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【長文感想】カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜 《REBIRTH FHD SIDE EDITION》上月由良と「孤独の海」の話

皆様、ごきげんよう。

早速ですが本題へ。

2023年4月28日。18年という時を経てInnocent Grey処女作のリメイク版「カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜 《REBIRTH FHD SIDE EDITION》」が遂に発売されました。

私にとってカルタグラは、Innocent Greyがリリースする作品群の中でも取り分け思い入れのある作品です。

なので今回CGや劇伴がブラッシュアップされるだけでなく、多数の新規エンディングが追加されると聞いて舞い踊るような悦びを感じずにはいられませんでした。

未だ見ぬカルタグラの物語に、そして上月由良に再び出逢える悦びを……。


パッケージが手元に届いてから数日______

旧作からのボリュームアップに伴う選択肢の増加に戸惑いながらも、ようやく全ルートの完全攻略に至りました。
まずは主題歌のモチーフ、そしてルート毎の新規要素に触れていこうと思います。

※カルタグラFHD版のネタバレを含みます。
必ず今作のコンプリート後にご覧ください


・主題歌「孤独の海」が意味するもの

こちらがFHD版のリリースに先立って公開された主題歌「孤独の海」です。
映像や霜月はるかさんの歌声の美しさにも触れたいところではありますが、何より先に覚えた違和感について言及しなくてはなりません。


なぜ「月」ではなく「海」なのか?


これまでカルタグラの物語を彩ってきた主題歌「恋獄」「硝子の月」「LUNA」は、どれもが重要な題材となっています。

また、これらの楽曲の歌詞は多くの部分が上月由良の視点で描かれている事がプレイ済みの方なら一目で判るかと思います。今回の孤独の海も、その点で例外ではありませんでした。

むしろ、PVの内容も相俟ってこれまで以上に上月由良の歌として鮮烈な印象を残していると言ってもいいほどです。

ではなおさら、なぜこの局面で大胆にもモチーフを変更したのでしょうか?


その答えは、上月由良が「母」に成るからだったのですね__________


煉獄がそうであるように、海もダンテの「神曲」繋がりで煉獄篇に次ぐ天国篇辺りから着想を得た可能性も当然あります。

Innocent Grey公式が多用する「新生カルタグラ」という呼称にも、ダンテの代表作「新生」を感じないでもないですし…


ただ、個人的に海は豊饒の象徴、生命の源である母をストレートに表しているように思いました。

上月和菜と上月由良が母親になる結末を示唆していたのと同時に、上月由良という人間の半生を広大でありながら孤独である海に喩えているのでしょう。
全ルートプレイ後にようやく「孤独の海」公開直後からの疑問が解消されて得心が行きました。


・プロローグの加筆について

物語の幕開けは我々の慣れ親しんだ上月由良雹(影武者)を埋めるシーンではなく、秋五と出逢う以前の由良がに身を投げる描写に変更されていました(正確には土を掘るシーンは抹消されたわけではなく、この後に順番が変更された形になります)。
この時点で早速、が新たなテーマである事を強く感じさせますね…

自分と同じく孤独な海に抱かれることに心地良さにも似た感覚を抱く由良。果てしなく広い海は、やがて多くの人を呑み込んでいく由良の妄執そのもの…

しかし、そんな海が、沈んでいくはずだった由良を生きたまま吐き出すのです。

孤独を食んで由良に同調していたはずの海が、まるで由良を拒絶するかのように…

そして、由良の名を囁く天の聲

直感ですが、全てのエンディングを終えた後に読み直すと聲の主は由良の娘・月子に感じられました。
海から伸びる眩しい陽の光が、どうにも「海の光」というエンディングタイトルと当該ルートにおける月子の無邪気な笑顔を想起させるのです…

