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【2017上半期カルチャー振り返り】2017上半期映画ベスト10 #コンテンツ会議

大分、出遅れてしまいましたが、備忘録として、2017年上半期(1月~6月中)に観た映画の中で印象に残った映画を、いくつかの記事に分けて、ベスト10などの形で書き記します。

では、早速、こちらの記事では、ベスト10の発表を。

■2017上半期映画ベスト10

10位. 『哭声/コクソン』


【あらすじ】平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。彼がいつ、そしてなぜこの村に来たのかを誰も知らない。この男につい ての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして必ず殺人を犯した村人は、濁った 眼に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。事件を担当する村の警官ジョングは、ある日自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。ジョングは娘を救うためによそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、誰も想像できない結末へと走り出す――

【感想】正直、そこまで得意ではないナ・ホンジン監督作品。それでも圧倒的な映像と演技力、設定の巧妙さ、最後まで理解しきれない神話的物語構造の深さにヤラれました。國村隼さんの世界デビュー作としても貴重な一作。


9位. 『お嬢さん』


【あらすじ】1930年代日本統治下の韓国。スラム街で詐欺グループに育てられた孤児の少女・スッキ(キム・タエリ)は、 “伯爵”と呼ばれている詐欺師(ハ・ジョンウ)にスカウトされ、莫大な財産の相続権を持つ美しい令嬢・ヒデコ(キム・ミニ)のメイドとして働くことに。ヒデコは世間とは隔絶した辺ぴな土地に建つ屋敷で、支配的なおじ(チョ・ジヌン)とひっそりと暮らしていた。実は“伯爵”はスッキの力を借りてヒデコを誘惑し、結婚した後、彼女を精神病院に入れて財産を奪うという計画を企てていたのだ。計画は順調に進むが、献身的なスッキにヒデコが次第に心を開いていき…。

【感想】今まで、ほとんど韓流映画を映画館では観てこなかったのに、いきなりベスト10に2作。それだけインパクトの強い2作でした。こちらは演技(騙し合い)合戦と構成が凄まじい。これほどスカッとしたエンディングは、なかなか味わえませんよ!


8位. 『20センチュリー・ウーマン』


【あらすじ】1979年、サンタバーバラ。シングルマザーのドロシア(アネット・ベニング)は、思春期を迎える息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)の教育に悩んでいた。ある日ドロシアはルームシェアで暮らすパンクな写真家アビー (グレタ・ガーウィグ)と、近所に住む幼馴染みで友達以上恋人末満の関係ジュリー (エル・ファニング)「複雑な時代を生きるのは難しい。彼を助けてやって」とお願いする。15歳のジェイミーと、彼女たちの特別な夏がはじまった。

【感想】この作品きっかけにマイク・ミルズ監督作品をいくつか見直したんですが、今までリアルタイムで観て来なかったことを後悔するほど大好きな作家性でした。甘酸っぱさも、息苦しさも、親への反発も、彼らの青春のすべてがリアル。

7位. 『人生フルーツ』

【あらすじ】かつて日本住宅公団のエースだった修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきた。1960年代、風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンを計画。しかし、時代はそれを許さなかった。GDP世界第2位(68年)などに象徴される高度経済成長期。結局、完成したニュータウンは理想とは程遠い無機質な大規模団地だった。修一さんは、それまでの仕事から次第に距離を置くようになる。そして1975年、自ら手掛けたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育てはじめた。それは修一さんにとって、ごく自然なライフワークとして継続されることになる。あれから50年、ふたりはコツコツ、ゆっくりと時をためてきた。そして、90歳の修一さんに新たな仕事の依頼がやってくる。

【感想】ドキュメンタリー作品は好きで意識的に観るようにしてますが、歴代ドキュメンタリーの中でも上位に入る傑作です。理想的な夫婦関係が、人間関係が、そして生き方と死に方が丁寧に描かれています。

6位. 『メッセージ』

【あらすじ】突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。

【感想】ドゥニ・ヴィルヌーブ監督作に外れなし!スクリーンに映る全て、聞こえてくる全ての隅々にまでこだわりを感じる作品でした。あの宇宙人のルックと文字の表現だけでも感動ものですが、オープニングからエンディングにかけての計算し尽くされた構造には鳥肌。数回、映画館に足を運びました。

5位. 『3月のライオン【前編】』

【あらすじ】中学生でプロ棋士としてデビューした桐山零は、東京の下町にひとりで暮らしている。幼い頃に交通事故で両親と妹を失い、父の友人である棋士の幸田に引き取られたが、ある事情から幸田家を出るしかなかったからだ。深い孤独を抱えてすがりつくように将棋を指し続けていたある日、零は川向こうに住む川本家の三姉妹と出会い、彼女たちとのにぎやかな食卓に居場所を見出していく。今、様々な人生を背負った棋士たちが、頭脳と肉体と精神の全てを賭けて挑む、想像を絶する戦いが零を待ち受ける!

