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ゲーム=恥ずかしいこと? | プロゲーマーへ・続き

前の記事「プロゲーマーへ」の続き。

全校生徒の前でEsportsプレゼン

僕が行っていたアメリカの高校では、卒業論文ならぬ、卒業プレゼンテーションをしないといけなかった。
何かしらのお題を自分で作って、それのリサーチだのなんだのして、それを発表するって流れだ。
基本的に何をするのも自由。

アメリカではプレゼンの教育に力を入れている学校が多い。
Appleの新商品発表会やTed Talkなどを見本として、良いスライドの作り方や話し方などを習った。

Ted Talkを知らないって人は一度自分で調べて見て欲しい。
きっと面白いプレゼンがいくつも見れるはずだ。

みんながプレゼン制作のためのリサーチなどをやり始めてる段階で、僕はまだ何もしてなかった。
先生には「作曲をやってみます。」
と言ったものの、全くやる気が出てこない。
それもそのはず。
別にやりたいことじゃないからだ。

当時の僕は、自分がゲームを沢山しているってことをみんなに隠してた。
ゲームしているとどう思われるのかなって人の目ばかりを気にしていた。
だから、音楽をならば何とも思われないだろうと思って、作曲に決めたのであった。
でも、そのせいで全くやる気が出てこない。
「あ~、ゲームのことならいくらでも喋れるのにな~」
とか思いながらも、ゲームを題材にすると先生に言うのは恥ずかしかった。

「どしよう~ほげ~」
って悩んでるうちに、いつの間にかプレゼンの1、2週間前とかになっていた。
リハーサルの日にやっと、何も出来てないと先生に伝えた。
めっちゃ怒られた。
みんなは1年とかかけて、プレゼンの準備をしてきたのに、俺はもう2週間しか残ってない。今から作曲とか絶対間に合わないし、プレゼン出来なかったら卒業出来ない。
そこでやっと、意を決して聞いてみた。
「プレゼンの題材ゲームにしたいんですよね。」
恥ずかしがりながらボソッと言ってみたら、
「何言ってんの?」
とさらに怒られた。

実際のステージの上でのリハーサルの時間になった。
テレビの出演者がつけてるような、ピンマイクをつけて、でっかいスクリーンに映し出されたプレゼンのスライドを使って、発表をする同級生達。
僕の親友である、アジアからの留学生の友達も、おぼつかない英語でなんとか発表をおえた。
ついに僕の番になった。
ステージに上がって、パソコンをスクリーンにケーブルで繋げる。
スクリーン映し出されたプレゼンのタイトルは、

「esports ~ 未来のエンターテイメント ~ 」

いきなり始まった謎のプレゼンテーションに、先生たちの頭の上には?マークが見える。

「esportsとはゲームを使った競技だ」

と説明を始める僕。
同級生達もなんだこれはとスライドに目を向ける。

そこからは、esportsはどんなものか説明をして、さらに自分がこのesportsプレイヤー(プロゲーマー)になるために毎日練習をしていることを打ち明けた。

ゲームをそんなに沢山していることを言うのは恥ずかしかったし、プロゲーマーになりたいって自分の夢を言うのも恥ずかしかった。馬鹿げた話だと思われるかもってビビってた。でも、プレゼンが終わった後のみんなの反応は悪くなかった。

変な目で見てくるような人は誰もいなかった。
逆にesportsに興味を持ってくれる人の方が多かった。

先生達は、よくわかんないけどすごそうねって感じだった。
けど、怒られる様子もなかったので、何とか卒業プレゼンテーションの題材をゲームに変更することに成功。これ以外に、プレゼンを終わらせる道は無かったので、安心した。

それからは、ゲームをしていることを恥ずかしいって思わなくなった(思わないようにした)ので、順調に本番でもプレゼンを終えることが出来た。

本番で一番びっくりところが、僕がゲームの中でレートがここからここまで上がりましたよって言ったら、大歓声が沸いたところ。
ゲームの中でレートが上がったって言ってもよくわからんやろって思ったけど、何かこの人めっちゃ強そうやんけ!ってのは伝わったらしい。

プレゼンの後は、今まで全く話をかけて来なかったような人たちから、「よう、プロゲーマー!」みたいな感じであっちから話しかけて来るようになった。これは僕に取って面白い経験だった。

「英語が下手なよくわからないアジア人」から「ゲームがめちゃ強えアジア人」ってみんなの認識が変わったのを感じた。
ゲームが自分のアイデンティティになったんだと実感。
それは悪い気分じゃなかった。
ゲームばっかしているみんなとは変わっている自分を認められた気がした。
認められてなくても、もう隠さなくていいんだって、楽になれた。

Works Cited

Photo by <a href="https://stocksnap.io/author/200">Matthew Henry</a> from <a href="https://stocksnap.io">StockSnap</a>

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