ポータブル電源の接地は必要ないのか
ポータブル電源 BLUETTI2400Wh の接地が気になったので、各部の導通を確認して、考察しました。
筐体に接地用端子は無く、取扱説明書にも接地に関する記載はありません。
したがって、ポータブル電源 BLUETTI2400Whは、筐体非接地の状態で使用して、必要ならば負荷側で接地することを前提としています。
筐体表面に露出している金属部分で、次の箇所の間の導通を確認しました。
それ以外の筐体表面はプラスチック系で、テスターで測定して導通なし(抵抗無限大)です。
(1)「ポータブル電源筐体のねじ」
(2)「AC100V出力」
(3)「入力コネクタ」
(4)「シガーソケット」
上記(1)の「ポータブル電源筐体のねじ」に対して、(2)(3)(4)との間はすべて導通なし(抵抗無限大)でした。
これは、ポータブル電源筐体が、電気的に内部の電源系と非接続であることを表しています。
家庭のコンセントからAC100Vを供給されている機器では、AC100V系が大地に接地されていますので、落雷などで「異常な電位上昇」が起こった場合に、大地に電流を逃がして「異常な電位上昇」を抑制します。
ポータブル電源は、家庭のコンセントのAC100Vからは独立しており、ポータブル電源筐体と内部電源系の間は絶縁されているので、落雷などで「異常な電位上昇」が起こった場合に、ポータブル電源筐体に誘導電圧として「異常な電位上昇」が起こります。
この落雷による「異常な電位上昇」は、感電や火災の原因になります。
つまり、ポータブル電源の接地は必要ないかという問いに対する回答は、家庭やキャンプで使用する等で、一時的な使用の場合で、落雷は想定しない範囲なのでポータブル電源の接地は不要という考え方です。
ここまで考察した後に、再度、取扱説明書をみて、落雷に関する注意があるか確認しました。
「安全上のご注意」という項目に次の記載がありました。:
「直射日光の当たる場所や雨や湿気の多い場所での使用は避けてください。」
落雷に関する直接の注意ではありませんが、落雷は雨が降っている時がほとんどですので、もし、事案があった場合に該当できるのかもしれません。
しかしながら、直接の注意喚起があるほうが良いと思われます。
今回、別記事で紹介したようにソーラーパネルとポータブル電源を設置する常設的な使用の場合は、落雷の時を想定しなければいけません。
今回は、負荷側であるソーラーパネルを接地しました。
ポータブル電源筐体は接地しませんが、屋内設置のポータブル電源に落雷は無いので、問題はありません。
ソーラーパネルに落雷した場合、ソーラーパネルとポータブル電源系の全てに「異常な電位上昇」が起こりますが、ソーラーパネルを接地していますので、大地に電流を逃がして「異常な電位上昇」は抑制されます。
もちろん、接地に関する法規があります。
電気設備に関する技術規準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十二号)に、接地に関する規定があります。
第十条 (電気設備の接地)
電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電路に係る部分にあっては、第五条第一項の規定に定めるところによりこれを行わなければならない。
第五条第一項
電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。
本文は、以下に引用します。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
これらは「異常な電位上昇」を防ぐための規定です。
「異常な電位上昇」とは、例えば、落雷や誘導電圧によるものを指します。
「異常な電位上昇」は、感電や火災の原因になります。
接地は、落雷や誘導電圧により「異常な電位上昇」が起こる場合に、大地に電流を逃がして、「異常な電位上昇」を抑制します。
接地の種類に関する法規があり、電気設備の技術規準の解釈 第29条において、使用電圧300V以下はD種接地工事をすることになります。
なお、第29条2項に、300V以下で乾燥した場所に施設する場合は除外規定として接地しなくてよいとありますが、ソーラーパネルは屋外で雨が当たり乾燥しない場所に施設するので、この除外項目は該当しません。
以下の引用は、経済産業省HPからの電気設備の技術規準の解釈の本文です。
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