【感想】大好き過ぎる原作なので、映画化されるだけでベスト10入り間違いなしなのですが、想像を遥かに越えて良かった。キャスティングはこれ以上ない素晴らしいものでしたし、何よりも神木隆之介さんの演技には何度も泣かされました。

4位. 『夜は短し歩けよ乙女』

【あらすじ】クラブの後輩である“黒髪の乙女”に思いを寄せる“先輩”は今日も『なるべく彼女の目にとまる』よう ナカメ作戦を実行する。春の先斗町、夏の古本市、秋の学園祭、そして冬が訪れて...。 京都の街で、個性豊かな仲間達が次々に巻き起こす珍事件に巻き込まれながら、季節はどんどん過ぎてゆく。外堀を埋めることしかできない“先輩”の思いはどこへ向かうのか!?

【感想】あの湯浅政明監督の新作が観られるだけでも嬉しいのに、「四畳半神話大系」チーム勢揃いという多幸感。更には、星野源さんをはじめとした声優陣も完璧。ドラッグのような映像に酔いしれました。映画館という集中できる空間ならではのトランス状態は気持ちよかったです。

3位. 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』

【あらすじ】“スター・ロード”ことピーター・クイルをリーダーに、凶暴なアライグマのロケット、マッチョな破壊王ドラックス、ツンデレ暗殺者ガモーラなど、たまたま出会ったノリで結成された宇宙の“はみ出し者”チーム、<ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー>。小遣い稼ぎに請けた仕事をきっかけに、強大な力を持つ“黄金の惑星”の指導者アイーシャ率いる無敵艦隊から総攻撃を受け、彼らの宇宙船ミラノ号は壊滅寸前に…。間一髪、ガーディアンズを救ったのは“ピーターの父親”と名乗る謎の男エゴと、触れただけで相手の感情が分かる能力を持つマンティスだった。仲間からの忠告にも関わらずエゴに魅了されていくピーターの姿を見て、次第にチームの絆に亀裂が…。そこへ“ピーター育ての親”ヨンドゥが率いる宇宙海賊の襲撃や、さらに銀河全体を脅かす恐るべき陰謀が交錯していく。はたして、ピーターの出生に隠された衝撃の真実とは? そして、彼らは絆を取り戻し、銀河を救うことが出来るのか? その運命の鍵を握るのは、チーム一小さくてキュートな、ガーディアンズの最終兵“木”グルートだった…。

【感想】前作はそこまでピンと来なかったので、ハードルを下げて行ったら、まさかの大号泣。鑑賞前と鑑賞後のギャップでは一番の作品でした。オープニングのグルートからエンディングまで最高続き。2回目に観ると味わいが更にマシます。音楽も大好きでサントラを何回も聴きました。

2位. 『夜明け告げるルーのうた』

【あらすじ】寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)に住む中学生の少年・カイは、父親と日傘職人の祖父との3人で暮らしている。もともとは東京に住んでいたが、両親の離婚によって父と母の故郷である日無町に居を移したのだ。父や母に対する複雑な想いを口にできず、鬱屈した気持ちを抱えたまま学校生活にも後ろ向きのカイ。唯一の心の拠り所は、自ら作曲した音楽をネットにアップすることだった。 ある日、クラスメイトの国男と遊歩に、彼らが組んでいるバンド「セイレーン」に入らないかと誘われる。しぶしぶ練習場所である人魚島に行くと、人魚の少女・ルーが3人の前に現れた。楽しそうに歌い、無邪気に踊るルー。カイは、そんなルーと日々行動を共にすることで、少しずつ自分の気持ちを口に出せるようになっていく。しかし、古来より日無町では、人魚は災いをもたらす存在。ふとしたことから、ルーと町の住人たちとの間に大きな溝が生まれてしまう。そして訪れる町の危機。カイは心からの叫びで町を救うことができるのだろうか?

【感想】まさか湯浅政明監督作品が2作も観られる年が来るなんて…!より湯浅節が増して、映像の中に溶けていくような感覚を味わえました。その媒体でしかできない表現にチャレンジしている作品は無条件に評価してしまうのですが、まさしくアニメでしかできない表現でした。とあるシーンでは理由もなく号泣。何度も観たい作品です。


そして、1位は……!




1位. 『ラ・ラ・ランド』

【あらすじ】夢追い人が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア<エマ・ストーン>は女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末のバーでピアノを弾くセバスチャン<ライアン・ゴズリング>と出会う。彼はいつか自分の店を持ち、本格的なジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合うが、セバスチャンが生活のために加入したバンドが成功したことから二人の心はすれ違い始める……。

【感想】初めて鑑賞した後すぐに2017年ベストが確定しました。個人的に、映画の中では音楽が大きな要素を占める中で、歴代でもベスト音楽映画となりました。サントラは、普通のCDを併せても2017年上半期に一番聞いた「音楽」ですし、youtubeで最も多く観た映像でもありました。ダンスも色合いも背景の全てが完璧。好みでなかった前作「セッション」から大幅に上回ってくださったのも嬉しかったです。


ということで、今回は、2017上半期映画ベスト10を紹介しました。

また、タイミングを見て、ワーストやナーメテーターなどを書きたいと思います。


#2017上半期映画ベスト10 #コンテンツ会議 #映画 #アニメ

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