見出し画像

note03 ゲーム企画屋さんに必要なスキルとは(2)

※この記事は2012年公開のブログ記事を元に一部加筆訂正したものです。

ごあいさつ

こんにちは。かいぽんです。

前回、ゲーム企画屋さんに必要とされる能力は以下のように分類できる。というお話しをしたのでした。

ゲーム制作に必要なスキル1

さて今回はその続き。「VSDTサイクル」の各項目の解説です。なおこれは能力分類でもあり、実際にゲームプランナーが担当しなければならない仕事と連結しています。なにがどの職務につながるのか、そこ意識しつつごらんください。

1.Vision − ビジョンを描くちから(発想・構想)
2.Share − ビジョンを共有するちから(説明伝達)
3.Do (Action) − ビジョンを実現するちから(計画実行管理)
4.Troubleshooting − 不具合を取り繕うちから(検査改善)※トラブルシュート、現場合わせ

ではさっそくまいりましょう。

1.Vision − ビジョンを描くちから(発想・構想)

 考える能力

アイデアを発想したりまとめたりする。具体的にいえば、ゲームの仕様を考えたりシナリオやアイテムのネタを考えたり、広くは商品戦略を構想したりなどの、まあいわゆる頭をつかって考える能力にあたります。

一般には、ゲームプランナーや企画屋さんに必要な能力といえばこの能力だけを指す、かのように思われていますが、これは企画屋に必要な「考える能力」の、ほんの手始めにすぎません。

 ビジョンを描く

ビジョンって結局のところなーに? とよく言われます。
ぼくの考えではこれは要するに「目指す完成形」、最後こうなるんだぞ! という「ゴールの姿」のことです。それを頭の中で描く。構想する。

よい仕事はよいアイデアから始まります。よいアイデアにはよい目的が必ず伴います。目的とは目指すゴールの形のことです。さらにそのゴールを達成するまでの一連の流れや手順などの構造の全体像をビジョンと呼びましょう。で、それを人に伝達可能な形でまとめるのが「ビジョンを描く」ことになります。企画屋さんはまずこのちからがなくては、はじまりません。文字どおりスタートできないのです。(またスタートしてもいけません)

2.Share − ビジョンを共有するちから(説明伝達)

 伝える能力

具体的には、企画書づくりや仕様書づくりなどの文書化能力やプレゼン能力、ビジネス用語でいう「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」に代表される基本的なコミュニケーション能力、高度なものでは多人数間で意志決定を合意するコンセンサス能力なども含まれます。宣伝広告プロモーションなども顧客への説明伝達と考えれば、広義ではこの能力といえるでしょう。

この”伝える”能力の重要性を、ぼくはとくにだいじな能力として強調しておきたいです。

あなたがどれだけ素晴らしいビジョンやアイデアを着想しても、その内容をチームメンバーと共有出来なければ、それは絵に描いた餅ででしかありません。(いえ「絵に描く以前の餅」です!!)

どれだけよい発想があったとしても、それを人に伝えられなければ、それは”宇宙の真理を悟ったサル状態”=伝えられなければなんの意味も無いもの、なのです。


ひとりのプランナーが「よし!ここで一番の山を攻めるぞ。じゃあ準備してふもとで集まろう!」とチームのみんなにハッパをかけます。

彼はエベレストのふもとで待ちますが、プロデューサーは富士山にむかい、デザイナーはキリマンジャロで待ち、プログラマーはなぜかラーメン二郎に並んで…それは山盛りや!!……結局みんなバラバラなことをしていた!!! なんてことはゲーム制作においてじつにありがちな光景です。

このようにチームへの伝達がうまくいかず、もとの意図を共有できていなかったという事故は往々にして起こりえます。

そしてゲーム制作においては、そのような伝達事故は制作工程に大きな無駄と手戻りを発生させ、その修正のためのやりなおし作業がスケジュールや予算を大幅に圧迫してしまうことになります。

ほんの小さなボタンの掛け違いが、プロジェクトに甚大な被害を生じさせる原因になりかねません。

それだけにこの”伝える”能力、ビジョンを共有するちからは、特にゲーム企画屋さんにおいてはたいへんに重要です。超強調して言っときます。


3.Do (Action) − ビジョンを実現するちから(計画実行管理)

