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時代のずれを感じつつも、現代への警鐘としても有意義「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」

PSYCHO-PASS、作品はテレビ版は1期はきちんと、2期は途中まで見て合わずに脱落しましたが、その後の劇場版、3期は追っていました。

シビュラシステムという、脳とAIが融合した知能によって人間の犯罪係数を判定して、洗剤犯を排除する事で治安を維持し、反映を謳歌している未来日本を舞台にしたディストピアSFの最新作。

今回は3期に繋がる物語と言うことで、一旦時間を巻き戻し、1期からの主人公の一人であった常守朱と狡噛慎也を中心に、新たな脅威と立ち向かいつつ、3期で朱が収監される経緯を描いていました。

劇場版らしくアクションは多め。また、主に1期で活躍したメンバーが、立場が変わったとはいえ再集結して脅威に立ち向かう展開がクライマックスですので、1期で脱落した方にも見やすい作品になっていた気がします。狡噛と宜野座の関係性など、安定のツンデレでしたよ。また、3期の主人公である慎導灼や炯・ミハイル・イグナトフも登場し、また彼らの肉親が本作のキーパーソンであったこともあり、3期をまた続けて見たくなるような作りにもなっていました。現在各種配信サイトの見放題に対応しているようですので、比較的追いやすいかと。

本作も昨年10周年を迎えたということで、当時でも苦しかったような気がする、「世界中が紛争にまみれて日本だけ発展した」世界観はもはや絵空事感も漂ってきましたが、それでも本作世界できちんと時間を進め、かつ今時点の社会問題も入れてくるのは流石だと感じました。
特に、シビュラシステムのように人工知能(シビュラは半人工な印象ですが)に支配される未来はまだ感じられませんが、そのかわり本作では朱がシビュラと人間の意思決定の共存による秩序維持を模索していると感じられる描写があり、1期でショッキングなディストピアとして描かれたシビュラシステムの正体から考えると、随分変化したなあ、と思いました。
また、優秀なシステムにより旧来の法治を放棄しようとする官僚達を描いた冒頭は、一人に全権を集約させた結果、致命的な間違いを犯した国家が顕在化した今を警告しているように感じました。

朱がたどり着いた結論「考えることを止めないこと」は結局1期の頃からあまり進歩していないかもしれません。ですが、それは主題が変わっても、社会が10年前と同じ問題を抱え続けているからかもしれません。勿論自分で考えてトンデモな結論に達してしまう人もいますが、それも含め、私たちは判断を人任せにせず、考え続けないと終わってしまうのでしょう。

そんなことを考えつつ、まあそれはそれとしてアニメーションとして楽しかったなあ、という結論で締めくくりたいと思います。


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