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世界を目指せ!海外に転職したいと思ったエンジニアのための「勝てる」レジュメの書き方

前回、CashWiseでエンジニアの採用募集を行ったという話を書きました。これ以外にもインターンの募集も行っていて、たくさんの人のレジュメに接して、さらに実際に候補者に会ってみて、つくづく日本の候補者との違いに気付かされました。

昨今の円安や、長く続く低賃金、そして税金と社会保障費の高騰で海外に活路を求めたいと考えているエンジニアは増えつつあるのではないかと思います。

特にエンジニアの場合、多少語学力が劣っていても、いいコードさえ書ければ仕事ができるという大きな強みがあります。営業やマーケティングの仕事は、初日からネイティブと互していけるレベルの語学力が要求されることが多く、英語の苦手な日本人が転職するにはハードルが高いです。

ですが、エンジニアが最も長い時間対話する相手はコンピュータであり、どこの国で仕事しようとも自分の得意なプログラミング言語を使って仕事をすることができます。そこで成果を出しつつ、現地で仕事をしながら英語を身につけ、さらに高みを目指すということが可能です。

このような芸当ができるのは、エンジニアという職業以外にありません。実際、この一年私が生きてこれたのは、エンジニアというスキルがあったからと言っても過言ではありません。

日本のエンジニアの能力は世界で十分通用するレベルにあると思いますし、腕に自信のあるエンジニアが更なるスキルアップと成功を目指して、海外を目指すという流れは今後どんどん増えていくのではないでしょうか。

日本人の職務経歴書と海外のレジュメの違い

一方で、日本人エンジニアが海外での転職を成功させるには、日本と海外の根本的な採用環境の違いを理解する必要があります。

前回の記事で書いたようにうちのような小さなスタートアップに一晩で60人もの応募が集まるような競争環境を理解し、レジュメや面接で自分のスキルを魅力的に伝えるための発想の転換といったものが不可欠です。

1. 簡潔に自分は何者かを伝える

以下は、私が実際に面接したエンジニアのレジュメの冒頭部分です。

エンジニアのレジュメ例(1)

この冒頭部分が秀逸なのは、以下のポイントが極めて簡潔に1行で言い切っていることだと思います。

  • 自分は何者なのか?- Experienced Senior Fullstack Developer

  • 何がしたいのか? - Passionate about …

  • 何ができるのか? - Proficient in Node.js …

採用担当者が知りたいことは、この人物は自分の求めている職務・職責を担えるかどうか?です。採用担当者は、大量に送られてくるレジュメの中から、自分の求めている人材を短時間で効率的に選り分ける必要があります。

多くの場合、採用担当者はこの冒頭部分に書かれているサマリーしか読んでいません。簡潔かつ正確に自分は何者で、何がしたいのか、何ができるのかを相手に伝える必要があります。

2. 自分の経験したこと・何ができるかを伝える

同様に以下はEXPERIENCEの記載例です。

エンジニアのレジュメ例 (2)

日本人の多くのレジュメは、どの会社のどの部署に所属し、どんなプロジェクトに関わったか、と時系列に書いてあることが大半ではないでしょうか。でも、採用担当者が知りたいことは、そこではありません。何を経験して、何ができるのか?、この人物は自分の部署で求められるスキルや経験を満たしているかを短時間に知りたいのです。

この例を読むと、この候補者は

  • ReactJSでフロントエンドUIの設計と実装の経験がある、

  • Node.jsでバックエンドの実装、特にユーザ認証などの実装ができる

といったことが簡潔に書かれていて、採用担当者は自分の求める人材かどうか短時間で判断することができます。どこの部署にいたか、どんなプロジェクトに関わっていたかではなく、採用担当者に対して「だからなんなんだ?」ということを直接的にアピールしてください。

3. 徹底的に自分をアピールする

以下はインターン生のレジュメです。

インターン生のレジュメ例

この学生はまだ19歳で当然ですが、スポーツジムでアルバイトしたぐらいの社会経験しかありません。ですが、そこでの経験をしっかりとアピールしています。少なくとも私は、日本の学生で自分のアルバイト経験を職務経歴書にこのような書き方でアピールしてくる人を見たことがありません。