高城秋五との出逢い、そして煉獄を終えた先にある「海の光」へ導いた存在。それは、ひょっとすると月子だったのかもしれません。

「願わくは、生まれ変わった時には人に愛される存在でありますように」

「カルタグラ〜ツキ狂イノ病〜 《REBIRTH FHD SIDE EDITION》」


その願い通り冒頭で由良は一度死に、生まれ変わった。

狂気と妄執に囚われた孤独な少女ではなく、高城秋五から愛を受け取り、母として生きる為に…


・各ルートの新規要素

・凛

さて、今回の衝撃と言えばサブヒロインの中でも作中屈指の人気を誇るであろう凛の生還でしょうか。旧作だと、どのような結末を辿ろうと彼女を救い出すことは叶わなかったのですから。

正直な話、新規エンディングの追加と聴いた時から各ヒロインの正式なエンディングが描かれるのだろうと予感はしていましたが…実際に和菜以外のGOOD ENDをこの令和に見届けられたことは望外の喜びでしたね。

それでも、やはりInnocent Greyというべきか。

秋五が事件の本筋から離脱した罰なのか、凛をタダでは生還させまいと右眼を失明させる鬼畜ぶりを見せます。

しかし、新たなCGで描かれる凛の拷問シーンはそれはそれは美しく…好きな子の眼球の裏側まで見せて下さってありがとうございますという素直な気持ちも芽生えました。

事件の生々しい傷跡を身体に残しつつも、遊女を辞めて秋五に尽くす凛という有り得たかもしれない世界の一端を見れただけで私は充分です。

このルートを最序盤にクリアした影響でしばらく放心状態になってしまい、速やかに次のルートへ移行する事が出来ませんでした。

実際には凛の方が秋五より歳上ですが、凛は秋五を亡き兄に重ねていて、また秋五も凛を妹のように可愛がっている関係性。

凛は身分の差から秋五を半ば諦めている節がありましたが、今作でようやく想いが実って…本当に言葉になりません。結ばれて数年後の濡れ場が加筆されていましたが、元遊女であろうと秋五へ見せる反応は初心な少女そのもので、この愛おしさが凛の魅力なんですよね。

余談ですが、私は眼帯フェチなので、元の凛は勿論のこと失明後の凛もビジュアルが私特効で驚きを隠せませんでした。


・初音

初音ルートは特に旧作との変更点は見当たらなかったように思います。まあ、すでに初音は旧作からメインヒロイン以外で唯一死亡せずに秋五と添い遂げている異質なヒロインでしたからね。

元々旧作にもルートが用意されていた都合上、むしろ今作でその特異性は薄れたと言ってもいいでしょう。

しかし私は、事件から最も遠い場所にいた初音が上月由良の妄執に終止符を打つ本ルートもそれはそれで好みでして。

誰もが他人を騙して生きている醜悪な世界で、雨雀さんは自分を拾って無償の愛を注いでくれた。その恩に報いるため、雪白で座敷に上がろうと決意していた初音。
それでも、秋五と結ばれたい感情も簡単には捨てる事ができず…そんな彼女の手を取った秋五とのエンディングは本筋とはズレますが嫌いにはなれません。

ところで、これは以前私のTwitterでも呟いた事なのですが各ルートのエンディング後に由良は秋五を追ってくるのか?という問題。

私は、おそらく追ってこないのだと解釈しました。

何故なら、由良が秋五に執着し続けていたのは自分の存在が秋五の疵になっている自覚があったからなんですよね。
上月家からの依頼であった由良の捜索を打ち切り、上野の猟奇◯人事件はおろか裏社会から完全に足を洗うとなれば、秋五の中に佇んでいた由良は成仏してしまったであろう事は想像に難くありません。

無論、内に居た由良が消え去ろうとも果たして自分の選択は正しかったのか?と漠然とした不安に駆られる描写はありますが…彼はきっと和菜以外のルートでは真相を知らないまま幸せに暮らすのでしょう。


