「がんばろう 日本!国民協議会」第16回埼玉読者会(R3.5月)
これは、「がんばろう 日本!国民協議会(http://www.ganbarou-nippon.ne.jp/)の機関紙、「日本再生」の読者が毎月行っている読者会のうち、埼玉の会の報告です。
「今回のテーマ」
① 人権民主主義で生き方を内面化する
② 穏やかなカオスを作り出すとは
③ 機能する自治体・議会を作り出すためには
【SUMMARY】
多様な意見を持つ人々が集まって合意形成をしていくためには、カオスの空間が必要です。カオスとは今までの固定観念や常識を取り払った状態のことです。カオスから生み出される新しい価値観を絶え間なくアップデートしながら、自分たちの生きるこれからの社会をつくりあげていくことが私たちに求められています。
民主主義を幸せと感じるためのエビデンス
一度手に入れた自由を奪われるという経験をしたことがあるでしょうか。2011年以降民主化が取り組まれてきたミャンマーでは、クーデーターによる国軍の統制に対する市民の抵抗が続けられています。自由民主主義国といわれる日本でも「国籍」という、自分では変えることの難しい属性を理由に、収容されたり、生活する資格を失ったりする可能性がさらに高くなると思われる入管法改正案への反対を訴える市民や専門家の動きが加速しています。こうした世界の動きは、一見私たちの日常生活と関係がないように思えるかもしれません。しかし、コロナ禍で明らかになった所得格差や家庭内暴力、雇用に関する問題など、私たちの身の回りでも、今まで当然のようにあったものがなくなってしまうという現象は沢山存在するのです。もちろん、私たちは今までも漫然と生きてきたわけではありません。より良い生活を求め、努力してきたと思います。しかし、私たちが目指してきた「よりよい社会」は、この先も求め続けられるものでしょうか。
今までの社会構造ではうまくいかないと気づいたとき、私たちはその原因を探ります。インフラが整備されていないからだ、ICT技術への取り組みが遅れているからなどと、様々な単語が飛び交うでしょう。しかしなぜその理由を選んだの?と聞かれたとき、答えることは難くなります。自分たちが民主主義国に生きていることを私たちはなかなか実感することができません。このためたいていの場合、自分自身の生き方に正応していない、どこかから借りてきた言葉になってしまいます。反対にミャンマーの人たち、香港の人たちの訴えが私たちの胸を打つのは、彼らが発する言葉に「今生きている」場所を「これから先も生きていける」場所にするための想いを感じるからです。それは、自分たちの国の歴史や現状、あふれかえる様々な情報を、自分が生きるということに一旦落とし込んで、その実感を伴って発している言葉だからだと思います。
立体的な多様性で構成される「穏やかなカオス」
では私たちの生きる社会をこれからも生きていける社会にするためにはどうしたらよいのでしょう。SDGsという言葉をよく耳にするようになりました。持続可能な社会を作るためには、単に日本だけが良ければ問題ないということではありません。入管法の問題を、日本人である自分には関係ないという認識では、例えば大きな震災があったとき、新型コロナのような感染症が再度蔓延したとき、おそらく乗り切ることができないのです。気候変動をはじめとする地球規模の緊急事態は、国籍や人種ではなく、人類という観点で次の社会をどうしていくかを私たち自身が日常的に語り、小さくても行動を起こしていく以外に対応する術はないのです。
ただし、私たちの価値観は多様です。各々の思考は生きてきた時代や環境に裏打ちされています。一人の人間であっても、価値観は幾層にも重なり、平面ではありません。そのため、新しいことを決めていくための話し合いの場、コモンズ(共有地)の空間は思い込みを崩すことができる状態であることが求められます。これはどうもおかしい、固定観念が通用しないと思わせる状況、つまりカオスです。社会は、トップダウンではなく、ボトムアップで作り上げるものです。私たちが変われば必ず、社会は変わります。多様な価値観が交じり合った混沌から合意をしていくためには、まず私たちひとりひとりが周囲に小さなカオスを作り、そこで話し合うことを意識しながら生活することが大切なのです。
私たちがつくりあげる、柔軟で復元力のある社会
小さなカオスから生み出された合意はどうなるでしょうか。自分自身の見解を深めるということはもちろんですが、「これから生きていく社会」をつくるために自らの言葉を使って他の人に伝えてさらなるカオスを作り、価値観を共有していく土台となります。このようなことを繰り返していくと、今までの自分の価値観に他者の価値観を含むようになり、社会の見え方が変わる、つまり多様性を受け入れることが出来る様になります。その視点で地域の課題をみると、無関係だと思っていた問題にも共通項があることがみえてきます。その共通項を解決するために、市民・主権者としてどう行政、議会とかかわっていくかという次のステージが必ず見えてきます。民主主義国であることを実感することができる、今自分たちがここで生きていることが幸せであると思える社会は、私たち自身の自覚と行動から作り上げていけるものだと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?