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SFL Pro-JP 2021リーグ結果振り返り【第1節】

この投稿では、ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021のリーグ戦結果を簡単に振り返ります。

(出展:https://sf.esports.capcom.com/)

SFL Pro-JP 2021新ルール「ホーム&アウェイ事前オーダールール」

SFL Pro-JP 2021ではこれまでのキャラクターBANに代わる新ルール「ホーム&アウェイ事前オーダールール」が導入。
これは簡単に言うと、アウェイ側がオーダーを先出ししてホーム側が後出しする事で、選手とキャラの両方を被せられるホーム側が有利になるシステム。
今期(SFL2021)から導入された。

オーダーでは、アウェイ側が先に先鋒、中堅、大将の選手とキャラを提示し、ホーム側が協議して先鋒、中堅、大将を提示。
ホーム側の提示後に先鋒、中堅、大将の順に対戦する。
先鋒が勝っても「勝ち抜き」は出来ない。

先鋒と中堅は2本先取勝利で1点、大将は3本先取勝利で2点のポイントになる。
ホーム側は有利なので、少なくとも3点は取りたい。
アウェイ側は、2点取れればまずまずだろう。

アウェイ側の戦略は、どの被せでも対応出来るような万能タイプのキャラクター(ユリアン、ガイル、キャミィ、ベガなど)を出すのが、ポイントを狙う上では効果的だろう。

ホーム側は、「弱点も明確にあるが尖った特徴を持つキャラ」を、相性がいいキャラ、対策を知らない相手選手にぶつける形で出してポイントを狙うのが一つの戦略になる。
特に、プロ間で使い手が少ないコーディー、ブランカ、ダンや、実装間もないあきら、オロといったキャラを、リーグで用いるのは有効になりそうだ。

勿論ホーム側でも、万能タイプのキャラでオーダーを固めて手堅くポイントを取る戦略も狙える。

第1節Day①(2021年10月5日)

Match1
【H】魚群 - Good 8 Squad【A】

【先】負 (0)水派 vs キチパ(2) 勝
【中】負 (0)まちゃぼー vs ガチくん(2) 勝
【大】負 (2)マゴ vs ぷげら(3) 勝
(リザーブ:もけ、カワノ)

Match1結果
[Home]魚群獲得ポイント
>0(先0/中0/大0)
[Away]Good 8 Squad獲得ポイント
>4(先1/中1/大2)

コメント:
AwayのGood 8 Squad(G8S)が先に選手とキャラクターを提出し、Homeの魚群がそれに対して選手とキャラクターを後出しで被せる形。

SFL初戦という事で魚群の各選手は非常に緊張していたが、G8Sは緊張しながらもいい集中を保っていた。
先鋒はまさかのキチパザンギエフ。
水派の攻め急ぎをキチパが的確に衝いて勝利。
続くまちゃぼーキャミィは、いい所なくガチくんラシードに負けた。

大将は、ここ最近活躍が目立つマゴあきらで、対するは最強バイソンのぷげら。
リーチはバイソン、爆発力はあきらに分がある。
マゴは動きが硬く、コンボなどをミスする不安定な立ち上がり。
それに付けこんだぷげらがあっさり2本先取するが、ここから緊張が取れてきたマゴが2本取り返す。
2-2になったが、最後は冷静さを取り戻したぷげらが、あきらを画面端に押し込んで何もさせず、大将戦に勝利。
優勝候補のG8SがAwayで4点という大勝につながった。

トパチャン優勝、EVOオンライン優勝の国内2冠を持つG8Sカワノが、リザーブのオーダーは誰もが予想外だったが、カワノはツイッターで当日の熱のためと理由を挙げていた。

Match2
【H】忍ism Gaming - Mildom Beast【A】

【先】勝(2) ももち vs ウメハラ(1) 負
【中】勝(2) 藤村 vs YHC-餅(0) 負
【大】負(2) ひぐち vs ふ~ど(3) 勝
(リザーブ:大谷、もると)