・七七

こちらも特に変更点や追加は見受けられませんでしたが、ルートの感想とは別に七七に関して物申したい点が一つ。

それは、和菜ルートでの「あの程度の女からなら、いつでも兄(秋五)を取り戻せる」という七七の独白が削られていた事です。

旧作プレイ当時、この一文から秋五を手に入れる為ならどのような手段も厭わない高城七七の恐ろしい本性を感じ取りました。この部分は七七の悍ましさや底知れなさを効果的に表している科白として印象深かったので、削除された影響による狂気度の低下をどうしても感じてしまい、率直に言って残念でなりませんでした。

何故ならこの独白は、裏を返せば「和菜にはともかく、由良には秋五を奪われる可能性を感じていた」とも取れるからです。

七七の推理には含まれていなかった、赤尾による楼子◯害事件が起こると初めて焦った様子を見せる彼女。
この時、七七は初めて気取るんですよね。高城秋五を手に入れる為なら全てを投げ出せる人間が、この世に高城七七以外にも存在する事を。

由良と同じく秋五に強く執着する七七だからこそ、その鋭敏な嗅覚を持って真実に辿り着いたとも言える。
カルタグラ本編のエピローグで真相を究明する役割が主人公の秋五ではなく七七だったのは、あの一文が説得力を与えていたように感じられます。

和菜と由良が入れ替わっている事に薄々気付きながらも、違和感に蓋をしていた秋五ではラストシーンでの推理ショーの主役は到底務まらなかったでしょう。


・楼子

楼子も旧作では赤尾の狂気が暴走した結果、悲惨な末路を辿るヒロインの一人でしたが今作でようやく報われて良かったです。

それにしても、まさか彼女の婚約者に名乗り出た人物が天恵ノ会の空木とは。元々殻ノ少女シリーズとは繋がりのある物語でしたが、こうしてInnocent Grey内で新たな接点が生まれるのは面白いですね。

しかも特典の小説で、彼女と刑事時代の秋五の掘り下げがあるとは想像もしていませんでした。こちらに関しては後日改めてじっくりと目を通そうと思います。


・冬史

私はね、新生カルタグラのマスターアップイラストが公開された時から冬史さんのルートがこうなる事は想定済みでしたよ

あのイラストはInnocent Grey公式通販で購入した際にチラシとして付いてきたんですが、どう見ても秋五と結ばれた数年後の姿にしか見えなかったんですよね…
いや、それにしても彼女がヒロインになってきちんと結ばれる展開が描かれるとは感慨深い。

本ルートは和菜ルートの途中で発生しますが、いくら和菜を危険に晒さない為とはいえ、彼女を抱いた事を「軽はずみな行為だった」と告げる秋五は最低な男そのもので何とも後味の悪さが残るエンディングでもあります。

そんな秋五を慰めようとする冬史と、それを受け入れる秋五。ラストにアトリエで秋五と冬史が赤尾を追い詰めて幕を閉じます。

アトリエの火事によって冬史の髪が燃えてショートヘアになりますが、この姿は虚ノ少女では馴染み深いビジュアルですね。
個人的な好みで言えばショートヘアの冬史の方が刺さっているのですが、TRUE ENDの赤尾戦で簪が勝利のキーアイテムとして輝くのも美しい結末なので評価が難しいところ。

追加の濡れ場で欠損している左腕がしっかりと描写されていたのも、事後のシガーキスも退廃的な裏社会に身を置く人間たちの情事といった趣があってこれまた良い雰囲気でしたね。


・和菜

秋五と寝た夜、背中越しに「姉さんが見つかったら、私とどちらを選びますか?」という少し意地悪な質問に「和菜を選ぶ」「答えられない」の選択肢が追加されたことによってサクラメントのエンディングが分岐する仕様に変更されていた点は高く評価します。

何せ、前作では「和菜を選ぶ」と言っておきながら由良と駆け落ちしてしまいますからね。

とはいえ、和菜を抱いた時点で誠実とは言い難いですが…秋五の中には由良への後悔だけではなく、きちんと恋情も残っているのだと判った上で白詰草(由良エンド)に向かえたのは僥倖。

