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おのしゅんすけの小さな世界

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木曜更新短編小説(一話完結)のまとめです。楽曲を元に小説化することが多いです。ぜひ。
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2020年5月の記事一覧

最終列車

がたんっ…… いつの間にかうとうとしていたみたいで、電車の揺れで目を覚ました。歪んだネク…

ヒールの高さ

カッ…………カッ…… 朝の東京の喧騒のど真ん中。ゴールデンウィークも明けて暑くなってきた…

クモが出た

ダンッ、ダンッ、ダンッ……バタッッッ! 「おにい!クモが出た!」 妹のアオが蹴躓きなが…

制服と太陽

ガララッ…… 「お待たせしました。どうぞ、中へ」 担任に声をかけられ、私は親と教室の中に…

夕陽1/3

キーン……コーン…… 誰もいない夕暮れの教室。全生徒下校の時間を知らせるチャイムが鳴った…

やさしさが邪魔をする

ピンポーン…… 電気が消えた薄暗い部屋で僕はソファから立ち上がって玄関に向かった。ドアの…

初恋

カランッ…… 「隣、いい?」 彼女が持つ少し汗のかいたグラスには半分ほど減ったオペレーターが光っていた。 「ええよ」 彼女はほっとしたように笑って僕の横の席についた。 「久しぶりやね」 「そうやな」 少し頬を赤らめた彼女は5年前に比べて随分大人になっていた。 成人式終わりの同窓会、その二次会での席。地下鉄なんば駅から10分ほどの洒落たレストランの2階を貸切ってそれは開催されていた。 普段、二次会なんかには参加しない僕が珍しく参加したのは彼女に会うためだった。

角を曲がる

ぴちょん……ぴちょん…… 樋の割れ目から漏れてきた雨水が水たまりに小さな波紋を生んだ。私…