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ソフトウェアとコンテンツの両方を内製するatama plusの開発戦略


こんにちは!atama plusという教育系スタートアップで働いている川原です。

atama plusは、主に中高生の生徒さんが塾で学習をするためのアプリを提供しています。僕はその中で創業以来ずっと、どういう学習体験にすれば生徒さんの学力が効率よく上がるのかということを考え、開発を続けています。

(創業期の話はCTO of the year 2018のイベントに登壇した時にもお話ししています)
動画(3:00あたりから):https://www.youtube.com/watch?v=euoeQ6SqDKk&t=182s
資料:https://www.slideshare.net/sontoku0516/cto-of-the-year-2018-lean-ai12

学習体験や、そのコアとなるロジックなどの開発は、現在僕の所属するアルゴリズムチームが専任で担っています。

atama plusではソフトウェアだけでなく、講義動画や問題といった学習コンテンツも完全に内製しており、コンテンツチームがこの部分を担っています。
実は世の中を見渡してみると、ソフトウェアとコンテンツの両方を使うようなサービスを提供している企業の中で、両方とも完全に内製している企業は少数派で、どちらかを外注している企業のほうが大多数かと思われます。

そのような状況の中で両方を内製するという戦略をとったのは、ユーザーにより良い学習体験を提供するために最適な手法をとることができると考えているからです。

この記事では最近あった事例を元に、この体制が具体的にどのような課題に対してどのように効果的に作用したのかをご紹介します。

atama plusが提供する「さかのぼり学習」という学習体験

atama plusでは、atama+という学習アプリを提供しています。
このアプリはさかのぼり学習という学習方法に基づいており、仕組みは下記のようになっています。

https://corp.atama.plus/service/ より)

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人間レベルを超えた「つまずきの原因究明」と「解決ステップ」。
AI学習の最大の強み。それはつまずきの根本を解消し、従来の何倍もの効率で力をつけられる『さかのぼり学習』です。

わからない単元がある場合、原因は「それ以前の他の単元(しかも複数)の理解不足」ということがほとんど。
生徒はもちろん、実は先生でさえ、その根本原因を突き止めるのは困難です。

atama+のAIは、データ解析によりこの原因を特定。学年や単元の壁を超えてさかのぼり、①「何を」②「どんな順番で」③「どのくらいの量」やればよいか、一人ひとりに具体的にナビします。

atama+のカリキュラムのパターンは、実に1億2036通り以上。その中から一人ひとりの課題や弱点を最短・最速で解消するルートを見つけます。

必要なことを、必要なだけ、ピンポイントで学ぶ。

まわり道ゼロ、ムダな時間ゼロ。自分だけのハイウェイを進む感覚で、「わかる子」も「わからない子」も圧倒的に伸びていくのです。

実際のatama+アプリでは、生徒さんはまず目標となる単元(目標単元)を設定してから学習を始めます。
最初にAIによる弱点診断が行われた後、この仕組みに基づき「つまずきの根本原因」となっている基礎的な単元(基礎単元)にさかのぼって学習を行っていきます。

課題分析の中で見えてきた、基礎単元の学習における問題

atama+アプリを使って驚くほど成績が伸びた生徒さんは沢山いらっしゃいますが、もちろん中にはそうではない生徒さんもいらっしゃいます。

そのような生徒さんたちがどこでうまくいってないのかを分析したところ、基礎単元での学習で必要以上に時間がかかっていることが差し当たって解決すべき課題だろうということがわかってきました。

具体的な例(説明のため簡略化しています)として、因数分解が目標単元に設定されており、AIがその基礎単元にあたる四則演算の単元の学習が必要と判断したケースが挙げられます。
下図にその範囲を青色で示しました。

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この場合、ユーザーはまず基礎単元を学習して、そこを理解してから因数分解の学習を行うことになります。

その基礎単元である四則演算の単元には、整数計算の問題だけではなく、分数計算の問題も含まれています。
しかし、もともと学習しようとしていた因数分解の単元には整数計算だけでよく、分数計算は必要ありませんでした。

調査の結果、多くの生徒さんが分数計算の問題でつまずいており、その結果、本来目的だった単元の学習が進んでいないことが分かりました。

ソフトウェアとコンテンツの両面からのアプローチでシンプルかつ柔軟に問題を解決する

解決方法は単純で、因数分解の学習をしたい場合は四則演算の単元で分数計算を行わせないということになります。少しややこしいのは、分数計算も含めた四則演算の学習をしたいユーザーも存在するということです。

こんなとき、コンテンツだけの変更であってもロジックだけの変更であってもなかなかライトには解決はできないと思います。
しかし、atama plusでは両方をコントロールできるため、以下のようなアプローチで比較的シンプルに、かつ応用が利く形で解決することができました。


▼コンテンツチーム
・今まで「標準」と「発展」の2段階しかなかった難易度パラメータに、「基礎」という難易度を追加して3段階にする。
・標準レベル難易度である四則演算の単元を分数計算が必要な部分と整数計算だけの単元に分割し、因数分解と整数計算の単元の難易度を基礎レベルにする。
▼アルゴリズムチーム
・基礎レベル難易度の学習中は、標準・発展レベルの分数計算の単元の学習はさせないようにする。

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これにより、因数分解を学習するユーザーには不要な分数計算を省きつつ、分数計算を含む四則演算の学習をしたいユーザーには適切に分数計算の学習を提供することが低コストで可能になりました。

一緒に働ける仲間を募集しています!

このように、atama plusではコンテンツとソフトウェアの両方を駆使して学習プロダクトを作っているので、素早く最適な学習体験をユーザーのもとに届け、改善していくことができます。
このような体制と優秀なメンバーをもって臨めば極めて柔軟な開発ができ、これまでの教育の常識を覆すような学習体験を作っていけると考えているので、ぜひもっと仲間を増やして開発を加速していきたいと思っています。

例えば先ほどの事例は簡略化した説明のため、「別の解決法でもシンプルに解決できるのでは?」と考えた方や、「もっと知りたい!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

もしこういったロジック・仕組みを考えるアルゴリズムチームに興味をお持ちいただけたら是非詳しくお話しできればと思います。
もちろん、コンテンツチームや他の職種でもかまいません。是非お気軽にご連絡ください。

▼atama plusの採用情報サイト
https://recruiting.atama.plus/


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