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初心者旅人と自由人のタイ旅行1日目②一大渋滞のバンコクとブルートレインー

ー前回までのあらすじー

いきなり1時間飛行機が遅延し、ただでさえ時間のなかったバンコク観光はさらにバタバタに。黄金仏寺とワットパークナムを巡ったあと、夜行列車のために駅に向かうが果たして……。

 陸地についた私たちは、まずタクシーを拾うことに。夜行列車の出発する駅までは30分ほど。トゥクトゥクには遠すぎて受け入れてくれない。偶然目の前に止まっていた車にお願いして乗せてってくれることに。出発時刻まであと50分。運転手は気のよさそうなお兄ちゃんだった。

 バンコクの渋滞は予想の何倍も激しかった。バンコクは夕方のたびにお盆の高速くらい混むし、それより多いバイクが間をどんどんすり抜けていく。おまけにタイは左折は赤信号でもできるため、青になっても車が進まない。運転手のお兄ちゃんがおもむろにスマホを取り出し、Google翻訳の画面を見せてきた。

「バンコクはいつもこのくらい混む。でも絶対に間に合うから安心して。」

 そんなことを伝えつつ、タクシーは急加速と急減速を繰り返しながら駅へ向かう。

 それにしても遅い。バイクに乗るタイプのタクシーにすればよかった。出発時間はどんどん近づいてくる。それ以上に怖かったのが、運転手のお兄ちゃんの顔が焦りに満ちてきていることだ。また翻訳の画面を見せてきた。

「バンコクはとても混むからそれを想定しないといけない。でも多分大丈夫」

 完全に自信をなくしている。タイ初日にして、微笑みの国に一番似合わない表情を見た。それでもだいぶ近づいてきた。信号が青になったら、そこを右折して、あそおに見えるロータリーで降りて、、到着した時間は

18:48

 あと二分。目の前で発車が頭をよぎる。お兄ちゃんには少し多めにお代を渡し、駅に入る。でもホームがどこかわからない!!駅員さん、この列車はどこ?あっち?ありがとう。よし今度はそこのおばさんに聞いてみよう。あのエスカレーターでいいのね?

エスカレータの入口につくと、駅員さんが野球の3塁コーチのように必死に案内してくる。発車まであと30秒。チケットを見せたら、エスカレーターを駆け上がる。ホームについて、銀色の客車に乗り込んで、、、

 乗り込んでから扉が閉まるまで20秒もあっただろうか。あと一回信号に引っかかったら乗り遅れていた。落ち着く間もなく、列車が動き出した。ここから12時間の旅がはじまる。

タイはホームが低いので電車の迫力がすごい!

 車内の左右にベッド、ではなく向かい合わせの椅子並んでいるのが本日のお宿、二等客室。あとで二段のベッドに変身する優れモノだ。客はヨーロッパ系の旅人がいっぱい。 
 日本では2010年頃までにほとんど消えてしまった夜行列車、特に客車タイプのいわゆるブルートレインはもう日本では乗れないと思う。古き良き国鉄の旅、というかんじだ。

これは食堂室。寝台撮るの忘れてた!!

 ほどなくして、乗務員が弁当を売りに来た。一人800円。タイではかなり高いけど、なんの準備もしてないのよね。カレーみたいなのを注文。しかしカレーは売り切れだったらしい。代わりに渡されたのはチキンの照り焼き。タイ最初の料理は、本場よりかなり甘い日本食だった。なんでや。

ご飯を食べ終わると、乗務員がベッドメイキングをしてくれる。室内灯を消し、カーテンを閉めると、窓の外に流れる夜景を楽しめる。と言っても見えるのは真っ暗な中にところどころ着いた街灯と、時々通過する駅の明かり。 
 まともに寝ていなかった私たちは、夜10時ごろには眠ることにした。車輪のきしむ音や揺れるベッドが妙に心地よい夜だった。


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