機会がありました。
森のようちえんでは、未就学のお子さんが園舎の無い外で遊ぶ(学ぶ)のですが、基本、雨が降ろうが、風が吹こうが、お休みにはしないそうです。
(警報が発令された際はお休みにしています)
雨の中で何が出来るかを考えたり、風の中でどうやって遊べば楽しいかを考えるからだそうです。
もちろん、危険も伴いますから見守りや、必要な時には大人が助けられる体制を整えています。

そんなこんなで、参加予定の方には、中止にはしないが、ドタキャンしてもOKといった形で連絡を入れていました。

当日は気温が低下して、風も強く凍えるような環境でした。
それでも楽しそうに収穫している姿を見る事ができました。
大人が子供の限界を作ったり、安全な環境を事前に準備しすぎることが危険察知能力をはぐくむことを阻害してしまう恐れがあるということなんですね。

好奇心が、食のたのしみをつくる

最初に簡単な収穫イベントの説明をします。
園主の圃場を荒らさないようにといった事(通れるところ、通らないところを決める)
そこからは食育的なお話を簡単にしています。

すきこむ前の圃場なので好きに荒らしても大丈夫

「お店で普段見ているブロッコリーは花蕾の部分です。その花蕾の部分は既に収穫しています。同じような形をしているブロッコリーの脇芽はフローレットと呼ばれていてお店でも袋に詰めて売られている事もあります。
脇芽も収穫してみるといいのですが、普段はお店で見ることのない、ブロッコリーの葉や茎もぜひ収穫したり、かじったりしてみてください。
農薬をほとんどやっていないので、鳥が畑に食べに来ますが、花蕾には目もくれず、ブロッコリーの葉を食べます。ブロッコリーは葉、茎、花蕾の順に栄養価があり、鳥は我々が好んで食べている花蕾にはフンを落として一生懸命、葉を食べているんです。
なので葉を摘んで帰って色々料理してみてください。他にも、花が咲いた花は美味しいのか? 茎は細い方と太い方とどっちがおいしいのか?ためしてみてください」

といった感じでお話をしてから、イベントを始めます。
すると、子どもたちは花蕾より、脇芽よりも葉をたくさん摘んだり、茎を切ったり、根の臭いをかいだりするんですよね。
まず、ルールを決めるより、試していいよ、といった感じの好奇心をくすぐるようにしています。

放課後等デイの皆さんに楽しんでいただきました

これはブロッコリーに限らず、みかん狩りや他、イベントでも同様です。
みかんは、傷や腐りの部分を避けて食べられることだったり、色むらがあるのは陽にあたっている部分と影になっている部分によって出来たりするからみかんを剥いて房ごとの味を食べ比べてみよう!だとか・・農家にしてみれば当たり前が、子どもたちや農業になじみのない方にとっては新鮮な事なのです。
今回の収穫イベントでは、飽きてしまった子どもさんが、畑の土をいじったり、菜の花を摘んだり、隣の耕作放棄地を走り回ったり、畑だからこそ出来ることを楽しんでいました。
だれも、スマホに手をやることなく(写真は撮ってましたが)今を楽しんでいる姿が見られました。

実践のススメ

わからない事は「自分でググれ」だとか、「調べろ」と言われたことはありませんか?
収穫イベントでは、聞かれたら「食べれるか?かじってみたら?」とか、
「隣の野菜と比べてみたら」
といった感じで、体験してみれば?と伝えています。
「今、天気って晴れてますか?」
と聞かれて すぐにスマホを取り出していませんか?
外に出て空を見上げましょう。
答えは目の前にあるんです。


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