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【格闘ゲーム】数年ぶりに格ゲーに触れて思う攻略媒体の推移の話

今回年単位のブランクを空けてわりとまっさらな状態で格ゲーに触れて思ったんですが、昔に比べ「英語が読めると得だな」と感じる場面が随分と増えたように感じます。

というのも未だに昔ながらの攻略Wikiが質・量共に充実し、Discordの動きも活発な海外と比べ、国内の格闘ゲームは攻略の場がTwitterに移ったことで
攻略の文化が完全に退化してしまっているからです。

商業から同人格ゲーまで、幅広いタイトルのフレームデータを網羅するMizuumi Wiki

字数制限の厳しいTwitterは正直攻略の場には向いていません。
TL上には承認欲求を満たしやすい一発芸じみた動画ばかりが溢れ、たまに有益なツイートがあったとしてもそれらは数日も経てばネットの海に消えていってしまいます。

情報のとっ散らかり具合がハンパではなく、後発のプレイヤーに優しくないこと甚だしいなぁ、というのが引退勢が持つ率直な感想でした。


1. 紙の時代

じゃあ昔はどうだったのかというと最初はゲーメスト・アルカディアといった「アーケードゲーム専門誌」と「ムック(攻略本のようなもの)」が攻略媒体の中心でした。

といってもメストに関しては私は世代が外れているのであまり語れることもないんですが、少なくとも最先端の攻略や個人では調査困難な詳細なフレームデータといった貴重な情報がこの2つさえ購入すればとりあえず手に入るという導線が当時はあったわけです。

アンサガの解体新書等で知られるスタジオベントスタッフのAll Aboutシリーズ

アルカディアは大抵のゲーセンに置いてあったのでその情報は当時のプレイヤーに広く共有され、新キャラが出た直後などはアルカディア記載のコンボを使って対戦する人々の姿が全国各地のゲーセンで見ることが出来ました。

そこから先の攻略は情報の伝達が遅いが故に地方ごとの独自の特色が見られるようになり、たとえばある地域では評価の低いキャラクターが別の地域では真逆の評価を受けているといったこの時代ならではの面白さがあった、というのは古い格ゲーマーであればよく知る話でしょう。




2. したらばと個人ブログの時代①

ネット黎明期に入ると紙の攻略媒体に加えて
匿名掲示板の「したらば」と「個人攻略ブログ」の2つが台頭してきます。

したらばのような匿名掲示板の長所は忌憚のない意見を酌み交わせるところにありますが、書き込んでいるプレイヤーは大半がパンピーなので有益な書き込みは実際には極僅かです。

しかし書き込みの量自体がとにかく多く、また話題が限定されている分Twitterの飯ツイートのような検索ノイズも少ないのでまともな書き込みを拾い上げればそれなりにまとまった攻略情報を手に入れることが出来ました。いわゆる「集合知」というやつですね。

またSNSのない当時は承認欲求を満たす場として上位プレイヤーがコテハンで書き込むことも多く、書き込みの内容に実力が担保される彼らの存在も攻略の発展に大きく寄与していたと思います。

平成のe-Sportsシーンの盛り上がりを伝える記事の一部




3. したらばと個人ブログの時代②

もうひとつ当時のネットにおいて上記のしたらばと双璧を成す
攻略媒体だったのが「上位プレイヤーによる個人攻略ブログ」です。

書き込みの質が玉石混交な匿名掲示板と違い、執筆者の実力が明確となる個人ブログは読む側が情報を得るために必要な労力が少なく、また有益な情報が多く記載されていたため当時のプレイヤー達から非常に重宝されました。

旧作タイトルが現行機に移植された時などは未だにこれらの個人攻略ページが利用されている点からもその有用性の高さが窺い知れるかと思います。

(界隈では)有名な「感謝で昇龍拳」のページ

つまりこの当時は何かしら新規に格闘ゲームを始めようと思ったら

・したらばのキャラスレ
・個人ブログ

この上記の2つ(+ムックのフレームデータ)にさえ目を通せば必要十分な情報が手に入る導線があり、後発の新規プレイヤーにとって比較的参入障壁の少ない環境があったわけです(全体の攻略のレベルが今より低かったというのもありますが)。




4. したらばの凋落

攻略情報の集積場として有用なしたらばでしたが、時流と共に凋落の兆しが見え始めます。より手軽に承認欲求を満たせるTwitterが台頭してきたことで

「匿名でネタ出しするぐらいならTwitterに載せる」

と考えるプレイヤーが次第に増えてきたのです。

一方で彼らが去ってもしたらばに残る人達もいましたが、そうして残ったのは結局パンピーばかりだったので実力者にとっては「読む価値がない」と判断されるようになり、したらばのプレイヤー離れは徐々に加速していくこととなりました(元からそう思ってた人も多いとは思いますが)。




5. Twitterの時代

翻って令和現在。かつてのように

「○○で▲▲のキャラを使うならまずここを見ろ」

と案内出来るゲームはだいぶ少なくなってきているように感じます。

攻略の場としてのTwitterには先に書いたような欠陥があるため、
後になってそれらの情報を検索しようとした場合

・キャラ名etcを略称・正式名称・英語・ハッシュタグで都度検索
・それでも出てこない情報はプレイヤーのTLを上から読む

といった膨大な手間が必要となるのですが

これがまー面倒くさいわけです。

「うんこなう」の中から情報をすくい上げるような、文字通りドブさらいの如き手間の要求される作業ですが身内以外の他のプレイヤーから情報を得ようと思ったら実際他に選べる選択肢はありません。

通り一遍の浅い攻略であればWikiやYoutube等の攻略動画にも記載はあるかもしれませんが、それ以上の深い攻略となると大半が日常のツイートの中に混じって吐き捨てられているのが現状でしょう。

それでも自身がそのゲームの最前線にいる内はまだ比較的情報を追う労力は少なく済みますが、当然ながらそれらのツイートは時が経つほどにサルベージが困難となっていきます。

また、途中ブランクが空いたり後発で始めたような場合はこれに加えて

・乱立するWikiの中から最も情報量が多く更新が新しいものを探し出す
・Youtubeに無数に存在する攻略動画をひとつひとつ見ていく

といった手間も追加で必要になってくるので、
「今から格ゲーを始める人はほんと大変だなぁ」などと
思うこともあったりするわけです。

「昔だったら2箇所を見るだけでよかったのに」と。

(格闘ゲームに限らず)基本的に1対1のPvPは腕の差以前にまず「知識差」をある程度埋めないと話にならないんですが、そこで追いつくために必要なプロセスが格ゲーは昔よりも正直だいぶ煩雑になっているように感じます。

そのへん個人的に思う所もあって先日かつての個人ブログを模した濃い攻略記事などを出してみたりしてみたんですが、PV数の割にぼちぼち売れてたんでやはりこういったテキストベースの攻略っていうのは今も昔も一定の需要があるのでしょう。

私自身はもう引退勢なんで別にプレイヤーが増えて欲しいとかそういうことは全く思ってはいないんですが、それはそれとして興味を持って始めてくれた人達が入り口で引き返さずに済むような導線を張っていくことがこういうゲームではやっぱり大事なんじゃないかなと思ったりはしますね。


オプーナちゃんは生まれつき心臓が弱く 一カ月以内に心臓移植が必要です しかし移植には100万×7140円という莫大な費用がかかります オプーナちゃんを救うためにどうか協力をよろしくお願いします