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ADHDっぽい私が心理学を仕事にするまでの話17~臨床心理士になりました!~

いよいよ最終回となりました。

前回までの話はこちらから↓

まあ,一応勉強をしておくかぁ…

臨床心理士になるにはどんな勉強をしたらいいのだろうか? 
もしかして臨床心理士を目指されている方もおられるかもしれませんが,すみません,初めに謝っておきますが,あまり参考にはならないと思います! 

あくまで私の体験のみの話になっておりますのでご了承ください。

臨床心理士になるための勉強法

基本的には、まず、「赤本」をやります。

過去問を集めた問題集ですね。
私の場合、これを繰り返し行って、少なくともその赤本の問題は全て解けるようにしておきました。

ただ、それ以外は・・・、あまりやっていません^^;

といいますか、「いわゆる勉強」はしませんでした。
ただ,これは! という本を数冊みつくろい、それを、仕事の行きかえりの電車の中で読む、ということを試験前まで行っていました。

「え?そんなもの?」

とお思いかもしれませんが、私は(一応)博士課程後期まで進んだ人間ですし、専門学校などでの講師歴もありましたので、必要な知識自体は広く浅くあったのが幸いでした。

あとはそれを「臨床」に特化する部分を掘り下げる、ということを中心にやろう,いやそれしかない! と決意。

…正直、勉強に関してはそれほど苦労はしなかった(したくなかった?)です。

もちろん、病院勤務の中で必然的に見につく知識や技術もありましたし、仕事自体が勉強といえましたしね。

博士後期課程まで進んだことは病院勤務には役立ちませんでしたが、資格を取る試験には大いに役立ちました。

なんか複雑な心境です。

そして試験のための関門!

臨床心理士となるために、というより本当に流れに乗っただけなのですが、病院勤務を経て受験資格が出来てしまったので、「まあこの際受けてみるか」程度の意識で勉強を始めた私。

肝心なのは「動機づけ」。

さあ,最後まで動機づけを維持できるのでしょうか?

第一関門:「受験書類を整えて送る」

実は,意外なところに関門がありました。
前の記事でも書いた気がしますが,こういうのすごく「苦手」です。

いろいろ必要な書類を把握してそろえるのには手間暇かかります。特に「手書きの文書」など私にとっては苦行以外の何物でもありません。

まずはそこでくじけることなく発送までこぎつけられたのが幸いでした。

このとき同じ病院には数名の心理職がいて,同期もいましたので同志がいたのは心強かったですね。

苦心の甲斐あって書類を送り,審査も通過,筆記試験を受けるための受験票も届きました。

まずは第一関門突破です。

そして、受験の地、東京へと向かいます。

第二関門:筆記試験

本当なら新幹線・前泊でコンディションを整えるのが本当なのでしょうけど,当時は経済状況も豊かではなかったので、おそらく「受験」という目的では最も過酷な方法である「夜行バス」を使って上京。

予想通り一晩中バスに揺られる中であまり眠れない状態で早朝に到着。
少し眠たい状況での受験となりました。

ベストな体調とは言えないなかで,マークシートと小論文からなる筆記試験は,まあ無難にこなせたと思います。これも若かったからできたのでしょうけど,今思えば「セルフハンディキャッピング」と捉えられても仕方のない衝動的な行動ですよね。

そして,その日の夜行バスですぐにとんぼ返り。

「出来」については「ま,落ちたらしょうがないね。」と半ば投げやりな感じでしたので,数週間後に合格通知が届いたときには「おっ」と驚き半分,喜び半分な感じでした。

第二の関門もなんとか突破ですね。

第三関門:「面接」

さあ,いよいよ二次試験,「面接」。
まあ,「苦手」ですよね。

にもかかわらず準備など何もせず,再度,夜行バスでの上京です。

嫌なことこの上なかったですが,そもそも試験自体は「ダメ元」という感覚だったのが幸いしたのか,それともこの1年半の臨床実践の経験が自信にもなっていたのか,意外と緊張感も小さく,すらすらと答えられたような気がします。

もっとも面接内容自体は,どちらかと言えば「確認」のような感じで,まあ、よほどのことがない限りは落ちない(落とさない)ような感じでしたね。

重要視されていたのは能力というよりも「適性」のようでした。
それも,今後の自己研鑽への意欲とか,「謙虚さ」というようなところを見られたような気がしています。

このシリーズでも書いてきましたが,自分が本来は基礎領域から病院臨床へ至ったこと,だからこそ臨床能力は足りないことは自覚しており,今後の研鑚は必要不可欠,勉強の機会には積極的に参加している,というようなところを余すことなく素直に伝えることができたので,そこを評価してもらえたのだろうと勝手に思っています。

さて,それから再び合否の通知を待ちます。

さすがにここまで来たら落ちたくないですので(勝手ですね),通知が来るまでは結構ドキドキでしたので、通知の封筒を開け,通知書を開いた瞬間目に飛び込んできた「合格」の二文字を目にしたときには,「おぉーっ!」と素直に喜びがこみ上げました。

なんと,意外にも,うっかりと? 全ての関門を突破して,合格してしまったのです!