 実行する(実行させる)能力 ・・・ん、ちょっとわかりにくいかな。

簡単にいえば、データ実装とスケジュール管理、ちゅうことになるかな。

ビジョンを作業指示まで落とし込み、実装計画をまとめ、スケジュールを引き、マイルストーンを設定し、タスクリストを書いて、日々その進行をチェックする。必要であれば予算とかも算出・管理する。
ほかにはいわゆる外注管理などの渉外業務も、この項目に含まれます。

これら制作計画の編成や予実管理だけでなく、プランナーには自分自身が担当する実装作業そのものもあります。プランナーとして担当する各種のデータ作成やスクリプト作成があれば、それもひたすらに作業しなければなりません。そんな実装作業もこの項目に含みます。実装なくして実現なし! 自分のみならず他スタッフにたいしても、ニンジンとムチををじょうずに使ってキリキリと働きましょう(働いてもらいましょう)。

説明が少々あっさりですみませんw でもここはプランナーさんの腕の見せ所だよイヨッ!
新人のプランナーさんは、まずだいたいはここを担当することからスタートすることが多いですね。

ビジョンは実現しなければなんの意味もありません。ビジョンを実現するちからは、その土台となる能力です。


4.Troubleshooting − 不具合を取り繕うちから(検査改善)

 確認検査(テストプレイ)と不具合対処能力

ご存じのように、ゲーム制作というものは、実装が終わればハイ完成! というわけにはまいりません。他セクションに依頼した実装作業や作成されたデータが仕様通りできてるか、想定どおり動作するか、不具合が出ていないか、検査チェックすることが必要です。

また実装にあたって、想定外の問題や不具合が発生する場合もしばしばあります。
たとえば建築の世界では、設計図面どおりに切り出されて建設現場に運び込まれた資材の寸法が現場でちょっと合わないこともあります。その場合、現地で微調整の加工をし、その場で寸法を合わせて解決する、いわゆる現場合わせということがよく行なわれます。

ゲームの現場でも類似といえるケースが多々あります。その場合にはすみやかに原因を特定し、問題の大小を見極め、ちょっとした見落としなど小さなケアレスミスであればその場ですり合わせ調停をしたり、対策改善案を検討し修正指示を出すことになります。もしも手に余るような大問題であれば、いったん持ち帰って然るべき対処をチーム内で検討しなければなりません。そういった問題の大小の見極めも能力のうち!です

ゲーム制作とは、思ったようにはなかなか進みません。フラフラと進むオンボロ車のように、ハンドルをつねに微調整しないと、ゲームが面白くならないどころか、完成にすらたどり着かないでしょう。

これらの不具合とは、ゲーム内のプログラムやデータの問題で生じる不具合(バグ)もありますし、制作現場内の作業での問題の場合もあります。

また、テストプレイ(バグチェック)は実装者や仕様作成者が確実に行い、問題が軽微なうちに対処しなければなりません。その業務と能力はプランナーにとって(いやゲーム制作にとって)必須であるといえます。

ちゃんと実装チェックしたり、作業場の問題を発見したりして、然るべき対処をするというスキルをまとめたものが「不具合を取り繕うちから」といえますです。

まとめ

多岐にわたるゲームプランナーの仕事も、とどのつまりこの4つに集約できるといえます。そしてこれをサイクルとして何周も繰り返す。

まず考える → それを伝える → 作る → 作ったら試す → また考える →(以下ループ)

<VSDTサイクルまとめ図>

VSDTサイクル_L

この4分類は、日々の業務を意識して整理したいときや、プランナーの人事考課を検討するときなどにも効果的な枠組みとなるかと思います。

なんだかこのように4つに集約すると、シンプルすぎてかえって簡単にみえちゃいますね。でも実際には、どの項目にもそれぞれじつに広範で奥の深~いスキル領域が広がっています。ゲームプランナーはこれらの能力を網羅しマスターしていかなければなりません。たいへんですね!


 企画道に近道なし!企画道にゴールなし!日々精進の毎日です。


 さて今回のお話しはここでおしまいです。いかがでしたでしょうか。
なんか最後の図だけあればいいじゃん、説明なげーよww という突っ込みはナシですからね!


サポートは100円~と少額からできます! 金額はもうお気持ち程度でまったく充分ですので 記事書く手間賃ぐらいとおもって投げ銭おねがいです<(_ _)> ぼく、いっしょうけんめい頑張って書いたんよ……