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ヒーローの本当の仕事は悪を倒す事じゃない。

本業とは別にライフワークとして、私はゲームをプレイします。
初めて買ってもらったテレビゲームはファミコンのロードファイター。
やたらと幅寄せしてくる車をよけながらエネルギーが尽きる前にゴールできればクリアという単純な内容で、全4面。一心不乱にプレイしたものです。
3歳の頃でした。英才教育ですね。

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レースゲームに見えるが、実際はアクションゲームに近い

私はゲームと共に成長してきました。
進化したゲームは当時とは比べ物にならないグラフィック・容量で我々を楽しませてくれます。

ただ、だからといって過去のゲームがつまらなくなるわけではありません。
逆に、面白かったゲームはいつまでも心の中にあって、決して色あせる事はありません。

プレイしたゲームの数をあげろというのはとてもじゃないけど無理ですが、
心の中に強く刻まれているものはいくつか挙げられます。

中でも面白いだけでなく、道徳的・人間的に成長させてくれたゲームとして思い出深いのは『ワンダープロジェクトJ 機械の少年ピーノ』です。

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2週目で真のエンディング。涙無しでは見られない!!

プレイしたのは中学生の頃。
ロボットの主人公に指示を出し、人間の心を少しずつ『教えていく』変わったアドベンチャーゲームです。癒し度1億万点です。
最初は生まれたての状態なので、好奇心に任せて猫を蹴っ飛ばしたり本をブン投げたりやりたい放題の主人公ピーノ(やり過ぎ)。
正しい指示を出し続けると、道具の使い方を覚えたり、動物に優しくなったり…まるで自分が子供を持った気分です。
物語を進めていくとピーノの回路に少しずつ『心』の光が灯っていきます。
『こっころっがっピンッピーン!!』(CV:日高のり子)のセリフとともに己の成長を喜ぶピーノは、私が足りなかった純粋さを思い出させてくれます。

ピーノの回路を発動させるには、いくつかの心を芽生えさせる必要があるのですが、物語の中盤で「時として戦う心」を手に入れます。
ポイントは『時として』です。これがこのゲーム最大の特徴です。

この時代のゲームは基本的に『悪を倒す』がデフォルトでした。
アクションゲームもシューティングゲームもRPGもパズルゲームですら、まず悪の元凶がいて、殲滅もしくは駆逐する意図があり、プレイヤーが達成していくものでした。
ゲームの中のヒーローは華麗にボスを倒し、モンスターは地上から消え、再び世界は平和を取り戻します。今でも王道のスタイルです。

ところが、現実世界に純粋悪はそうそう見当たりません。
まず衝突で一番起こる形は『人 対 人』です。
相手側にも正義があり、単純に腕力で解決をはかるのであれば、
それは暴力以外の何物でもありません。
そういった意味では、現実世界ではゲームのロジックはそのまま流用する事はできません。

その視点で見据えた場合、『育てる』ゲームのワンダープロジェクトJは人の慈しみを喚起させる真逆のソフトでした。
必要な時以外に戦う事はありません。
モンスターを倒した時ではなく、人として優しさを伴った行動を正しくとった時に初めてステータスが上がります。
争うのではなく、相手を想う事で物語は進んでいきます。

「自然を愛する心」
「スポーツを愛する心」
「冒険を愛する心」
「時として戦う心」
「他人を楽しませる心」
「勇気の心」
「他人を愛する心」

この7つの心の光が灯った時、ピーノの秘密の回路が発動します。
主人公が優しさに溢れた時、エンディングを迎える仕様です。
このシステムは私に改めて道徳心を教えてくれました。
主人公に常識を『教えていく』ゲームはいつの間にか
私に平和と優しさを『教えてくれる』ゲームに代わっていたのです。

色々ネタバレになってしまうのでぼやかして説明しましたが、是非にプレイしていただきたいゲームです。

現実世界でヒーローを目指している人はたくさんいます。
しかし、本質を見据えて行動できていない人は、誤った鍛え方をしたり、偏った思想になったり、欲望に抗えなくなったりします。

『ワンダープロジェクトJ 機械の少年ピーノ』で私は優しさを学びました。
そんな私が思うヒーローの条件は3つです。

・必要な時に力を発揮できる事
・責任を果たす事
・助けを呼ぶ声を聞き、手を差し伸べる事

これが出来れば、あなたは誰かのヒーローです。


その際、職業は関係ありません。
真摯に務めていれば、誰かを救っています。仕事とはそういうものです。

私の愛する麻雀マンガ『天 ― 天和通りの快男児』でも、責任について言及するシーンがあります。反則をして全てを有耶無耶にしようとする仲間に向かって言い放つアカギの言葉が忘れられません。

自分の身とひきかえならば
どんな違法も通るという誤解
それで責任をとったような気になるヒロイズム
とんだ勘違いだ

責任をとる道は身投げのような行為の中にはない
責任をとる道は
もっとずーっと地味で全うな道…
(天 ― 天和通りの快男児 第10巻 アカギの台詞より) 

ヒロイズムに酔っている人はヒーローになる事はありません。
私が哲学の本を読むのは、過去の行動を振り返る『力をつける』ためです。
果たして、どの行動がよりよい選択だったのか。正しさは何処にあるのか。
常に見直しながら生きていきたい。
力を真っ直ぐに使えるよう、日々精進を忘れずに過ごしたいものです。


最近特に聞くようになった正義マンという言葉ですが、とうとう自粛警察という言葉が生まれるほどメジャーになり、これは力の暴走と言えます。そもそもの洗脳がうまくいっていないために誤った行動に出ていますが、最終的に某国の大統領暗殺を企む派閥

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