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星が”よく見える”ところってどこ?

都内でイベントで星空案内をしていると、よく聞かれるのが「星がよく見えるおすすめの場所ってどこですか?」という質問。一度は、圧倒されるほど美しい星空を見てみたいという想いは、宙が好きな人ならあるのではないでしょうか。今回は星が”よく見える”ところとはどんなところなのかお話します。

星がよく見える条件とは何でしょうか?
まず決め手となるのか”宙の暗さ”です。街中で見える星の数が少ないのは、街明かりが宙を明るく照らしているから。星の輝きよりも街が宙を照らす明かりの方が強いので、宙はボヤっと白んでしまって星がよく見えなくなってしまいます。
なので、街明かりのない山奥や海岸などのほうが人工の光に邪魔されず、見える星の数が多くなります。街からひと山、ふた山くらい越えると、見えてくる星の数もだいぶ変わってきます。「Light pollution map」という都市の明るさをマッピングした地図もネット上で公開されています。これを見ると明るい場所と暗い場所、一目瞭然ですね。
ただ、いきなり秘境のような場所に星を見に行くことはおすすめしません。そういった場所へ行くには、街灯もない道を自力で運転しないといけませんし、シカやイノシシなど野生動物に遭遇する可能性もあります。まず最初はキャンプ場やビーチなど、人の手が入っている施設に行くことをおすすめします。できれば、星空イベントに参加するなど安心して楽しめるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

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宙が暗く、星がたくさん見える場所であっても、宙が明るく照らされて星が見えにくくなることがあります。その原因はお月さま。街中で暮らしているとあまり実感することはないのですが、月明かりは意外と明るく、特に満月の日は、月明かりで自分の影が出来てしまうほどです。星の輝きが月明かりにかき消されてしまって、よく見えなくなってしまいます。
せっかく時間とお金をかけて満天の星を見に遠出をするなら、満月付近は避けるのが良いでしょう。それか、月が昇ってきていない時間帯を狙って観察するのがおすすめです。満月の日付や月の出入りの時間は、ネットで調べればすぐに出てきますが、こよみのページさんの月齢カレンダーが視覚的に分かりやすいです。

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そして、星が”よく見える”季節はあるのでしょうか?上記で紹介したような条件がそろった場所では年間通して美しい星空に出会えると思います。それでも季節によって、星空の印象は大きく異なります。
「冬が一番星が見える」と言う人が多いような気がします。冬は四季の中でも、明るい一等星が一番多く宙に輝く季節のため「明るい星が多い=星がよく見える」と、感じているのかもしれません。
どの季節の星空が一番綺麗なのかは一概に言えません。春は北斗七星から延びる春の大曲線が壮大で、夏は天の川が一番濃く見えます。秋は星あかりが落ち着いた雰囲気のため癒されます。季節によって個性はそれぞれなので、どの季節が良いのかは皆さん自身の目で確かめて体験してみてはいかがでしょうか。

りょうけん座

最後に、街中でも星を”よく見る”コツをお話します。環境を変えることができない代わりに、自分の目を星が”よく見える目”に近づけていきます。その方法は、部屋の電気や街灯の光が目に入らないように、それらに背を向けたり、手で遮ったりしながら宙を見上げるだけ。だいたい10分くらい経ってくると目が夜空の暗さに慣れて星がポツン、ポツンと見えてきます。目が星空モードに切り替わってきた証拠です。
目が慣れてきたら、宙のいろんな方向をみてみましょう。今まで気付かなかった星を発見できると、宝探しみたいで面白いです。注意してほしいのが、観察中にスマホを見てしまうこと。スマホの画面からの明るい光によって目が星空モードからリセットされてしまい、また目を慣らすことから始めないといけません。星を見るときだけでもスマホのない時間を過ごしてみませんか。




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