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高速で電話をとる妙技 vs. 電話で名乗らない人達のこと

 所属先に、とても優秀な事務の方がいる。とても物腰の柔らかい方で、なおかつ優秀な方で、いつも助けられている。先日も私がスケジュール調整に苦労して、とある案件と、とある案件を(時間的に)同時に対処するしかなくなっていたところを助けて頂いた。本当に迷惑ばかりをかけてしまい、頭の上がらない存在の方である。

 その事務の方には特技がある。とにかく外線電話をとるのが神技的に早い。私宛の折り返し電話だと分かっていても取り負ける。絶対に勝てない。その事務員さんの電話器だけ、1.5秒くらい早くなってるんじゃないかなと疑いたくなるのだが、その事務員さんに言われていることがある。

「先生宛の電話って、名前を名乗らない人、多くないですか?」

 あーーーーーそうかもねぇ。。。。なんというか「直通」の電話だと思ってかけてくるのだろうなぁと。多分、あの方とか、あの方とかだろうと顔が浮かぶ。名乗らなさそうな面々が確かにいる。すいません、私の育ちが悪く、類は友を呼んでいるのかもしれません、ごめんんなさい。その時は顔見知りのことだろうと思っていたのだ。

 ところがだ、今、その事務員さんを含めて、職員さん複数名が休んでいる。コロナにインフルにその他感染症の同時流行で、学級閉鎖だったりで、5類になってからの方が大変だという話は横に置いておいて、事務の方がお休みで、人手不足なので、当然ながら私もデスクにいる間に電話を取る(いつもと違って取ることができる)。先日のこと、続けて2件の電話を取ったが2人とも名乗らなかった。で、その両方ともが学生で、私宛てというか、二人とも学会の窓口宛だった。

 ここで、気づく。名前を名乗らない人は顔見知りじゃなかったのだ!学会宛にかかってくる電話だったのだ。ものすごく合点がいく。以前にもどこかで書いたと思うが、私はある学会の窓口をしている。その連絡先は共用電話なので、可能な限り電話じゃなくてメールで問い合わせてね、とHPに書いてある。それを無視して電話してくるタイプの方達だろう。いろんな意味で選択圧がかかっている。

 先日は2件とも続けて学生だった。うーん、、、、きっと学会窓口をコールセンターか何かだと思ってるんだろう。実際の大学教員が窓口をやってるなんて思ってもないんだろう。電話に出た時、私は所属大学の組織名+自分のフルネームで名乗っているが、電話口で「〇〇学会の問い合わせはこちらですか」と聞かれたら、「〇〇学会の問い合わせですね、私が承ります」と答えている。

 その先から、名乗りもせずに、一方的に要件を宣い始める。慌てて「失礼ですが、お名前とご所属を〜」と切り返す。私は丁寧語で続けるが、たまたまかもしれないが今日の学生は2名ともタメ口のような喋り方だった。いや、まぁ、口調は別に構わないんだけれども、せめて所属と名前を名乗ろうよ・・・と思うのだ。

 うちの事務の方がされている苦労が初めてわかった。本当に申し訳ない。きっとHPの注意書きを読まないというだけではないのかもしれない。そもそも、あの学会に入ろうという学生は、こういう感じが多いかもしれない。

 うちのど田舎で、コンベンションに入ってもらって大会を開いた時のことを思い出す。懇親会に出席してもらったコンベンションの偉い方が驚かれていた。「事前に説明を聞いてはいたが、こんなに若い方が多くて、しかも懇親会ではちゃめちゃに騒いでいる学会を初めてみた」と。これ大丈夫か?と。食べ物が瞬く間に消えていく。ホテルの方も「たいていは食べ物は余るもんですが・・・まさか本当にこの勢いでなくなる学会の懇親会があるとは・・・」とビビっていた(もちろん実行委員会は予想済みで追加オーダーも手配済み)。

 きっと間違いない。事務の方に迷惑をかけている諸悪の根源はうちの学会員だ。これは事務の方の本来の業務ではないので、謝らないとなぁと反省する。迷惑をかけないようにするには、電話を光の速さで取れるようになる修行をするしかない。

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 そんなことがあったからか、昨日の夜に怖い夢を見た。寝苦しい日にこんな夢を見たのだ。

 妻と二人で車に乗っていた。今も乗っている車だ。運転席は妻で、私は助手席だった。妻が勢いよく発進させたつもりが車は凄い勢いでバックして壁に追突、壁は全く傷つかずに私たちの車の後部座席が見事にぺっしゃんことなる。車は廃車となるが、私たち夫婦に怪我はない。このド田舎では車がないと生活がままならない。しかしお金がないので、夫婦揃ってアルバイトに出るという夢だ。

 妻はコンビニバイトに行き、私は大学での勤務の後に深夜にレンタルビデオ屋でアルバイトをすることとなった。驚くべき事に、そのアルバイト先の店長が、いつもお世話になっている事務の方なのだ。

 大学ではいつも通り。でもアルバイト先に行くと事務員さんが豹変する。怒られるのだ。ミスをしては怒られ、ものを取ってくるように命じられて探しても見つからず、「そんなことも分からないの!使えないっ!」みたいに怒られる。おまけに電話をとることができない。絶対に勝てない。電話が鳴る度に、どんなに急いで取ろうとしても、もう店長(事務の方)がとっている。店長の目が、まるでヤンキーのように吊り上がって「遅いんだよ!」と物語る。

 でも翌日の大学ではいつも通り。夜にアルバイト先にいくと、怒られる。家に帰ってシクシクしていると、妻に「車を買えるようになるまでは仕方ない!頑張るしかないでしょ!」と言われる、という夢だ。夢の中でも絶対に電話を取り負ける。一度も取れない。

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 こう、何か自分の知らない性癖みたいなものが現れているのか、それとも畏敬の念とか、いつも迷惑をかけていることの引き目みたいなものなのか、、、と複雑な思いで目が覚めたのだが、多分、電話のことから繋がっているのだろう。

 というわけで、一刻も早い事務の方の回復を祈るばかりである。どうか早く良くなってください。再び出勤された日には「弊学会には名乗らない方が多くてすいません」と詫びを入れよう。本当にごめんなさい。

 電話を光の速さで取れるようになる修行って、どこに行ったらいいんですかね?

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