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withのニュアンス:「辞書を調べてぴったりとした解釈の使い方を見つけることができなかったのですが…」

質問

TOEIC®公式問題集6の ‘with one of our representatives’のところで悩んでいるのですが、和訳では「担当者のいずれかにお申し付けいただくことで」とありました。

The reservation holder is the only authorized driver on this reservation. You may authorize a second driver with one of our representatives at no cost when you pick up your vehicle.

また問題でその箇所が出題されており、置換表現として By speaking with a representativeとなっていました。

私は最初この withでなぜ話すという意味になるのかわかりませんでした。
この withのニュアンスなのですが、辞書を調べてぴったりとした解釈の使い方を見つけることができなかったのですが、自分なりに解釈したのは「〜と一緒に居る状態で」といった感じかなと思っているのですがいかがでしょうか?

また、ジーニアスで「管理、委託」といった意味もあり、それに近いのかとも思うのですが、どう解釈すれば良いのかアドバイスをいただけますでしょうか。

ガリレオ流・回答

まず前提として、ご質問の途中にあるような「この withで話すという意味になる」ということではありません。

前置詞は特にそうだと思いますが、辞書の用法の分類が理解の一助になる場合もあるにせよ、唯一絶対的な分類法があるわけでもなく、切り分け方や記載内容も辞書によって異なります。よって、やはりコアとなるイメージを手がかりに、日本語訳どうこうではなく、状況を想像しながら英文を読むことが大事になってきます。

今回の場合、「〜と一緒にいる状態で」の解釈でも特に問題はないかと判断します。要は withの持つ【一緒に・共に・付随して】というイメージが源流にあれば良いでしょう。‘You may authorize a second driver’ということで案内されているわけですが、その手配自体は one of our representativesが職務として行うはずであり、状況を想像しながら英語でパラフレーズすれば、まさに by speaking with a representativeということになります。また、感覚的には ‘with the help of one of our representatives’のような意味合いに近い感じでも読めました。

やはり状況的には「担当者(のいずれか)と一緒にいる状態で・その人の助力をもって」権限付与が行われる…というところの【付随・助け・裏方】感を醸し出すのが withと言えるのではないかと考えます。

例えば:

At your request, one of our representatives can authorize a second driver...
→ 「ご要望に応じ、弊社の担当者が…」のように、one of our representativesを主語にして表す。

You may have one of our representatives authorize a second driver...
→ haveを用いた使役構文

といったような表現方法も可能性としては存在しますが、いずれも「担当者が〜する」という部分が前面に出過ぎてしまうので、レンタカーの借り手であるお客さん (= you)への案内メールとしては、「あなたが(希望次第で自由に)〜できます:You may authorize a second driver...」という形で表現する方が好ましい。ただし、職務として実際の権限付与を行うのは担当者 (= representative)なので、希望の際は申し出てほしい…というところの情報を、適切な濃淡をつけてコンパクトに表現したものが withを用いた元々の英文である、と考えれば良いのかなという印象です。

ただやはり念のため注意しておかなければいけないのは、TOEIC(および他の英語試験)の文書は、どうしても問題を作成するという宿命を負った英文になるということです。

現実世界の案内メールであれば、

If you’d like to authorize a second driver, please speak with one of our representatives when you pick up your vehicle. {It’s free of charge. / There’s no (additional) charge for this.}

くらいの言い方になることも存分に考えられます。もちろん上記以外の表現可能性も沢山ありますが。

TOEICに出てくる英文をビジネス英語の参考に…というのもよく言われる話ですが、確かに「参考程度」には出来るものの、現実のビジネスシーンでやりとりされる実例をベースに据えなければ、自然な言語感覚からはズレていってしまうので気をつけなければなりません。

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