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ESS(内視鏡下副鼻腔手術)

こんばんは、皆さん今日もお疲れ様です。
本日は、オペ看について⑦で取り上げたESSについてです。簡単に説明していこうと思っています。

まず、何の為に手術をしているかを簡単に!

適応患者とは

鼻ポリープや副鼻腔炎があると、
鼻づまり、鼻漏、頭重感、嗅覚障害、集中力低下、
口呼吸による口臭など様々な障害が起こります。
また精神的な憂鬱が続くこともあります。
そんな患者さんに対してESSを受けることにより、
症状改善し、QOL(生活の質)が向上します。
治療としては、
一般的に、抗菌薬の全身投与、局所的に血管収縮薬を使用して粘膜の膨張を除去するとともに、抗菌薬の噴霧など。

慢性副鼻腔炎では、マイクロライド系抗菌薬(保存療法、通院3-6ヶ月)の少量長期療法を行い、
改善しない場合に手術を行う。
※小児の場合は顔面の発育が止まった13〜14歳以降。

解剖生理

お鼻の解剖についてです。
こちらは手術をする上で知って置くべきですね。

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内視鏡下副鼻腔手術とは(ESS: Endoscopic Sinus Surgery)

副鼻腔が本来持っている空気清浄、加湿機能を手術によって取り戻すことを目的とし、ポリープや腫れた粘膜によって閉鎖してしまった副鼻腔の壁を一部取り払って広い空間にして、空気や鼻汁の流れを改善する手術です。

副鼻腔の粘膜をすべて剥がしてしまうと副鼻腔の持つ本来の機能が失われるため、病的な部分のみを削り取るような形の手術を行い、残った粘膜が元の状態に戻るまで、内服薬、鼻洗浄、点鼻薬などによる術後治療が大変重要となります。

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鼻の穴に内視鏡を挿入し、
TVモニター画面を見ながら鼻内手術をおこないます。
さまざまな角度から副鼻腔を観察でき、TVモニター画面で拡大されるため、鼻のそばにある眼や脳といった危険部位を傷つけないよう、安全を確認しながら手術をおこなえます。


手術の実際

①全身麻酔(私の病院では重症の患者が多く来るので、
 全身麻酔が多いですが、他の病院では局所麻酔でも行
 えるのですね。)
②鼻鏡で鼻を広げ、ハイマン剪刀で鼻毛をカット。
 鼻からの血や粘液が喉に垂れ込まないように、
 口腔内に咽頭パック(糸つきガーゼ)を挿入しておき
 ます。
③出血を抑える為に、E入りのキシロカインを鼻腔内に
 注射します。(E=エピネフリン)
④手術開始
 基本的に2時間程度で終了しています。
 出血が多い時は時間がかかることもありますが、ボス
 ミンコメガーゼや電気メスを使用して止血を行って行
 きます。

これに+α

 鼻中隔が高度に弯曲していたり、本来一枚の板状の骨である中甲介の内部に空洞が形成されていたりすると鼻づまりの原因となったり副鼻腔炎の悪化因子となるので

鼻中隔矯正術(デビ)

更に+α

下甲介骨の形が悪い場合やアレルギー性鼻炎により下甲介粘膜が腫脹している場合も鼻づまりや副鼻腔炎の悪化因子となります。

下鼻甲介切除術

をプラスして行なっていくので、
4時間程かかることもあります。2時間以上の手術では膀胱留置バルーンを挿入しています。これが嫌だという患者さんが沢山いますが、手術中には点滴から輸液が常に行くので、おしっことして出さないと腎臓に負担をかけてしまいます。なので、本人からの希望があれば全身麻酔が覚める前にバルーンを抜いておくことも可能です。

⑤止血して終了。
 全てを終えたら、ソーブサン(粘膜保護剤)という綿飴みたいなフワフワの綿をお鼻に詰める。(溶けて肉芽形成を良くします。)

visco(ビスコ)とベスキチンと綿級を鼻に詰めて圧迫止血を行い終了となります。(これは溶けません、後日抜去するので挿入枚数は医師、看護師で共通認識を徹底します。鼻の中いっぱいいっぱいですね。)

こちらがビスコ!
これはが鼻に入ると思わないじゃないですか、
でもね、丸々一本入ります!👀

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こちらがベスキチン。
柔らかい素材で、キッチンペーパーみないたいな感じ。

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⑥抜管
全身麻酔から目が覚めると、鼻の中に沢山詰め物をした患者さんは結構な息苦しさです!なんてたって口でしか息ができない状態。しっかり、口ゆっくり深呼吸出来ること、鼻は使えないことを伝えないと、パニックになる患者さんもいます。手術前からこの事を伝えとくのも大切ですね!
抜管のいきみで、再出血もあります。抜管まで使用した器械は不潔にしてはいけません!

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実際の流れはこんなところ!
イメージなんとなくできましたかね…?

手術後の経過

手術当日約1時間、ベッド上での安静が必要です。
1週間程で退院になります。
手術後、1ー2週間は汚れがたまりやすいため、頻回の清掃治療が必要です。内服薬は、1ー2ヶ月を目安に服用し、定期的に受診が必要になるとこのことです。 

昔は

唇の下から切開する方法でしたが、現在の鼻の穴からのアプローチは切除範囲が、病気を改善させるために最低限必要な部位のみ。術中術後の出血や痛みが、従来の鼻根本手術よりも、はるかに少なく、頬の腫れやしびれを生じません。

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やはり医療も日々進化しているのですね。


大事なお鼻。
美味しいご飯の味が分からなくなったり、
倦怠感が続くような事があっては、
日々の生活も楽しめなくなります。

そんな悩みを解消してくれるかもしれない希望の光がこの手術なのですね。良い勉強になりました。

本日はこの辺で✍️


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