Match2結果
[Home]忍ism Gaming獲得ポイント>2(先1/中1/大0)
[Away]Mildom Beast獲得ポイント>2(先0/中0/大2)

コメント:
AwayのMildom Beastに対してHomeの忍ismが被せる形。
Beastは大将格のウメハラガイル、忍ismもオーナーでリーダーのももちあきらが出るいきなりボス対決になる。
ウメハラはガイルのソニック連発であきらを寄せ付けず、立ち回りは一方的なガイル有利になるが、ももちは焦らず歩きガードでガイルを追い詰めていく。
ももちあきらは通天打からのエアバーストによるコンボの超火力と、Vトリガー「漢の背中」の表裏択を絡めた連携を駆使して、辛うじてももちが勝利する。
ウメハラは、あきらの中央での表裏は研究済みだったが、端での中段を絡めたコンボは知らなかったという。

中堅は藤村キャミィと餅ダルシム。藤村はキャミィにキャラ変更してデバイスもレバーレスのヒットボックスに変更したが、これまで結果が出ていない。
しかし、この試合では藤村キャミィの極まった動きに餅ダルシムが付いていけず。藤村の復活を印象付ける勝利。

2-0で後がないBeastは大将がふ~どポイズン。忍ismは先日のCPTを優勝したひぐちガイル。2021年現在の最強ガイルといえば、ひぐちと言われるほどの存在で、まだ学生だが老練な運用が光る。
が、この試合ではふ~どポイズンがラブミーテンダーを効果的に使用してひぐちの動きを封じた。
最後はガイルのソニックにポイズンがCAで差し返す技ありでふ~どが完勝。ポイントをドローに戻す値千金の勝利だった。

なお、ウメハラとふ~どは、今回諸事情でふ~ど宅でプレイしていた。
元々別の施設でカメラ(全選手は運営から送られたスマホのカメラで顔を写すよう義務付け)を置いてそこでプレイする予定だったらしいが、会場が空いていなかったとのことで、急遽ふ~ど宅で一緒にプレイする事になったらしい。

第1節Day②(2021年10月6日)

Match1
【H】コミュファDetonatioN - 名古屋 OJA BODY STAR【A】

【先】勝(2) 竹内ジョン vs あきら(1) 負
【中】勝(2) 板ザン vs MOV(0) 負
【大】負(2) ナウマン vs どぐら(3) 勝
(リザーブ:立川、オニキ)

Match1結果
[Home]コミュファDetonatioN獲得ポイント>2(先1/中1/大0)
[Away]名古屋 OJA BODY STAR獲得ポイント>2(先0/中0/大2)

コメント:
Awayの名古屋 OJAに対してHomeのDetonatioNが被せる形。
DetonatioNは絶好調の竹内ジョンがコーディーで先鋒。
竹内ジョンは元々ラシード使いだが、コーディーをキャラ追加してから大会でも好成績を残している。ラシードとコーディーの使い分けでは、アケコンとパッドでデバイスも換えているという。
対するあきらキャミィはテンポの速い攻撃で相手に何もさせずに勝つのが特徴の選手。

防御が強くないコーディーと体力の低いキャミィという組み合わせで、火力を押し付けたほうが勝ちになる。
試合では、あきらがペースを握り1試合を取り先にリーチをかけるが、竹内ジョンが実戦の中で対応を見せ始める。
最後は竹内ジョンが逆転勝利を飾った。

続いてはリーダーの板ザンが中堅で出る。キャラはやや弱体化が目立つアビゲイル。
対するはMOVの春麗だが、ここは組み合わせの経験値で板ザンが勝ったか、MOV春麗は粉砕されてしまった。

苦しい名古屋 OJAは大将にどぐらベガを出す。非常に防御が硬いどぐらベガだが、対するはナウマンさくら。ナウマンは、EVOジャパンで優勝以来、大会などで目立った成績がないが、SFLでは果たして。前年に所属したウメハラゴールドでは、個人戦績は高かった。
試合は予想通りどぐらの硬い立ち回りと、近寄っての絶妙の投げから、さくらは立ち回りが苦しくなり、ナウマンも追い上げたものの、どぐらに逃げ切られてしまう。

