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【DeepWell DTx】ゲームによりメンタルヘルス改善を目指すスタートアップ

メンタルヘルスとは、一般的には「精神面の健康」を示す言葉であり、近年その重要性が高まってきている。

厚生労働省の患者調査では、精神疾患を有する総患者数は、258万人(2002年)から419万人(2017年)と15年間で1.6倍増加していることが明らかになっている。

このような問題は日本だけに限らず、アメリカや韓国など様々な国で生じており、2022年、アメリカでは自殺者数が過去最高を記録した。

そんな中、WHOは科学的根拠に基づく「職場のメンタルヘルス対策ガイドライン」を公表し、メンタルヘルスは世界的にも注目を浴びているトピックの1つである。

今回はそのような全世界を取り巻くメンタルヘルスの問題にゲームでの解決を試みる、スタートアップ「DeepWell DTx」について取り上げる。

DeepWell DTx が目指すビジョン


DeepWell DTxは2022年に設立された新しい会社で、メンタルヘルスの治療をビデオゲームで行い、尚且つ何度でもプレイしたくなるゲームの開発を目指している。

そもそも、適度な運動や病気の治療は自分の体の不調を直し、向上を目指すものであるが、多くの人がその利益的な側面よりも「面倒くさい」と言った感情を持ってしまう。

現状ではこのような感情が多くの病気の治療の妨げになっており、そして、医療従事者も患者の治療のモチベートに苦労している。

一方、ゲームは娯楽であり、楽しいといった感情から能動的に行うものである。
しかし、ゲームをプレイすること自体が「時間を浪費している無駄な行為」、「自分の世界に閉じこもっている」と考えられることも少なくはない。

治療とゲーム、一見すると相反するものを組み合わせ、メンタルヘルスの治療を行い、ゲームに対する印象も変える。
このような思いを創業者である MIKE WILSON と RYAN DOUGLASは持っている。

特に、MIKE WILSONはゲーム業界の出身であり、ゲームに対するこだわりはとても強く持っており、

「実際にゲームをして楽しいとユーザーが感じ、そのプレイする習慣の先に治療が存在する。
サイエンスとゲームという娯楽を融合させることにより、まずは何よりも飽きさせない、楽しいと感じてもらえるようなゲームの作成を目指す。」
を第一としている。

DeepWell DTxは2023年に最初のゲームをリリースすることを目指しており、FDAに承認されることを目標に今後も開発を続けていく。

ゲームの可能性に着目し、既存の楽しくない、ゲームを用いた医学への介入ではなく、「ゲームは娯楽である」を前提とした治療開発に注目していきたい。

医学的な治療主義に陥らず、ゲームが得意としている飽きさせない工夫を随所に発揮する、これが今後、「gamify medicine」に求められる姿勢なのかもしれない。

DeepWell DTx : https://www.deepwelldtx.com/

参考記事:
https://mashable.com/article/deepwell-dtx-interview-mike-wilson-ryan-douglas
https://www.engadget.com/deepwell-dtx-mental-health-video-games-mike-wilson-203821891.html
https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20220328108/

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