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僕は息子に夢を与えてくれたJAXAが大好きなので、JAXAを心から全力で応援する

 今日のH3ロケットの打ち上げ時刻。再設定された段階で、「あーこれは(仕事中にコソっと)中継をみたりはできないなー、残念」と思っていた。打ち上げ時刻の頃、この時期ならではのお仕事で、コロナ対策で窓が開け放たれたくっそ寒い部屋で過ごしていた。ようやく無事に滞りなく全てが終わり、御礼の挨拶回りをして、ずっと我慢していたトイレに駆け込んで一息ついてスマフォを開いたら出てきたのは、この記事だった。

 えーーーー!!!これは残念。失敗かぁ。こりゃぁ今後が大変だろうな、、、、2号機も今年度と言っていたけれど間に合うだろうか・・・と暗々たる気持ちになった。詳細は読む時間はなかったが、家族にLINEで記事をシェアして、残念だね、とだけ送る。

 その後もキャンパスの移動あり、会議やら会議を開くための事前調整のための説明(ややこしい)あるいは偉い方へのレクやら何やらで、打ち上げの詳しいことが分からず、夕方になって時間が出来て記事を読み始めて、ようやくH3ロケットの打ち上げは「(きちんと)自動で異常を検知してシーケンスが止まった」と理解した。JAXAの打ち上げライブ映像を見ると、シーケンスは止まったが中継映像のカウントダウンが進んでいるので「失敗」したように見えるが、これはきちんとギリッギリの直前で安全に停止したということかなと思った。僕は素人だけど。


 でも機体も衛星も何もかも残ってる。無傷じゃないか。すごいなぁと思っていたら、その後の記者会見がとてもとても痛々しかった。

 記者会見の8分過ぎ、「率直な受け止めをお願いします」という質問に対して、岡田マネージャーは空を見つめ、言葉に詰まる。悔しさが滲み出る。動揺しているのを隠しきれない。ここまで2年も延期してたし、本当に「悔しい」んだと思う。今までも相当な重責・プレッシャーの中でお仕事をされてきたに違いない。そして、さらに、ここからは、冷静に原因を突き止め、再び旗を振って前進していく役割を担わなければならない。最後の「すみません」が苦しい。見ていて切ない。

 でも頑張って欲しい。僕はJAXAを応援する。自分の息子に夢を与えてくれたJAXAを心から応援する。無責任だけれども、応援する気持ちは無制限だ。全力で応援したい。諦めないで欲しい。


 もうXX年も前のこと。家族で種子島に旅行に行った。僕は海辺でのんびりして、BBQでもしたかったので、キムタク夫妻が泊まったことがあるというコテージのすぐ近くに宿泊して、種子島を観光した。SF大好き、ロボット好き、アニメ好き、として種子島宇宙センターにも見学に行った。ここで、まだ幼かった息子が「ドハマり」したのだ。打ち上げ映像、射場のバス見学、本物のロケットなどを見て、ロケット打ち上げに「ドハマり」した。打ち上げのプレス見学席に、ずーーーーーっと座って眺めていて離れたがらかった(なぜ、あの場所が気に入ったのかは謎。ちなみにプレス見学席に座って食べた安納芋の焼き芋は絶品だった)。

 自宅に戻ってからもロケットの打ち上げ映像を繰り返し見て、全ての台詞を覚えていた。特にカウントダウンからの「SRB点火、リフトオフ」の辺りがお気に入りだったようで、眠る時に何度も繰り返していた(まさに、今回、ギリギリで止めた時点)。地元の科学館にも通うようになった。


 種子島旅行以降、家族旅行は常に「宇宙開発」がテーマだった。筑波にも行ったし、相模原キャンパスにも行ったし、沖縄宇宙通信所にも行った。宇宙飛行士の講演会も応募して、当たったら遠方でも出かけた。そして、遂に念願叶って、休みをとって内之浦宇宙空間観測所を見学に行った。その頃には妻もすっかりハマっていたし、なかなか訪問することの出来ない場所だから、と念入りに見学した。イプシロンロケットの射場だけでなく、これでもかと構内をウロウロと見学していた(内之浦は、構内を車で移動する感じです)。事前にイプシロンの打ち上げ映像を見ていた息子は射場がお気にいりのようで、ずっと眺めていた。

 その時、施設からJAXAの方が出てきた。長い間、敷地内をあっちにこっちにとウロウロしていたため(もちろん見学可能な範囲のみです)、カメラに映っていて不審者と思われたかも!と思い、焦って「すいません、もうすぐ帰りますので」、とJAXAの方に声をかけたら「いいんですよ」と優しいお声をかけてくださった。今でも覚えている。「こちらに、どうぞ。ロケットに興味がありますか?では、ぜひ、ここをみていってください。これが何か分かりますか?」と子供に優しいお声をかけて下さって、なんと解説をしてくれたのだ。帰り際に「どちらからですか?」という私達(親)への質問から始まったやりとりで分かったことだが、その方は「井元隆行さん」だった。なんと家族3人で井元隆行さんの解説を直々に頂いてしまったのだ。しかも息子と一緒に写真もとってくださった。今でも宝物だ。


 あれから、もう何年もたつが、我が家族はロケットが大好きだ。息子も宇宙好きで、SF好きで、ロケットやロボットにハマっている。息子の夢は宇宙開発に関わる職業に就くことだ。東京に出張に行ったら、貿易センタービルの「宇宙の店」に必ず寄って、ピンバッチを買ってお土産にしていた。打ち上げ時刻には痕跡が見えないか、遠い町から一生懸命に空を眺めている。一度、夜打ちでキレイな痕跡が見えたことがあり、息子と興奮した。コロナ禍になり、JAXAの施設見学を兼ねた旅行は中断しているが、また再開出来るだろう。コロナ禍の中でH3のニュースも家族で追いかけていた。

 だから僕はJAXAを応援する。全力で。息子に夢を与え、家族に共通の趣味をくれて、新しい世界を見せてくれた。昨年から続く状況は、逆風になるかもしれない。実際に共同通信の記者(恐らく文系で、「失敗」と「中止」という言葉使いに執拗にこだわるくっそつまらない人間だ)の容赦のない責めを見ていて、心が痛かったし、腹がたった。あんなのに負けないで欲しい。

 スペースXの登場によって日本の宇宙開発は確かに厳しい状況にあるかもしれない。ファルコン9のロケットが垂直着陸で戻ってきた時、Crew-Dragon を初めて見た時、本当の未来がきたと衝撃を受けたのは僕だけじゃないはずだ。でも諦めないで欲しい。頑張って欲しい。どうせ明日には「日本の宇宙開発技術の衰退ぶりは深刻だ、遅れをとっている」とか書かれるんだろう。そして悔しいけれども事実なんだろう。でも今のアメリカだって、スプートニク・ショックを受けてからの盛り返しだ。「まだだ、まだ終わらんよ」と叫んでからが勝負だ。

 あの日、内之浦で井元さんの説明を聞いてから、僕たち家族はJAXAの永久ファンになった。大興奮して大騒ぎしながら内之浦から帰った。科学者とか大学教員とかとは別の立ち位置で、JAXAを全力で応援している。言葉尻しか見ないような文系のくそみたいな記者が何を言おうが、負けないで頑張ってほしい。こんなネットの片隅で、うだつのあがらない三流研究者がエールを送っても何の役にも立たないけれど、僕と、僕の家族は、全力でJAXAを応援している。きっと僕らみたいな家族が全国にいるはずだ。

 応援する声がJAXAに届いて欲しいと願う。

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