結果はどぐらが3-2で勝利し、こちらもAway側が2-2のドローに持ち込んだ。

Match2
【H】
Saishunkan Sol 熊本 - v6プラス FAV Rohto Z!【A】

【先】負(1) NISHIKIN vs りゅうせい(2) 勝
【中】勝(2) Shuto vs ときど(1) 負
【大】負(1) ネモ vs ボンちゃん(3) 勝
(リザーブ:ヤナイ、sako)

Match2結果
[Home]Saishunkan Sol 熊本獲得ポイント>1(先0/中1/大0)
[Away]v6プラス FAV Rohto Z!獲得ポイント>3(先1/中0/大2)

コメント:
Awayのv6プラス(KADOKAWA)に対してHomeの熊本が被せる形。
熊本の先鋒はNISHIKINブランカ。対するv6プラスはりゅうせいユリアン。
NISHIKINに匹敵するブランカ使いは国内でもおらず、対策が難しいと思われたが、りゅうせいは端に追い詰めてからのエイジスを絡めた連携で確実にダメージを取り、勝利を手繰り寄せた。

中堅は「Shutoユリアン」対「ときどユリアン」という同キャラ戦になる。研究が深いときどが有利ではないかと思われたが、意外にもときどが苦戦。
Shutoが攻め急ぎせず、Vゲージを、リバーサルやシフトに回す柔軟な運用を見せる。ときどの攻めをいなしたShutoが快勝。

Shutoは昨年のSFL2020では出番が少なかったものの、直近でアマチュア強豪の三太郎との10先や、国士無双等の大会出場で修羅場を潜っており、成長を続けている。
一方ときどは、個人戦では強いものの団体戦に弱い部分があるが、ここでもそれが出てしまった。

大将戦は、ネモギルと、ボンちゃんサガットの対戦。
双方弾キャラである事から、弾の打ち合いになるが、打ち合いに一日の長があるボンちゃんが要所で読み勝ち、大将戦を勝利。
Red Bull アスリートであるボンちゃんは、このv6プラスチームではどちらかというと「外様の助っ人」的な立場だが、大舞台に強い所を見せてチームに貢献した。
ボンちゃん個人配信では、「(ネモギルなら)3セットあれば何とか勝てそう」という自己申告をした所、メンバーからそれならどうぞ、と譲られてオーダーが決まったという裏話を語っていた。

ネモは2ポイントを賭けた大一番にサガットに対してギルをチョイス。
互角の戦いも見せたが、ボンちゃんの前に屈した。
現在、ユリアン使いといえばときどのイメージがあるが、元々ユリアンのセットプレイなどを最初に開拓し、日本におけるユリアンの第一人者はネモである。
ただ、最近ではユリアンよりもギルを大会で使うことが多くなっている。
ギルは嵌った時の火力はあるが、大会では中々勝てていない。
以前と違いアマチュアにもギルの強豪選手が増えており、他チームからすると、(アマチュアを練習パートナーとして)決して対策が難しいキャラではなくなっている。
今回も、ボンちゃんにギル対策を見せられた格好だ。
また、ネモは一時期ユリアンに代わるメインキャラとして、エドをテストしていたが、本格運用には至っておらず、ややキャラ選択に苦慮が感じられる。
サガットと心中する覚悟で対策してきたボンちゃんと、キャラ運用に迷いの見えるネモという僅かな差が結果に出たように感じた。

第1節終了後順位

第1節が終わりリーグ順位は以下のようになっている。

SFLリーグ順位【第1節終了後】
順位/チーム名/Point/Battle/Round
1位/v6プラスFAVRohtoZ!/5/2/3
2位/Good8Squad/4/5/8
3位/コミュファDetonatioN/3/2/2
4位/忍ismGaming/2/2/3
5位/名古屋OJABODYSTAR/2/-2/-2
6位/MildomBeast/2/-2/-3
7位/SaishunkanSol熊本/1/-2/-3
8位/魚群/0/-5/-8

