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【気まぐれショートショート】ほんの一部スイカ

洗濯ものをしまい終えて疲れたのか、私はついうたた寝をしてしまった。
ほんの10分、いや15分か。気づいた時には外の夕焼けがきれいな時間帯になっていた。
夕飯の支度をしなければ。
立ち上がると、物音に気づいた愛犬がトトトと隣の部屋から走ってきた。

その耳がスイカだった。
均等切りされた小ぶりのスイカだった。

なんで?
寝ぼけてる?
いやいや頭ははっきりしている。しかし考えてもなお意味が分からない。
もう一度その耳に目をやる。

普通の耳だった。
こちらの気も知らずおやつをせがんでいる。

その夜、帰ってきた夫に話したら案の定笑われてしまった。
「君もそんなかわいいことを言う時があるんだね」
「からかわないでよ。本当にびっくりしたんだから」
いつも通りお風呂場へ行く夫の姿を見て安心したのか、
きっと夢だったのだと、忘れようとしたその時だった。
「大変だ。シャワーが、シャワーがスイカに……」
血相を変えた夫が、私のところに走ってきた。そして倒れてしまった。

私がちょうどデザートのスイカを切ろうとしていた。
だからなんで?

(442文字)


怖いものを見た時や理解が追い付かない時の反応って、人によって違うということに最近気づく。
私の場合、びっくりすると言葉が出ないタイプなのですが、みなさんはどうでしょうか?

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