逆も然り。「和菜を選ぶ」を選択することで雪椿に至るのは、流れが自然になって受け止めやすくなっていたと思います。

大筋はそのままなので、やはり特筆すべきは当時のファンディスク「和み匣」のサクラメントに収録されていたエンディングがTRUE ENDからサブエンディングへと修正された点ですかね。

大元の雪椿のラストシーンでは駅のホームでリボンを解く和菜の背景は黄昏時でしたが、今回はが降っていました。

つまり、2人の関係が冬を超えてない証左なんです。こういった細かな演出の差異で雰囲気をガラッと変える手腕には舌を巻きますね。

TRUE ENDでは秋五と和菜が亡き由良を大切に想いながら過ごし、やがて子宝に恵まれて幕を閉じます。浮かび上がる「The Sea goes on forever」の文字に胸が詰まりました。

苦難を乗り越えたふたりの道のりを思うと、ただ一言「長旅お疲れ様でした」と声を掛けてあげたい。


・物語の主役としての上月由良


いよいよ大本命の上月由良について。

彼女が登場するのは本編の終盤という事もあって、必然的に触れるのはサクラメントのエピソードが中心になります。

・雪椿

大きな変更点として、カニバリズム描写がリアリティの無さからか削除されていましたね。

いくら由良が凶悪な人物と言えど、回復した直後にまるで深水薫のように人肉を食したり、器用にナイフを投擲して医者を屠ったり…由良はここまで高い戦闘能力を持っていただろうか?と多くのプレイヤーに突っ込まれていたシーンではありましたが。
皮肉なのか、旧作の当該描写への突っ込み染みた台詞が七七から飛び出ていたのもクスッときました。

・逃避行(旧・由良TRUE END)

こちらも目立った変更点はありませんが、エンディング名に付けられた「逃避行」というタイトルは衝撃的でした。

私はこのエンディングが元々お気に入りでしたが、彼らを待ち受ける運命は決して明るいものばかりとは思えません。
むしろ、仄暗い道を歩んでいく未来の方が遥かに想像しやすいです。

しかし、これだけの年月を経て、2人の行いはまさしく”逃避行”でしかないと他ならぬ公式が示してきたのは驚きでした。

ラストは元と同様、実家のある逗子へと舞い戻ります。
かつて、2人が出逢ったバス停へと。

本来ならここで、カルタグラ本編のプロローグで由良が口にした「ああーー雪が”降っている”のね」から「ああーー雪が”降っていた”のね」に変化する事により、2人で冬を越えた美しい表現で締め括っているのですが今回は一味違います。

なんと、変更後の台詞は「ああーー海はどこまでも続いているのね」なんですよ。

この台詞を聴いた時、この作品が根本から生まれ変わったのだという実感がじわじわと湧いてきました。
私の全く知らない、新たなカルタグラの物語が確かに生誕したのだと。


・海の影(BAD END)

それぞれBADGOODで逃避行した先の物語が描かれますが、こちらはBAD ENDの方。

2人が辿り着いたのは日本海に面した小さな漁村
そこには、脛に疵持つ身である秋五たちの事情を詮索するでもなく、快く迎えてくれる現地の住民が。
彼らのお陰で(贅沢な暮らしはできないものの)しばらくは平穏な日々を送ります。

やがて、愛し合う2人の間には子供が出来ました。

実のところ逃避行の先にはこういう展開を予想できない事もなかったのですが、由良は咎人の立場から秋五との間に子を儲ける気はないのではないかと考えていました。立場もそうですし、愛を知らない自分が子供を愛せるのかと苦悩しそうなもので…

しかし、よくよく考えれば由良が秋五の愛を拒む筈がなく、こういった結果になるのも当然だったのかもしれません。秋五がかなり旺盛な男というのもありますし…

ただし、そこは流石のInnocent Grey節。子を授かる事への葛藤はしっかりと描き切りましたね。

このエンディングでは、やがて秋五の愛情が子供だけに注がれていくのではないかと危惧した由良が、まだ産まれてもいない腹の中の子への嫉妬心を露わにします。
ひたすらに秋五の愛を独り占めしたい、何処までも孤独に蝕まれた心は由良を苦しめていく。