やはり優勝候補のv6プラスとG8Sが強く、1位・2位。
次いでDetonatioNと忍ismが3位・4位に付けるというスタート。
忍ismは藤村の復調が大きい。プロ選手の配信でも藤村の動きが予想以上だったという声が口々に聞かれた。

ドラフトでJeSUライセンス取得者からそれぞれ2名を追加した名古屋、Beast、熊本は、ドラフト勢が勝てず。ライセンス大会では上位に食い込む猛者たちも、リーグでチームを背負って戦うというこれまでと違うフィールドで重圧がかかったか。
その中でも名古屋とBeastはAwayで2点をもぎ取り、まずまずの結果と言える。

魚群は今年好調のマゴ、SFL優勝請負人と言われるまちゃぼーを含むプロ選手4名だが、まさかの最下位スタート。ここからどのように立て直すかが注目される。

なお、リーグに先立つ前哨戦のPro-JP 2021プレシーズン大会でときどが優勝、竹内ジョンが準優勝のため、それぞれv6プラスに2ポイント、DetonatioNに1ポイントが与えられている。

その他:キャラクターBANルールの廃止

冒頭に書いたようにキャラクターBANルールは廃止され新ルール「ホーム&アウェイ事前オーダールール」が導入された。
この背景について説明する。

キャラクターBANルールの問題点は、練度の低いサブキャラでの対戦を選手に強いる事があり、選手と視聴者双方に不評だった。

また、今期からJeSUライセンスを新規に獲得したドラフト選手を擁するチームが複数あり、新規獲得者の大半がメインキャラのみを使える選手であるため、キャラクターBANルールは適さないということから、廃止されたと思われる。

その他:大会配信について

SFL2021から、ホーム&アウェイ事前オーダールールに変わったほか、大会配信でもこれまでなかった試みがされている。
以下、三点について見ていく。

1.選手の顔をスマホカメラで撮影しライブ感を向上
まず、全てオンライン対戦で、スタジオ収録でなく選手の自宅等からの配信になった事で、選手の顔をカメラで写せるようにしている。これは、各選手に運営からスマホが送られ、そのスマホカメラでライブ中に写せるようにしているとの事。

オンラインで顔の表情なしでも考えられたが、運営が選手の顔の表情を映しながら大会を配信したいという事が伺えて好印象だった。
ただ、セッティングは完全に選手任せになるため、選手の側は、通信環境やプレイ環境に加えて、スマホのセッティングも必要なため、少し大変かもしれない。

実際、普段から配信に慣れているはずのプロ選手でも、顔の位置がカメラからずれていたりという事があった。
これは、送られた撮影専用スマホが細くて、画面に入りにくいといった事もありそうだ。

2.編集なしの本番ライブで放送事故の懸念も
次に、完全オンラインという事に加え、編集なしの完全ライブとなった。
編集なしという事で、ライブ感がかなり上がり、選手のガヤの声なども積極的に配信で拾うようにされている。
この事も盛り上がりに一役買ってはいるが、反面選手たちの余計な声も入る結果になってしまっている。

ガヤ声が配信に乗るため、解説などの声がやや聞き取り辛く感じた。
また、相手チームのインタビュー中に煽りとも取れる発言がライブ配信に乗ってしまい、物議を醸した。
以前のスタジオ収録なら有り得ないが、編集なしなのでこうした事態も起こり得る。それが初回で発生してしまった。
選手のマナー面の問題もあるが、今後の運営の課題にもなるだろう。

3.対戦スタッツが表示
三点目に、対戦中のスタッツが、恐らくSFLでは今大会から初めて表示が導入された。
スタッツと言っても、野球やサッカーのような詳しいデータではなく、対空の成功率や無敵暴れの回数などが何回中何回成功した、という簡単なものだが、今後、詳しいスタッツが掲載されていく事で、格ゲーの観戦の楽しみが向上すると思われて、いい試みだと思った。

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