これを「青天の霹靂」というのでしょうか。

直後は「まあ,合格するのに越したことないよね~」,「これで「恥」をかかずにすんだな~」とかあまり前向きでない自動思考ばかりでしたが,長い期間かけてコストをかけて苦手さに耐えてやってきたことが実を結んだことは,その後ジワジワとポジティブ体験として実感してきましたし,実生活(キャリア上)も大きい転機になりました。

これも「運命」というものなのでしょうか? 
思えば,「選択肢」があるなかで,この時の私は短期的な「苦労をとる」「我慢をする」という選択肢を「なぜか」とっていたのです。

考察してみると,かつての病院勤務という「切羽詰まる」という大きいネガティブ体験をした経験が,「ここは耐えるところでしょっ!」と,前向きな方に「押してくれた」のかもしれません。

いやいやながらも長期的な展望に立った意思決定。ADHDっぽさをある意味,少しだけ克服できた結果ということなのかもしれません。

第四関門そして…臨床心理士になりました!

これは関門というのでしょうか…?

合格したら、登録手続きなどをする必要があります。
登録料5万円を支払わないと、資格証明がもらえません!

(ちなみに受験料は3万円でした)

高いな~と思いながらも、まあ,しかたないですよね。

受験料・上京にかかった費用・登録料…。合わせて13万ほど。旅費をケチったので,まだ安い方でしたね…(^^;

時に、平成14年の3月,全ての手続きを終了して、はれて資格証が届きました。

大学入学からいろいろありましたが、
大学院を経て、長かった旅路もここに完結…とはもちろんいきません。

もともと、本当はそんなに欲しかったわけではない資格。
ですが…それがあることで、その後の私の運命は大きく開けました。

やってみるもんですね。
流れに乗ってみるもんですね。

臨床心理士とはなりましたが、まだ、資格を持っているだけのほぼ素人

ここから、「プロ」の臨床家となるための、また長い旅路が待ち受けているのです。

エピローグ:真の臨床心理士への道!

まぁ,資格は取れても、実力はまだまだ。資格や免許ってそんなものですよね。

苦労して取得しても,やっと門の入口へ。本当の旅路はここからです。
単なる知識に、命を吹き込む作業が、これから、はじまります。

今振り返れば自分の至らなさに後悔も多いのですが、正直、大学院から初めての病院勤務まではとても「暗く、辛い」日々でした。

転職を経て新天地に恵まれたことにより,その後は割と明るく開けた生活が続きます。

元々学ぶことは嫌いではありません。
有資格者としての自覚も生まれ,出会いにも恵まれ,「ADHDっぽい私」であることを自覚しつつも学びを怠ることなく研鑚を続けたことによって自分を受け入れ、制御するすべを学び,そして今の状況に感謝することで「自己肯定感」も育まれていったように思います。

経験を積むにつれ,知識という枠組みに血が通い、少しずつですが人様のお役にたてる技術へと進歩していったように思います。

臨床心理士取得から21年が経過し、資格も4回目の更新をしました。

ただ,何度更新しても自分の臨床家としての旅路は今もまだ続いています。

心理学を志した元々の動機である「人間とは何か?」という問いにもまだ明確な答えは出ていませんが…泥にまみれながら「臨床」という人と人との生々しいやり取りの中でこそ見えてきたこともあります。

年も50代となり人生の黄昏時…。

価値観の再編の時期でもあり,ここ数年で少し何かが転換する可能性もあります。

だからこそ,臨床心理士取得~今までの「20年のプロセス」についてもまた書きのこしたいな~と思っています。

この20年も,私的にはかなり「激動」でした(^^;!

感謝!

このただの自己満足で支離滅裂な記事をここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。

読んでくださる方,スキをつけてくださる方々のおかげ様で何とかこのシリーズについては完結できました。

後,シリーズ中にも書きましたが,この場をお借りして再度,
亡くなった父・今なおこの不肖の息子の身を案じてくれる母に感謝をささげます。

お読みいただき本当にありがとうございました。

また会う日まで!

広島心理教育研究所
小村緩岳(臨床心理士・公認心理師)

※本シリーズはこれで終了ですが,最後にもう一本「考察(仮)」を書こうと思っています。そちらもまた読んでいただけると嬉しいです。


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