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本来のその人の聞きたい事ってなんだろう。

動作をやらせてうまく出来ない場合、どうするか。

痛みや不安定感を動作に感じていて、その原因を探しアプローチをする場面には、仕事柄よく遭遇します。自分が治療する場面、他者が治療する場面。


例を出すと、

歩き方に問題を感じたセラピストが口頭で修正を加える場面。
「踵から着いて、体が横に振られないようにしてください。」
「背筋をピンとして歩いてください。」
「腕を振って歩いてください。」
「前を見て歩いてください。背中が曲がっていますよ。」


スクワット に問題を感じたセラピストが口頭で修正を加える場面。
「足より膝が前に出ないようにしゃがんでください。」
「膝が内側に曲がらないようにしてしゃがんでください。」
「背中が丸まらないようにしてしゃがんでください。」


直接接触誘導を加える場面
「スクワット の際に骨盤を後方へ引っ張る」
「スクワット の際に膝を外側へ引っ張る」
「歩いている際に骨盤を外側から抑える」


あまり良く無いなーと個人的には感じます。

例に出した歩行やスクワットに意識が行ってしまうからです。
歩行やスクワットを良くしようと意識が行ってしまうからです。

歩行やスクワットで確認できた問題は、他の動作にも影響を及ぼしているのは間違い無いはず。なぜその動作になってしまうのか、大元の原因があるはず。

それが本来のその人の問題であり、知りたい事であるはず。


人間の体は複雑に構成されていて問題の解決は難渋します。
加えて背景も人それぞれであるから感性も複雑に構成されています。

ここでは動作の修正を例に出しましたが、臀筋の問題に対して”ランジ動作”が有効なのか、それとも”臥位になって足を上げる動作”が有効なのか、すぐにはわかりません。

つまり問題になっている構成体の問題がすぐに分かったとして、治療法は数多あるという事。感性に合うものを探さなければならないという事。


患者さんに対して、口頭誘導や接触誘導で簡単に答えを示すことはあまりしません。逆に、問題となっている部位を修正するための多様な方法を提示します。

これは患者さんを混乱させてしまう事が多々あります。よくわからないエクササイズをやっているのだから当然だと思います。


しかし、多様な方法を試していくうちに感性を知り、マッチした方法も見つかる瞬間が来ます。
患者さんと同時にその問題と治療法に気づく事ができます。
その瞬間が結構好きです。笑


これを意識するようになって、人との会話や会議の中でも”本来のその人が聞きたい事”を見失う場面が減りました。たまに見失います。
忘れたく無いなと思います。