自分のエンジニアとしての経験が浅いとか、何もアピールすることがない、海外なんてとても生きていけない、と尻込みしている人もたくさんいるのではないかと思います。が、まったく遠慮する必要はありません。

発想を転換しよう

最近、海外に転職したいエンジニア向けにレジュメの書き方やLinkedInの使い方などをご支援するサービスを始めました。

実際に何人かのお客様の海外転職のお手伝いをさせていただいてわかったのは、多くの人がそもそも自分は何者なのか理解できていない、という現実です。レジュメの英訳サービスは世の中たくさんありますが、そもそも海外転職が難しいのは英訳の問題ではありません。

  • そもそもサマリーの内容が意味不明

  • 職務経験が単なる所属部署やプロジェクトの時系列でしかない

お客様と話して分かったことは、優秀な方であればあるほど、いま勤めている会社の考え方・仕事のあり方・価値観みたいなものにどっぷりと浸かっていて、それが当たり前だと思い込んでいる、客観的に自分自身を見つめ直す経験をしていないのではない、ということです。

1. アーキテクチャやプロセスに分解してみる

たとえば、自分は「XYZ製品の開発に携わっている」という経験があった場合、どうやって自分のできることをアピールしたらいいでしょうか?

一つの考え方として、その経験をアーキテクチャやプロセス、フェーズに分けて分解してみるという方法があります。

  • 製品には多くの場合、フロントエンドUI ⇒ サーバサイド  ⇒ インフラ ⇒ データ分析 のようなアーキテクチャ構成に応じて担当部分を分解することができます。この役割分担の中で、自分はどの部分を担当してきたのか?そこにはどんな技術を使ったのか?どんな工夫や難しさがあったのか?という具合に分解して考えてみてください。

  • 開発プロセスも、顧客ヒアリング・要件定義・UI/UXデザイン・コーディング・品質管理・カスタマサポートのようにいくつかの段階に分けることができます。この中で自分が主に担当したのはどこか?どんな難しさを克服してきたのか?自分の得意なことは何か?などアピールできるポイントはたくさん見つかるはずです。

2. 間口を広げる

たとえば、自分は「ファクトリオートメーションシステムの開発しかしたことがない」という負い目を感じていた場合、どうやって自分をアピールしたらいいでしょうか?

こういった場合、自分の経験やスキルを細かく分解して、それぞれごとに応用可能な分野を可能な限り間口を広げて考えてみることです。

  • リアルタイム制御技術の経験はロボットの制御にも応用できるはず

  • 組み込みシステムの開発経験はXXXの開発でも応用できるはず、さらにこういうことをしてきた経験が生きる、、

みたいな感じです。負い目を感じる必要はまったくありません。その分野で自分に何ができるか?強みがあるか?考えてみてください。

謙虚さなど日本人特有のメンタリティはとても素晴らしい美徳だと思いますが、一旦そういったものを取っ払ってみましょう。自分のやってきたことの重要性、価値を丹念に洗い出してみてください。

エンジニアは世界を目指せ!

私は、エンジニアは人類最強の職業だと思っています。

どこの国に行こうとも、エンジニアはプログラミング言語を操れさえすれば仕事をすることができます。どれだけAIが進化しても、エンジニアの仕事がなくなることはありません。おまけに、自分の作った製品を使ってくれるお客様がいて、その製品に喜んでお金を払ってくれる。

どう控えめに考えても、最高の職業です。

ただ、海外で仕事を得るには、たくさんのハードルを乗り越えることが必要です。レジュメの書き方もその一つですが、それ以外にもし仕事の探し方や面接対策など、これまでの日本での成功体験は一旦捨て去る必要があります。日本人特有のメンタリティにどっぷりと浸ってきた会社員にとって、とても難しいことです。

手前味噌ですが、先ほど紹介したこちらのサービスでもっとも力を入れていることは、そういった日本特有の固定概念からの脱却のためのコーチングです。レジュメの書き方など一つ一つの戦術的な対策も重要ですが、考え方そのものを変えてくことが最も重要で、かつとても難しいことだからです。

それに比べれば、英語力は本当に些細な問題に過ぎません。

というわけで、今日はこの辺で。シンガポールに遊びにくる機会があれば、ぜひお立ち寄りください。

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