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#20 『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』 細谷功 / dZERO 2014

こんにちは!
会社のモヤモヤを読書で解きほぐしたい
40代ワーママのKです。

主に仕事用に読んだビジネス本の記録を
投稿しています。


同僚で尊敬できるのは
頭の回転が早く、言語化が得意なひとたち。

いつも何かしら
自分の語りたいことをもっていたり
相談したときの返答が秀逸だったり。

思うに
彼ら彼女らは、たとえ話が上手い。

きっと
具体と抽象をいつも行き来しているのだなー
とこの本を読んでよくわかりました。

私にとっては、ちょっと、苦手な分野です。

なのでじっくり読みました。


【読書メモ】

  • 社会や組織が成熟期に入ると、わかりやすさが求められるようになる。わかりやすい≒多数派に支持されること。わかりやすい商品のほうがよく売れ、選挙ではわかりやすい人が大抵勝利する。

  • 成熟期だからこそ、来るべき衰退期に備えて不連続な変化(破壊的なリセット)を起こすために、抽象概念を扱う知的能力が必要。

  • 抽象を扱う方法を具体との対比で説明し、理解力や発想力を向上させること、また具体と抽象のレベルの違いによってコミュニケーションギャップ(わかりあえなさ)が生じるメカニズムを明示することが本書のねらい。

  • 人の発達した知能は、言葉と数を操る。これが、複数のものをまとめてひとつのものとして扱う「抽象化」の本質である。抽象化とは一言で表現すれは、枝葉を切り捨てて幹を見ること。抽象化における幹と枝葉は場面や目的によって異なり、幹と枝葉のどちらを重要視すべきかは目的により異なる。

  • たとえ話は、説明しようとしている対象を具体的につかんでもらうために、抽象レベルで同じ構造を持つ別の、かつ相手にとって卑近な世界のものに翻訳すること。たとえ話のうまい人は、具体→抽象→具体という往復運動に長けており、共通点と相違点を適切につかんでいる。

  • 短歌や俳句も、抽象化の産物。字数制限のなかでメッセージをシンプルに抽出する必要があり、身近な自然や事象から例え話的に表現することが多い。うまい短歌や俳句は、きわめて具体的なことを表現しているように見えながら、実は深い抽象的なメッセージを有していることが多い。

  • 「顧客の言うことを聞いていてはよいものはできない/顧客の声が新製品開発のすべての出発点である」こういった対立的な議論は、抽象度のレベルの違いから生じる。顧客の大多数は、製品の目に見える具体的な現象面しか見ておらず、これに右往左往することは本質的な解決につながらない。個別の具体的な声を抽象化した真の要望を読み取る必要がある。

  • 同様に、「リーダーたるもの言うことがぶれてはいけない/リーダーは臨機応変に対応すべし」「長年の伝統は守るべし/変化しないものは生き残れない」といった対立も、リーダーの意見や伝統は基本方針や哲学のような抽象度の高いレベルのものを意味し、一方でそれを具体的に実現させる手段は環境変化に応じて臨機応変に変える必要があるのは必然。

  • 一般に斬新な製品や革新的な仕組みを作り上げるためには、多数の意見を聞くことは適さない。多数の意見はそれぞれの具体レベルに引きずられてどうしても今の延長の議論しかできなくなる。逆に今あるものの改善は、なるべく多数の人から多数の意見を吸い上げる必要がある。

  • 「こんな感じで適当にやっておいて」と仕事を頼まれた時に、いい加減な丸投げだと不快に思う人は、具体レベルの世界に生きる低い自由度を好む人。このタイプに、 「例えばこんな形で」と具体的なイメージの例を伝えても、抽象度を下げて上位の概念を伝えようとしている意図が伝わらない。好きにやっていいんですねとやる気になる人は、具体と抽象の往復の世界に生きる高い自由度を好む人。

  • 仕事は、企画(上流)から実行(下流)に流れるにつれ、スムーズに進めるために必要な価値観やスキルセットが変わっていく。コンセプトや全体構成を決める抽象度の高い仕事は、全体把握が必須で分割できないので少人数で対応。創造性が重視される。多数決に意味がない。下流に進むにつれ具体化され、作業が飛躍的に増え、多人数で作業分担が可能になる。個別の専門知識が求められ、体系化、標準化、効率性が重視される。マネジメントやチームワークが重要になる。

  • 下流の仕事のやり方に慣れている人は、多人数で議論を繰り返して多数決で意思決定することが品質をあげると考えるが、これは上流の抽象度の高い仕事には適さない。口を出す人が増えるほど焦点がぼけて角の丸くなった凡庸なものになってしまう。

  • その仕事がどのようなフェーズ(抽象度)でどのような価値観が求められるのか。場面ごとに判断することなく自分が普段生きている世界の価値観で判断しようとするのは危険な行為である。

  • 具体の世界は量重視。抽象の世界は質重視であり、量が少なくシンプルであるほどよい。抽象の世界の単純化は、複雑な対象をいかにシンプルにするか、具体と抽象のギャップの大きさを追求することである。一方、短絡的思考とは、具体の世界のひとつのサンプルを見て結論を簡単に出してしまうようなことを指す。

  • 哲学、理念、コンセプトといった方向性統一感を持つことは、判断の拠り所となり、場当たり的な対応を無くし、無駄を減らす。大きな目標があってはじめて個別の無機質な行動が意義とつながりをもった有機的なものになる。

  • ルールや理論といった抽象度の高い法則は、大抵の場合具体的に起こっている事象の後追いであるが、一度固定化された抽象度の高い知識は固定観念となる。それに合わない現実を間違いと見て、後付けだったルールに現実を合わせようとするのは本末転倒といえる。

  • 志が高い目標は抽象的、実現可能性が高い目標は具体的。常に全体を見て、両者を連携させて計画と実行のバランスをとっていくことが肝要。ポイントとして、人の感情に訴えるのは具体的なストーリー。抽象度が上がるほど客観性が増し、感情に訴えなくなる。他人の苦労話を聞いて涙を流す人はいるが、数学の話に感動して泣く人はいない。

  • 数値目標は、具体的目標の代表例。よくある数字の一人歩きは、抽象度の高い目的が忘れられ、具体と抽象に本末転倒が生じている。ただし、実行重視の人は、それを承知で形から入ることを選択する。

  • 抽象化には、抽象度の高い共通点を探すこと。そのためには多種多様な経験を積むこと。本、映画、芸術鑑賞などの疑似経験も視野を広げる。経験した世界が狭いと、他の世界を知らないのに自分の置かれた状況が特殊と考えがち。

  • 福沢諭吉は「高尚な理は卑近な所にあり」と言った。まずは徹底的に現実を観察し、行動を通じて具体をつかみ、それを頭の中で抽象化する。過去の知識や経験をつなぎ合わせてさらに新しい知を生み出し、再び実行可能なレベルに具体化する。これが人間の知とその実践の根本的なメカニズムである。


最近、新事業を検討しているらしき
我が社の部長たち。

部下たちを交えずに話してることに
我々サイドには若干の不満があるのですが
抽象度の高い話は少人数がいいのですね。

我々は、具体的に実行する段になったら
具体的な意見を出すことにしましょう。


ではまた。

最後までお読みいただき
ありがとうございました!

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