【がん治療記x受験奮闘記】脳腫瘍の発見(1)

2020年7月

 学校が休校になり塾も閉まりほかの受験生が混乱する中、僕の成績は調子が良かった。一人っ子で両親が共働きのため自宅での勉強を妨げるものは少なく、模試では既に第1志望のA~Bの判定は取れるようになってきていた。このことで心の余裕が生まれ、合格することを目標とするのではなくどれだけ高い順位で合格できるかに重点を置いて考えるようになった。東進英語科講師、渡辺勝彦氏は言う。「我々が目指すのは平均点などではなく満点だ」と。合格点を目指すよりも、合格平均点を目指すよりも、満点を目指す。高校生生活最後の夏休みが始まる前、僕の心意気は良かったと思う。
 しかしその一方で、僕の体調はそうはいかなかった。以前は数ヶ月に1回程度だった頭の横が拍動に合わせて痛む頭痛が月に数回は出るようになっていた。ただこの時はまだただの片頭痛持ちだろうくらいにしか思っていなくて、イブプロフェンを飲んで抑え込んでしまっていた。
 そんな中、学校や塾の再開に伴いマスク生活が始まり状況がさらに悪化する。マスクによる肩こりで頭痛が毎日になり痛み方も変わった。期末テストが迫るなか、杭を突き刺されるような激痛に勉強どころではなくなり近くの脳神経外科・内科の病院に行った。そこでMRIを撮ったところ、脳に影が見つかり大学病院に行くことになった。僕は結局期末テストを受けることができなかった。

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