そうして耐えられなくなった由良は、子の命を宿したその身体で、自分を抱きしめてくれる孤独の海に還る事を選択します。ラストの凄絶な由良の表情に、私の精神も抉られました。

まさか、こんな所で旧作の美しい締めの台詞であった「ああーー雪が”降っていた”のね」を使用してくるなんて…もう、頼むから救いのあるエンディングを見せてくれと叫びながら私は最終ルートへ向かいます。


・海の光(新・由良TRUE END)

今作で追加された選択肢は、よく出来ているなと感心しました。
BADへ分岐する最初の選択肢が、冬史に「毎日見舞いに来ているお前の行動は無意味だ」と言われた際の「かもしれない」なんですよね。

実はすでに目が醒めていた由良は、それを聞いて額面通りに受け取ってしまった。そうして秋五の愛ですら正面から受け止める事が出来なくなり、疑心暗鬼に陥ると。

その後の選択肢で、由良が目醒めた事を医者に報告するかどうかの場面でも「報告しなければならない」→由良「不安になる」と順調に破滅への道が敷かれていきます。

逆にBADを避ける為に必要だったのは、一向に目覚めない由良の見舞いに来るのは無意味だと言われようとも「そんな事はない」と力強く返答する事でした。
病院側にも由良が「目醒めていない事にする」と隠し通す選択を取り、由良のケアを徹底すれば、最後の選択肢で由良は「不安になる」「不安は無い」のうち後者を取れるように変化するのです。

何故ここまで彼女の感情で分岐するよう丁寧に選択肢が配置されたかと言うと、それは由良が精神感応能力を失っているからなんですよね。

微々たるものとはいえ、過去の由良には精神感応能力が備わっていたので秋五の内心は肌を通して伝わっていましたが、それを喪失した現在では秋五の言葉だけが頼りで…要するに非常に不安定な状態にあると。

よって、由良が「不安は無い」と秋五を信じる事が出来たのは、彼が普段通りの下手くそなコミュニケーションとは打って変わって、偏に嘘偽りの無い言葉を吐いたからなんです。

この新たな選択肢に、私は秋五と由良の関係性に大きな前進を見ました。
そして、秋五の他に唯一選択肢が発生するキャラクターが由良だった点にも涙を禁じ得ません。

本作の立ち位置は殻ノ少女シリーズに連なるものであるが故にInnocent Grey側は和菜のエンディングこそを正史として扱うのが道理ですが、この物語の主役は紛れもなく上月由良であったのだと感じられました。

さて、本ルートでは能力抜きに秋五と心を通わせる事が叶って無事に娘を授かりました。
名は「月子」です。

由良を思わせるの字が入った実に直球なネーミングにも感じますが、私は意表を突かれた気分にもなりました。
何故かと言うと、土地の風聞を気にして由良を家に閉じ込めた忌まわしき「上月家」を思い浮かべるからです。
には"憑き"物筋の音も含まれますし、由良にとって何かと辛い経験をフラッシュバックさせかねない名前でもあるので…

ただ、由良がそんな記憶も過去にしてしまえる程の強さを獲得したのだと考えると、これ以上ないほどに相応しいネーミングです。

そして「自分は月子のような無邪気さとは無縁だ」と思い込みながら生きてきた由良が、自然と笑みを浮かべている事に気付いた瞬間は彼女と同様に私も大粒の涙を零していました。

長い時間をかけて由良が人並みの幸せを得られた事も、心の修復が済んだら贖罪の為に出頭するラストも、咎人と添い遂げる道の結末を真摯に描いていたと思います。

最後に。

これは私個人の見解なんですが、由良が贖罪を決意したのは我が子に堂々と向き合える自分でありたかったというのも本当なんでしょうけれど、かつて雪白を抜け出して自分に懐いていた小雪と芹の姿が月子に重なったのもあるのかな…なんて。

長々と書いてしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

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