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デザイナーのための「ミーティングのキホン」

はじめに

京都のイノベーションデザインファーム、XIN inc.所属の岩本です。
普段はクリエイティブディレクターとして、大規模サイト中心に、企画や設計、コンセプトメイキング、UI/UXデザインなどに携わっています。

最近は新しいメンバーも増え、暗黙知になってしまっているものを形式知に変える必要性がぐんとあがってきました。

中でも最近気になっているのは「ミーティングの進め方」。

お客様との会議はもちろん、ディレクターやエンジニアとの段取りや進捗の確認など、ミーティングが多い環境にある弊社。
ミーティングの質が仕事の質に直結すると言っても過言ではないかもしれません。

そんなミーティングの嵐で7年以上揉まれてきた経験を形にしたいと思い、
今回は、「デザイナーのミーティングで大事だと思うこと」をまとめてみました。
振り返るとごく当然のことばかりと思いますが、自戒を込める意味でも記しておこうと思います。


なぜミーティングが重要か?デザイン以前の問題

突然ですが、デザイナーとして案を持っていくとき、
ミーティングでいきなりデザイン案の説明をしていませんか?

そして、
「えーと、なんの話?」
「ちょっと整理してくれる?」
という感じになったことはありませんか?
(私にはめちゃくちゃありました)
(というか、どうかすると未だにそんな状況に陥ることもあります)

こういう状態になると、もうデザインの話どころではなくなってしまい、最悪、デザインを確認する段階にすら入れません。

当たり前のことですが、デザインはアートではないので、表現には誰にでもわかるようなロジック・必然性が不可欠です。

特に方向性が定まっていない段階では、
・課題が何で(何と解釈していて)
・何が狙いで
・どんな手法が考えられて
・その手法にはどのようなメリット・デメリットがあるか

といった整理をしなくては話が進みません。

判断軸がないままに「どうでしょうか!」と問われても、感覚に従ったFBしかできないと思います。

それでは当然困るので、上記したような課題や狙いをちゃんと引き出せるようなミーティングを設計するのが重要だと考えています。

ミーティングの成功はほぼ型で決まる…かも

ミーティングといっても様々なタイプがあると思いますが、ここでは特に"あるWEBサービスの改善提案"として考えようと思います。

例えばクライアントから
「運用してみているんだけど、なんか効果がイマイチ」
「ここが問題っぽいんだけど、何か改善案がないか?」
といった課題感があがり、ミーティングが設定される。そんなとき、ミーティングできちんとデザインについて議論をするためには以下のようなことを心がければ良いのではないかと思います。 

① ミーティングの目的を共有する

散漫な議論にならないようにするため、何を目的にする場なのかを確認しておくのが意外と重要です。
冗長なのも良くないですが、かといってこのステップがないと関係者の解釈によって意見の方向性がぶれてしまうため、「可能性を最大限広げ切る」「実施項目の優先度をつける」「案を絞る」など、参加者の意思統一をまず行っておくのが吉です。

②前提・課題をすり合わせる

与えられている要件をおさらいし、課題の解釈をすり合わせます。
これを提示しないと、何のためのデザインなのかが判断できないため丁寧に行うのが良いと思います。
(後述しますが、デザインがダメだったとき、どの段階のつまづきかが明らかになりやすくなります)
「こういう課題があがって」「それを受けてこんな議論があって」「こんな解決方法が良いんじゃないかと言われている」
…といったように、案を作るに至った経緯を簡単に辿ります

デザインをしているとそのあたりをよく反復するので自明のようになり、つい省略してしまいがちですが、意外と関係者が忘れてたりするのでちゃんと確認するのが大切です。

③解決方法について議論する(デザインを見ながら確認)

ここまで来れば、デザインについて正しく議論ができます。
複数案を出したくなることも多いですが、その際にも、「形の違い」ではなく「解決方法の違い」によってまず整理することが大切です。

・課題に対する解決方法別の案
 「〇〇を解決するには、Aの方法、Bの方法、Cの方法があります」
・課題が複数ある場合には、アプローチする課題別の案
 「〇〇にアプローチするとAの改善が、□□にアプローチするとBの改善が見込めます」

….例えばこういった区別で案を整理すると、課題にどのようにアプローチするのが良いか、判断がしやすくなります。
デザインが解決に至っていない場合も、どこが修正ポイントか、つまり、
「解決する方法は間違っていないが、表現が適切でない」
「解決する方法が別にある」
「そもそも課題設定を間違えている
(ということが作ってみてわかった)
といったことが理解しやすくなります。

印象についてのフィードバックももちろん大切ですが、それのみだとクライアントも不安になりますし、デザイナーも振り回されるので、根本的な部分をまず議論するのが解決の近道と考えています。

最後に

ここまで、話題を組み立てるための方法について挙げてみましたが、付け加えると、個人的には「場づくり」もすごく重要だと考えています。

最近しみじみ思うのが、デザイナーはやはり接客業である、ということ。

話し合いの中でデザインが構築されていくのなら、その話し合いは活気があって前向きな雰囲気が望ましいと思います。(何でもOKがもらえれば良いという意味ではなく、適切な議論の場を用意するという意味で)
デザインを提示する自分がオープンなスタンスでいること、そして、クライアントはじめ関係者が気持ちよく発言できる空気を作ることには気を配っていきたいなと思います。
ミーティングの型を順守するとともに、マインドも意識高く持っていきたいなと思う日々です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
何かの参考にしていただければ幸いです。

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